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戦闘!騎士隊長

 猛スピードで切りかかる隊長とそれをかろうじて躱す幸助。その斬りこみはついさっきのものとは違いとても深かった


「さっき一歩下がったのはそういうことかよ」


「邪魔者はお前だけなのでな。無駄口を叩く暇があるなら避けることに専念したらどうだ?寿命が数秒は延びるかもしれないぞ」


 隊長は剣を振るいながら、幸助はそれを躱しながら会話を続ける。先ほど一歩下がったのは幸助の後ろにいた女性に剣が届かないようにするためのものだった


「ハッ! 喋りながらでも余裕だっつってんだよ」


 余裕を見せる幸助だがそれは強がりであった。頬には一筋の汗が流れ、顔からも笑みは消えていた


「強がりだな。避けるのに精一杯で反撃する余裕もないだろう」

それを見抜いていた隊長の剣は更に勢いを増していく


 そんな会話を続けながら同じ光景のまま5分程経過しようとしていたころ


「うおおっ」


 幸助の首筋を剣がかする。言葉通り容赦なく殺しに来ているようだ


「強がりはもう終わりか?デカイ口を叩いてた割には大したことないのだな」


「うるっせぇ!まだこれからだろ。すぐにそのニヤケ面ぶん殴ってやるからな!」


 余裕の笑みを浮かべる隊長に幸助は豪語するがそれも強がり。打開策を考えるが何も思い浮かばない。その間にも幸助の傷は増えていくばかりである


「もうお前の減らず口も聞き飽きた。これで終わりだ」


 そう言いながら隊長が繰り出した突きは幸助の脇腹を抉る


「ほう、急所は外したようだな。だが重傷に変わりはない。このまま斬ってやるから大人しくしていろ」


 脇腹に剣を刺したまま話し出す隊長。幸助にトドメを刺すため剣を引き抜こうとする……が、動かない


「な、なんだこの力は。腕が動かない!」


 隊長の腕は幸助にしっかりと掴まれていた。動かそうにも動かせず、ここで初めて焦りの表情を浮かべる隊長


「目の前でごちゃごちゃとうるせぇんだよ。でもまぁおかげでテメーに隙が出来た」


 腕を掴んだまま隊長の顔を一発殴る。そしてよろけた隊長にしがみつく幸助


「随分といいものを着てるなぁ。派手で、高そうでーーーーとても重そうだ」


 隊長に足払いをして体勢を崩しそのまま後ろに後ろに倒れ込む


「待てっ!止めろ!」


 幸助が何をするか察した隊長は慌てるが遅かった


 彼らが倒れ込む先にはーーーー泉


 バッシャアアアアン


 大きな音を立て泉に落ちた2人


 少しして上がって来たのは幸助だった。息を切らし、刺された脇腹を抑えながらもなんとか陸に上がる。しかし立ち上がる力は残されておらず、その場に寝転がる


 それを待ち受けていたのは騎士達であった

 自分たちの仲間と上司がやられたことに対し、全員の顔が怒りで歪んでいる


「さすがにもうどうしようもねぇな…」


 自分に残された体力と相手の人数を考え両手を挙げる幸助

その時であった


 ザッパアアアアアアアアアン


 泉が再び大きな音を立てる

 そこから飛び出してきたのは


「さっきのはなかなか驚かされたぞ」


 泉に沈んだ筈の隊長がそこに立っていた。ただ数分前とは姿が少し違う

 ガッチリと身を包んでいた鎧は軽そうな見た目になり、自慢の剣はひらべったい形状から円錐に変わり、まるで1本の大きな角のようだった


「遊んでやってたとは言え、あそこまでやられるとはな。排除する前に名前を聞いてやろう」


 幸助の首を掴み無理矢理立ち上がらせる


「不破……幸助」


 観念したのか素直に答える幸助

 隊長の様子を見るに、遊んでいたというのも嘘ではないだろう。強がりを言える余裕などなかった


「不破幸助か、覚えておこう。そして誇って良いぞ。私を少しでも追い詰めたことを」


(どうせ死ぬんだし、誇る必要もないだろ)


 もはや口に出す元気もない。そのまま目を閉じると隊長の剣は幸助の腹を貫いた



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