↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

ささくれて

作者: ParticleCoffee
掲載日:2015/12/05

 庭木の手入れをしていて、手のひらに深く木の枝を刺してしまう。

 木のささくれに気づかずに握り、思い切り手を滑らせてしまったのだ。

 表面に見えた枝は引き抜けたが皮膚の中に小さいかけらが残ってしまった。

 ちくちくした感覚があるが『痛い』というほどではない。

 親指と人差し指のツメでしぼりだそうとしたが、どうにもうまくいかない。

 深く皮膚に入り込んでしまったため取り出すこともできないだろう。

 あいにく毛抜きのようなものも手元になかった。

 いつまでも構っているわけにもいかず、我慢して作業を再開した。

 ――終わったら医者にでも行こう。

 そう考えてはいたが、放置しているうちに痛みがなくなり、作業が終わるころにはすっかり存在を忘れていた。

 次の日の朝、指の先から木のかけららしきものが出てきた。

 自然と出てきてくれたようだ。

 丁度いまは近くに毛抜きがあった。

 かけらの先っぽを毛抜きではさみ引っ張る。

 意外と固い。

 今度は、力をこめて一気に引っ張る。

 瞬間、腕から肩の骨をすべて引きずり出されるような感覚に襲われる。

 思わず毛抜きを投げ出してしまう。

 恐怖でそれ以上触れることが出来なくなった。

 だからといって、指先から木を出したままにしておくわけにもいかない。

 応急処置として、飛び出ている部分をはさみで切り落とした。

 内側に異物感があるが、軽く指を動かすが問題はなさそうだ。

 絆創膏を巻いてその日は済ませた。

 次の日の朝、指先の絆創膏を貫いて木の枝が飛び出ていた。

 扇のような形をした小さい葉っぱが一枚、枝の先端に芽吹いている。

 葉を引っ張るが、取れそうにない。

 枝ごと引っ張るが、抜けそうにない。

 今度こそ医者に行かなければと思う反面、

 ――このままにしておいたらどうなるのだろう。

 危うい好奇心が生まれ、好奇心に負けて、枝葉をそのままにした。

 次の日の朝、葉は枯れ果て枝はやせ細っていた。

 枝を引っ張ると、するりと抜け落ちてしまう。

 指には細く深い穴が開いていた。

 のぞき込むとなにかが動いているのが見える。

 耳を近づけると、カリコリと固いものがぶつかり合う音がする。

 気にせず、軽くもみほぐすだけでキレイに穴は埋まってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] 日常の生活の中で、奇妙な事が起きている不思議な感じが淡々と、違和感なく描かれている。 [一言] はじめまして。 何気ないお話なのに、引き込まれました。なんかリアルでした。 この木は一体何だ…
2015/12/05 20:04 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。