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チートの家に引きこもる  作者: ニビル
第一章 家
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物々交換

ご都合主義です

 人型金属製ロボットのレイは、文句を言いながらも昼食の準備をしている。メニューは生姜焼き定食。たれと、肉の焼けるにおいが部屋に充満している。机の上には2人前・・・の食器が置かれている。

 一応新野の命令には従うようだが……嫌々働いているように見える。

 今も、「カエリタイ ネムイ ツカレタ」等、不平を言いながらも、新野の命令を聞き、作業をしている。

 帰りたい?眠い?疲れた?お前は人間ではなく、ロボットだろうと何度も注意をしようとした。口には出さないで我慢した。なぜなら、レイは新野を軸として具現化されたもうひとりの自分だからだ。自分に説教はしたくはない。第三者目線で見ると自分の屑さがよく分かる。

 レイの外見の特徴は金属むき出しの外見で、身長は自分と同じ。しかし、横幅は2周りは違う。体重もそれなりにありそうに見えるが、それを感じさせない俊敏な動き。……無音なので不気味さが際立つ。

 レイは半日充電しても半日しか行動できない。基本的な運用は太陽が昇ってる間の12時間にした。

 昨日レイを召喚?できたのは自分の魔法の力ではない。神様に与えられた“家”で快適に過ごすための手段にしかすぎないと……思う。なぜか力の使い方が分かり召喚?ができた。“神様”ありがとうございますと、心の中でお礼を言う。

 ダリアが本当のことを言っているか不明であるが、自分には魔法の素質が全くないらしい。この世界の住人からすれば、大なり小なり魔法が使えて当然。逆に魔法を使える素質が全くないことに、信じられないと教えてくれた。

 新野からすれば異世界はファンタジーな世界。そもそも魔法とは何だろうか?どういう原理で作用しているのだろうか。いくら考えても自分の頭では答えがでない。考えに没頭しているうちに料理が完了した。


 「メシ」

 「分かった。1つは中に閉まってくれるか?これが終わったら1時間休憩していいぞ」

 「ヤッター」


 ぎこちない機械的音声で、昼食が出来たことを片言で知らせてくれた。レイは命令には従い、しっかりと働いてくれる。『飴と鞭』の使い方次第で、飴(休憩)を上げれば上機嫌で仕事をする。見た目がロボットなのに感情がある。休憩と聞いて、飛び上がるほど喜んでいる。我ながら単純なやつめ……。

 木製のトレーに生姜焼き定食を乗せて、レイのお腹にある扉を開けて中に押し込む。レイのお腹のあたりにトレーが載るくらいの空間がある。

 自分の分の食事とレジャーシートを持ち庭に出る。


 「レイはそのまま“外”に出て」

 「ハイ」

 

 レイは“家”と“外”の境目にある、透明の壁を通過して“外”に出る。

 “外”にいたダリアはこちらを見て……具体的には、ロボットのレイを驚いた顔で凝視している。


 「おはようございます。……魔物は大丈夫でしたか?昨日はよく眠れましたか?」

 「えっ、ええ。魔物の気配は近くにはない。寝袋は快適だったわ。これを量産したら……って、違う。“それ”は何なの……人……なの?新野の他にも住んでいる人がいたのね。……紹介してくれないかしら?」


 21世紀の日本でもここまで高性能なロボットは存在しない。異世界はロボットの概念がないので人と間違えているのだろうか?金属の体だし間違うはず……。いや、もしかしたら異世界だからこそ金属で出来てる謎の生命体がいるのかもしれない。


 「なんて説明したらいいんだろう――」


 分かり易いようにレイの説明をした。人間ではなく、ロボットであることを。それにしてもダリアの口調が砕けてきたような……。

  

 「昼食はまだですか。良かったら一緒に食べませんか?」

 「ご馳走になります」


 レイは青色のレジャーシートの上に生姜焼き定食を乗せる。


 「ドウゾ」

 「あ、ありがとう?」

 

 2つの長い耳がぴくっと反応している。ダリアはレイに警戒心を抱いていると思う。

 新野は彼女の近くまでガーデニングテーブルセットを運んできた。


 「そうか、これを渡した方がよかったか。レイ、こっちに来て、テーブルと椅子を向こうに運んでくれ。もうすぐ休憩できるぞ」

 「ハイ!」


 機械音なのに、心なしか嬉しそうに聞こえた。投げる訳にはいかないので、レイに運搬してもらう。

 改めて、“壁”にぎりぎりの所にテーブルと椅子を設置して昼食を並べた。

 数センチ隔てた壁の向こうに、同じガーデニングテーブルセットを並べた。

 生姜焼き定食の説明を交えて昼食をとった。米は一部の地域で普通に栽培しているらしい。


 「とっても美味しかったわ。ご馳走さま」

 「お粗末様です」

 「貰ってばかりじゃ悪いから……」


 テントの中に入り、ごそごそと背嚢を漁る。

 手には布で包まれた物を持っている。

 そこでやっと“壁”の存在を思い出したようだ。小さい手でペタペタと“壁”を触る。

 

 「私たちエルフの携帯食ツィキーも食べて欲しかったけど……壁があるのをうっかり忘れていました」

 「その包みの中の食べ物を、僕にくれようとしてたのですか?レイに渡してくれればこちらに受け取りが可能です」

 「そ、そう」


 ゆっくりとレイに近づき、茶色い布の包みを押し付けるように渡す。また彼女の耳が、ピクピクとせわしなく動いている。


 「レイ食器を収納したら戻っておいで」

 「ハイ」


 レイは“壁”を通過して“家”の中に戻った。

 やはり……レイは特別だ。新野は一度“外”に出たらもう二度と“家”には入れなくなってしまう。だが、レイは違う。新野の“命令”を聞いて自由に出入りができる。早くエルフの食事を体験したくて考察を止める。

  

  包みを解くと薄い茶色で四角のクッキーのような物が数枚出てきた。


 「これが異世界初の食べ物!」


 匂いを嗅いでみるが無臭。厚みは2㎝。サイズはおにぎりに近い。


 「では、いただきます」


 警戒心を一切抱かず、彼女から差し出された物を食べた。

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