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027 重力魔法の結果

「で、何だあの魔法は?」


襲われていた場所からしばらく進んでから、領主さんが徐に口を開いた。


「重力魔法です」

「じゅ、重力?」

「あれ? ドラゴンの所で話しませんでしたっけ?」

「聞いたかもしれんが聞いてないかもしれん。緊張しすぎてよく覚えてない」

「あ、そうですか。重力とは……」


どう説明しようか?

さすがにニュートンから説明するのはダメだろうし。

子供にも判るようなのが良いかな?


「あの~、現在体重はいくらです?」

「ん? 65カルだが」

「何カルまで持てます?」

「調べた事は無いが……まあ30カルくらいは持てるだろうな」

「俺も同じだとしてですね。それだと持ち上げられないですよね?」

「当たり前だ」

「でもこないだは荷台ごと持ち上げて跳びました。

 あれは俺の筋力を上げているんじゃなくて、わかりやすく言えば重さを減らしているのですよ」

「それが重力魔法か?」

「そうです。全ての物は地面に引っ張られてます。だから物を落とせば落ちます」

「……そういう考え方をした事は無かったな」

「重力魔法は、その引っ張る強さを増減する魔法なんです」

「う~む……判るようなわからんような」


まぁ難しいよね。

地球でも正確は答えは無いし。


「皆さんを運ぶ時は引っ張る力を弱めたんです」

「って事は、さっきのオークには……」

「引っ張る力を最大にしました」

「だからペチャンコになったのか!」


正確にはペチャンコにはなってなかった。

頭が残ってたし、骨なんかも残っていた。


「筋力はそのままで、体の全ての部位の重さが100倍になったと考えたらわかりやすいかもしれませんね。

 なので、首が頭を支えきれなくて体にめり込み、足も支えられなくてひん曲がり、肩も腕の重さに耐えられずに千切れる」

「細かく説明するな!」

「だって聞くから」

「それで、対応策は?!」

「対応策?!」


考えてなかった。

確かにドラゴンに使われたら、俺でも死んでしまう。

対応策は必要か。


「う~ん…………寝そべるってのはどうでしょう?」

「寝る?」

「はい。立ってたら間違いなく首が折れます。なら寝たらどうでしょう?

 苦しいでしょうが、死なない可能性はあるかもしれません。

 肋骨が折れて内臓に刺さるかもしれませんけど。うん、ドラゴンの所に帰ったら実験してみよう」

「怖い話すんな。まぁ覚えておく」

「でも発動の瞬間なんか判らないと思いますけどね。

 それに寝てたら死なないかもしれませんが、絶対に動けませんよ。

 近寄られて首や心臓をグサーッってやられるでしょうね」

「逃げるってのは?」

「精霊から逃げられるんでしょうか? それも実験してみよう」


世界のどこでも妖精からの要請で魔法を使う精霊さん。

実験する事もなく、逃げるのは無理っぽいな。


「そうなると発動前にお前を倒すしか手は無いようだな」

「あっ、精霊さんは勝手にやる事もあるらしいですよ?」

「常に最強な護衛を付けてるような状態かよっ!」


そう言われればそうかも。

助かります、精霊さん。ちゃんとお供え物しますからね。




それからは何事もなく、翌日の夕方ギリギリに王都に到着した。

もうちょっとで閉門される所だったよ。


「貴族は夜間でも出入りできるぞ」

「そうなんですか?」

「ああ。勿論正当な理由が必要だがな」


便利だな、貴族。

出入りする時だけお願いしたい。


門に近寄ると、列には並ばずに並んでいる横を通っていく。

どうやらこの大きな門の右側が貴族用で、左側が一般用みたいだ。


「イシシモ・ベルセ・シュトー様! お待ちしておりました! どうぞ、お通り下さい!」


顔パス?!

荷物検査も馬車内の検査も、ましてや俺の検査も無し?!


「これが先触れの効果だ」


師団長さん、ありがとう!!

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