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チートの家に引きこもる  作者: ニビル
第二章 外
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異世界交流

 訳が分からない状況になった。前世の姉と名乗る女の子が訪問してきた。その子は魔王で異世界ミールでは魔物を統治する恐怖の代名詞ともいえる存在。

 人間のミマス帝国からはミラ王女と支配の加護持ちのレアも家に押しかけてきた。死者と会話ができる冥府の加護を持つ猿男の獣人は黙っている。黒龍は元の男の子の姿に戻り、レアに「ママ―に会わせて」としきりに言っていた。


 今日できることを明日に引き延ばそう。それが新野の哲学。


 「自分は昼食の時間なので……これで」


 そそくさ家の中に入ろうとする。よし……誰も引き留めないな。


 「待って」


 自称前世姉の魔王クローバーが新野を引き留める。


 「まだ何か!?」


 ちょっとイラッとした。


 「これからは私が全てシン君のお世話をしてあげるの。あの時できなかったことも今は出来るようになったの。料理も上達したんだよ……?ご飯も準備してあげる。欲しい物は何でも買ってあげる。何でもさせてあげる……の」


 最後の方は恥ずかしそうに小声になっていた。

 あまり関わりたくないな。だけど、今までで一番心が動いた言葉だ。それって“家”で引きこもるのと違いはないんじゃあ……。しかも可愛い女の子にお世話をさせるって。いや、その手には乗らない。これも何かの罠だ。美味い話がそうそう転がっている訳がない。


 「いえ、間に合ってますので結構です」

 「誰。家に誰か他の女がいるの?」

 「いませんが」


 ロボットのレイは性別はないしな。


 「そう、なら良かった。もし他の女がいたのならば、ちょっとアレしちゃうところだった」

 

 アレ?いくら魔王が強くても家の結界は絶対に壊せない。それより先ほどの甘言が一番効いた。ついつい、“自分”から“外”へ出て行きそうになった。


  「ハァ……分かりました。それなら皆さんで昼食でも食べませんか?」

 

 レイは契約通り1日は動かないで寝ている。新野は男料理しか作れないし、大勢の食事を調理するのは無理だ。これもラーメンを知ってもらう良い機会だ。一応、国の偉い人だけど、カップ麺は未知の異世界の食べ物だし、大目にみてもらおう。


 「シン君の作った料理?食べるー。シン君のお話たくさん聞かせてもらうからね」

 「料理といってもお湯をいれるだけなんです。クローバー、詳しい話は現物を持ってきて説明します」


 おねえちゃんと呼んでと言われたが、さすがにキツイので妥協してクローバーと呼ぶことにしてもらった。

 

 「これです」


 段ボールにカップ麺を詰めるだけ入れた。この世界には箸のような物はないそうなので、プラスチックのフォークを箸変わりに使ってもらう。

 飲み物はペットボトルの水にした。水なら好き嫌いもない。

 魔王側だけでなく、ミマス帝国の人間側にも食料を配った。


 「こうして、ここにお湯をいれるだけです。味は色々持ってきましたのでお好きなのをどうぞ」


 反応はいまいちだった。メイドの女の子は猫舌なのか熱くて食べれない。レアは見た目が受け付けないとのことだった。黒龍の男の子には評判が良かった。結局食べたのはクローバー、男の子とエギムーだけだった。

 猿男は珍しい物を見るように遠巻きに観察していた。

美味い物を食べれば丸く収まると思っていた。そう甘くはない。


 「こんなものかな?もっと本格的に作れば……」


 こちらの文化を押し付けはするつもりはない。食べるのが無理ならそれでいい。エルフのダリアや、エルフの村ではそれなりに売れたから好みの問題だろう。


 「あ、そうだ。食後のデザートもあります」

 「あれか?」


 エギムーが口を挟む。

 

 「ケーキですね。ところで、エギムーにお土産にあげたケーキ―は……?」

 「シャロン様に取られて……」

 「シャロン……?お前、口の周りに何かついていたのは……。ラーメンを食べなかったのは……」

 「ち、違います。エギムーが奇妙な物を持っていたので調査しただけです」


 ケーキはかなり好評だった。お土産に好きなだけ好きなだけ持たせてあげた。特に黒龍の男の子の食いつきが異常だった。20人前くらいの量のカップ麺を食べ、ケーキもあるだけ食べた。甘い食べ物がこの世界には少ないのかもしれない。

 メイドのシャロンが話かける。


 「ケーキ美味しかったです。また、貰いに来てもいいですか?」

 「それは良かったです。う~ん。僕は異世界の食べ物に興味があります。異世界の食べ物はツィキーしか食べていません。そこで、提案があります。何か異世界の食べ物と物々交換してみませんか?」

 「それなら魔境でしかとれないリンゴを一つ……」


 真っ白なハンカチを左手の上に乗せる。それを右手でシャロンがはぎとると、中から茶色の塊がでてきた。一瞬パンに見えた。


 「これが……リンゴ?」

 「形や色が違うでしょう?始めてみる人間の方は驚くんですよ。でも、見かけによらず魔境のリンゴは甘くて美味しいですよ?ふふ」

 

 すぐに手を伸ばして食べようと思ったが、結界があることを忘れていた。ロボットのレイがいなければ自由に受け渡しができない。 

 ケーキとカップ麺は、台車の上に乗せて転がして結界の外に出した。

 ひと段落着いた後、クローバーがぼそりと発言する。


 「なぜ龍種がここにいる?」


 新野が説明をする。

 説明をしてる最中に思いついたことがある。


 「クローバー、冥府の加護で僕が前世の弟か調べてみないか?」

 「私は構わないが……。死者と会話できる加護があったのか。これをもっと早く知っていれば……!」

 

 後はレア次第だ。

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