エピローグ
一三番目の加護持ち。新野の死の余波は“世界”に広がる。
弟を二度も目の前で失い、怒り狂った魔王クローバー。300年の均衡を破り、“世界”を“破滅”させるために、六番目の加護の力を持って、“世界”に侵攻する。クローバーが従える全魔物を率いて人間・亜人領土に踏み込む。
新野の死に立ち会わなかった人間側。彼らは“異世界の王”が死んだ“原因”が、エルフ(亜人)にあるとし、宣戦布告をして亜人側に攻め入る。
戦と並行して、ミマス帝国は残された“家”を何とか自国のものにすべく動き出す。
亜人側も人間・魔物たちに対抗すべく立ち上がる。
彼ら(人間・亜人)が使う武器に“変化”があった。通常なら剣や弓。魔法による戦闘のはずだ。
ただ、今回は違う。“火薬”の焼ける独特の匂い。爆発音が戦場に広がる。
二つの文明が交差した。一方は科学が発達した新野がいた世界。もう一方は魔法という摩訶不思議な力が存在する世界。“魔法”に、新野がもたらした“科学”の力が加わる。
新野が放った3羽のカラスに埋め込まれた情報から、執念で“火薬”をつくりだす。
“異世界”は混沌に包まれた。
憎悪・恐怖・破壊・死が、異世界から来訪した新野によって、“世界”にばら撒かれる。
――やがて“小さな世界”は滅ぶ。
森。広大な森が広がる。その全貌は不明。
その森の中央に“家”がある。何時から存在しているのか。中に誰が住んでいるのか。何もない森にどのようにして建設したのか。見たこともない建築思想の家。
“誰か”は“家”に入ろうとした。しかし、見えない透明の壁のような物が周囲に張り巡らされていた。
“誰か”それでも諦めずに、穴を掘って下から“家”に侵入しよう試みた。数日かけた苦労も無駄に終わる。
“誰か”は空から“家”に入ろうとした。空すら透明な壁が覆っている。
“誰か”は――
“誰か”は、“家”の周囲に住み着く。それから来る日も来る日も“家”を観察する。
“誰か”は“家”のすぐ近くの地面に、骨が埋められてあるのを発見した。きちんと埋葬されていた。その“骨”は“家”と寄り添うように埋められているように思えた。
やがて悟る。“この家”は『全ての侵入者を拒んでいる』と。それは“本来の持ち主”の命。或いは、性格を現しているのだろうと結論付けた。
ある森の奥深くに、“家”は存在する。“家”の存在を知る者が全て死に絶えても。
全ての文明が滅んでも“家”は存在する。
その“世界”が滅びるまで。
おわり




