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鳳南の町


鳳南に到着した一行は言葉を失っていた

目に映るのは半壊、全壊した家屋ばかりで地面には割れたガラスが散乱している

全く人の気配がせず果たして今、この鳳南という町は町として機能しているのだろうか

生憎の曇り空がこの町の不気味な雰囲気を加速させ一行に一抹の恐怖感を抱かせる

廃墟同然の町の様子に一行は唾を飲み、意を決して町の中へと足を踏み入れたのだった


「酷い有様だ……鳳南は衣服で有名な町で有名人とかもよくここに服を買いに来るという噂をよく聞いてたけど……」


「そんな素敵な町がなんでこんなことに……」


「これ全部人間がやったことなの……?」


瓦礫を避けながら一行は町の奥へと進んで行く。運昇の言う通りで地面には汚れたり破れたりした衣服がハンガーに掛かったまま沢山散らばっていた


恐らく店の売り物だろう。人が丹精込めて作ったものが誰にも使われることなくその生涯を終える

こんな悲劇を招いた犯人をこのままのさばらせるようなことはしておけなかった


まだどこかに町の人がいるかもしれない。真相を確かめる為に一行は更に奥へと進んでいった


「ねぇ、子供がいるわよ?」


永愛が前方を指さしてそう言うと全員がその先を見る

そこにいたのは小さな女の子で何かを探しているのかしきりに辺りを見回していた


「あんな小さな子供が何をしているんだ?」


「ちょっ!あれ見て!」


今度は優輝が少女の頭上を指さした。半壊した家屋の上に大きな瓦礫があって今にも落ちてきそうにフラフラと揺れている

少女は下ばかりを見ているせいで全く気づく様子がない


そしてそれは間もなく下にいる小さな体目掛けて静かに落下した


「危ねぇっ!」


危険を感じた幸助は少女の元へ駆け出す。落下する瓦礫よりも速く駆け寄り抱き抱えることに成功したが瓦礫は既に幸助の目前まで迫っていた


しかし瓦礫は幸助と少女に命中することはなく大きな音を立てて粉々に砕け散った


「ふう……間一髪だったね」


「助かったぜ優輝」


「どんなもんだい!」


幸助が駆け出すと同時に優輝はハンマーを伸ばしていた。見事に瓦礫を砕いた優輝はしたり顔を幸助に見せつける


「大丈夫か?怪我してねぇか?」


抱き抱えた少女を地面に降ろし幸助は問いかける。突然の出来事に少女は思考が追いついておらずただ目を丸くして幸助の顔を見つめていた


駆け寄ってきた他の皆も少女の安否を確認するがどこにも怪我は無さそうでホッと胸を撫で下ろす


「こんにちは。君の名前は?ここで何をしているの?お父さんとお母さんはどこだい?」


「フミ。パパのお洋服を探してるの。ママはちょーちょーさんの家にいて、パパはいま遠いところにいるの」


運昇が優しく問いかけるとフミという少女はやっと口を開き答えた。もう少し情報が欲しいと運昇は更に質問を続けた


「君のお家はどこにあるの?」


「あっち」


少女は町の中心を指さした。しかし彼らが見た限りそこに家など存在しないように見えた


「フミ!どこにいるの!?フミ!」


続いて瓦礫を掻き分け現れたのは1人の女性。先程の少女と違って大慌てで辺りを見回しながら走ってくる


「ママー。こっちー」


フミの声にすかさず反応した女性は速度を上げて駆け寄って来る。しかし幸助達を見た瞬間にその足をピタッと止めてしまった


「うちの娘に何をするつもりですか?」


口ぶりからしてフミの母親なのだろうが言っている意味が理解出来なかった

何をするつもりだと問われてもただ少女を助けただけでそれ以上何かするつもりなど毛頭ないのに何故そんなに怖い顔を向けられなければならないのだろうか


運昇が1歩前に出て両手を上げ、敵意がないことを示す


「あなた方に物資を届けに来ました。もちろん娘さんもお返しします」


運昇が幸助に視線を移すと幸助も意図を理解しフミの背中を軽く押した


「ほら、お前の母さんだぞ。行ってやれ」


「ママー」


フミは母親目掛けて一直線に走り出す。我が子の無事を確認出来ると母親はフミを力いっぱい抱きしめた


「あぁ、良かった!危ないから外に出ちゃダメって言ったでしょ!」


「でもパパのお洋服がーーー」


「いいから戻るわよ!」


言葉を遮って母親は強引にフミの手を引っ張り足速に歩き出した


「お待ちください。詳しく事情を知りたいので我々も同伴させて頂けないでしょうか?」


「……そうやってまだ生きている人に手を出すつもりですか?あなた達は一体何が望みなんですか!?この町はもう……こんなになってしまっているのに……」


母親は小刻みに震えだし声も若干涙混じりになっていく。なんとかして誤解を解かないとせっかくの生存者てがかりが無駄になってしまう


しかし母親は完全にこちらを敵と認識してしまっている為、このままではイタチごっこだ


「……ではこれだけでもお持ちください」


運昇は背負っていた大きなカバンを降ろして中から大量の食料やら飲み物を取り出した

その作業は長く、ようやく全てを取り出し終わったと運昇はカバンを逆さにして何度か振る


これ以上何も入っていないという証明だ


怪しい物は一切入っていないことを証明すると出した物をカバンの中へと仕舞っていった。そして現場が元通りになると運昇は母親に背を向けた


「あなた1人の力でこれを運ぶのは不可能でしょう。これはここに置いて行くのでまた男性を連れて持って行ってください。さぁ君達、運搬ご苦労だった。次の仕事をするとしよう」


「いいのかよ。せっかく人に会えたんだぜ?」


「いいんだよ。困っている人に物資が届けられたならそれで」


幸助の肩を抱きその場から立ち去ろうとする一行を母親は呼び止めた


「待ってください。まだ信用はしていませんが今から町長を連れてきます。それまでここで待っていてください」


一方的な要求を押しつけて母親とフミは去っていった。運昇のおかげでほんのちょっとではあるが誤解は解けたようだ


「アンタやるじゃない」


「何度もやっているんだ。被害に会った人……特に人の手によって被害を受けた人は人に対して物凄く警戒する。それを解くのも僕らの仕事だからね」


自分達だけではどうすることも出来ず去っていく母親の背中を虚しく見つめるしかなかっただろう

この機会を作ってくれた運昇を少しだけ見直した一行であった


そして待つこと数分。母親は5人の男性を連れて約束通りこの場所へと戻ってきた

若干の距離をとって男性はジロジロとこちらの様子を伺っている

その中の1人が1歩前に出て口を開いた


「町長のつつみです。あなた方が物資を届けに来てくれた方で間違いないですか?」


「そうです。彼らはボディーガードのような者でここに来るまで何度も私の身を守ってくれました」


堤と名乗る町長の目を真っ直ぐ見つめる運昇。ここで目を泳がせるような真似をすればそれだけで相手の信頼を得ることは難しくなるのだ


「彼女から聞いた話だと確かにあなた方によこしまな考えがあるとは思えませんね」


フミを助けたことによって警戒心は薄れていたようだ。もう一押しというところで運昇が話を続けようとした時


「ですが帰ってください。この物資は私達で運びますので。危険を顧みずここまで来てくれた事、感謝します」


町長から放たれた残酷な一言に一行は動揺する。帰る素振りは見せたがそれは相手の気を引く為であって本当に帰るつもりなど勿論ないのだから


しかし帰れと言われて素直に帰るなら彼らはこの場にいることはない


「待ってください!せめてこの町で何が起きたかだけでも教えて頂けないでしょうか?」


町長が話を聞いてくれる様子は無かった。町長に指示され周りの男達がカバンに群がるとそのまま持ち去ろうとする


しかし立ち去る彼らの前に立ち塞がったのは幸助だった。両者の間に空いていた距離をひとっ飛びで埋めたのだ


「どきなさい。こうして外にいる1分1秒でも私達の寿命は減っているんだ」


「どかねぇよ。アンタ達を1分1秒でも長生きさせる為に俺はここに来たんだからな」


幸助と町長。両者1歩も引かず睨み合う


「言っていることがメチャメチャだ。そう言うなら素直にそこを通してくれないか?」


「この町で何が起きたのか。今どうなっているのか。それを聞かねぇと納得出来ねぇまま帰れるかよ」


「君のような子供に話したところで無駄だ。アイツらは人の手に負えるようなもんじゃない」


頑なに話をしようとしない町長と話を聞かないとテコでも動かない幸助

粘り強く立ち塞がる少年に町長は次第にイラつき始めていた


「いいからどけぇ!このままでは……私達は殺されてしまう!」


ついに怒鳴ってしまった町長に全員度肝を抜かれた。一見温厚そうな男が声を荒らげたことに優輝、永愛、運昇は驚いた

しかし町民が驚いたのはそのことだけではない。母親は町長の前に立ち人差し指を唇の前に出す


「町長、大声はいけません」


焦っているがとても小さな声で注意した。母親に言われ町長はハッと我に返る


「しまった!ついカッとなって……」


こうなってしまった以上、手段を選ぶことは出来ない。町長達は幸助を突き飛ばす勢いで走り出した


が、既に遅かった


「おっほぉ~。なんだ今日は大量じゃねーか!」

「10人か~。どこに隠れてたかは知らねぇがこりゃ力試しにはちょうどいいな!」


町長の声を聞いてやって来たのかそこには見知らぬ男が3人立っていた

両手に物騒な銃器を抱えた男が2人。そして手ぶらの男が1人


「も、もう終わりだ……。奴らが来てしまった……」


町長は青ざめ力なく膝から崩れ落ちる。他の町民もこの世の終わりのような顔をして抱えていた物資の入ったカバンを落とした


「さて、今日はどうしてやろうか?気持ちよく1発で仕留めるか、1人ずつ順番になぶるか……」


銃の先端をこちらに向け品定めするように笑みを浮かべる男


「待て!何をするつもりだ!彼らが何をしたと言うんだ!」


両手を広げ前に出たのは意外にもビビリの運昇だった


「何をしたってただそこにいただけだけど?武器の力を試すのにちょうどいいから的にしただけだけど?」


悪びれる様子も無く男は銃を見せつけケラケラと笑う。人の命をゴミのように扱うその態度に運昇は砕けそうな程歯を強く噛み締めた


「そんなんどうでもいいだろ?とりあえず死にたいならまずはお前からだな」


そう言って男は運昇に向けて発砲した。単発など温いものではなく連射式の銃は耳をつんざくような破裂音を放ち続ける


「オラオラァ!蜂の巣だぜー!」


愉快な叫び声を上げながら引き金を引く手を止めようとはしない。その後ろでは残る2人の男も愉快そうに笑っていた

やがて銃声は鳴り止み粉々の肉片になった運昇だったものの姿を確認しようとする


「なんだよすげぇ震えてんじゃねぇか。ビビリの癖にかっこいいことしやがって」


頭を抱えて蹲る運昇の前に幸助が立っていた。2人の周囲には空になった無数の薬莢が散らばり幸助の両手からは煙が吹き出している


「……あ?どういうことだ?なんで死んでねーんだ?200発は撃ったはずだぞ?」


「銃弾なんざ全部叩き落としてやったよ」


不思議がり首を傾げる男を睨みつけて幸助は答える。吹き出していたと思われた両手の煙は銃弾に触れた際に発生したものでまとわりついていたと言う方が正しかった


「どけ。そいつはお前のようなただの人間が相手に出来る奴ではない。恐らく星降守護部隊の奴だろう」


銃器の男を押し退け今度は唯一手ぶらだった男が立ちはだかるが幸助の実力を見てか星降守護部隊と勘違いしているようだった


「だが誰が相手でも関係ない。俺は貴様を超える程の力を手に入れた」


「それはこっちのセリフだ。何があったかはまだ分かんねぇけどいきなり銃撃ってくるようなクズ野郎に俺は負けねぇよ」


威勢のいい幸助の態度を見て男は静かに笑う


「子供だと言うのに威勢のいい男だ。だかこれを見てもまだその余裕が保てるか?」


男は地面に転がっていた大きな瓦礫を掴み、持ち上げると幸助目掛けて投げつけた

しかし幸助はそれを迎え撃ち拳一つで粉砕する


その姿に男は驚くどころか感心し、幸助に拍手を贈る


「やはり星降守護部隊というのは強者が揃っているな。だからこそ潰しがいがあると言うものだ!」


男の右手に紫色の光が薄らと灯る。見慣れないその光景に幸助は若干の動揺を見せた

光る右手で数々の瓦礫に触れていくと触れられた瓦礫が1つ、また1つと宙に浮かんで1箇所へと集まり始めた


それらはやがて人間のような形を形成し幸助の身長の倍以上ある瓦礫の巨人へと生まれ変わったのだ


「これも噂の不思議な力ってやつか。さっきのショボい奴とは大違いだな」


「あ、アイツだ!私達の町を壊して暴れ回った怪物だ!」


幸助の背後で町長が叫んだ。1度町長の方に振り返りもう1度瓦礫の巨人へと視線を戻す

この町をここまで粉々にしたのが目の前の怪物だと言うなら充分納得がいく話だった


「1つ聞いていいか?」


「なんだ?命乞いをするなら今が最後だぞ?」


「どうしてこんなことをした?この町の人達に恨みでもあったのか?」


幸助の問いかけに男は迷う様子もなく、躊躇うこともなく答えた


「ただ新しい力を試そうと思っただけだ。そしてたまたまこの町がそこにあった。それだけだ」


つまり特別な理由など一切ない。個人的な欲求を満たそうとするだけで1つの町を壊滅状態まで追い込んだのだ

その答えを聞いて幸助はもう怒りを抑える必要がないと実感した


「運昇、下がってくれ。そんで優輝と永愛は流れ弾が行かないようその人達を守ってくれ」


「うん。わかった」

「そんな外道、コテンパンにしちゃいなさい」


優輝と永愛は武器を取り出し町民の前に立つ


「1つ言い忘れたけど命乞いをすんのはテメェの方だ。したところで許さねぇけどな」


「退く気がないならお前が力尽きるまで戦うだけだ」


巨人が襲いかかってきた。大きな腕を振り上げて空気を切り裂きながら幸助へ殴り掛かる

避けるという選択肢など頭から抜け落ちてしまったかのように幸助は迎え撃つため拳を構え、突き出す


瞬く間に拳同士はぶつかり合い大きな音と衝撃が周囲に広がる

巨人の拳は砕け、崩れ落ちた手はただの瓦礫に戻った


「とてつもない力だ。しかしそれだけではこいつを負かすことは出来んぞ?」


男の右手が再び紫色に光る。そしてその手でまた瓦礫に触れると先程と同じように宙に浮かび上がり巨人の腕へと集中すると砕いた筈の拳が復活した


「瓦礫がある限り俺は無敵。お前に残されたのは敗北からの死だけだ」


無敵の再生能力で既に勝利を確信し、男は幸助に対して死の宣告をする

しかし幸助は当然そうは思っておらず力強く地面を蹴りだし走り出した


巨人の股の下を抜け向かうのはその奥で悠々と突っ立っている男の元


「なら先に使用者テメェをぶっ飛ばせばいいだけだろ!」


「その程度で出し抜いたつもりか?甘いな」


目前に迫り拳を振りかぶった幸助にそう言い放つ。次の瞬間、幸助の体に強い衝撃がのしかかり向きを変えて真横に吹っ飛び瓦礫の山へと突っ込んだ


「そのくらいの距離など動かずとも足りる」


股下を抜かれた巨人はすかさず振り返ると同時に勢いをつけ、そのまま自分と主人の間にいた敵を払い飛ばしたのだ


瓦礫の山から這い出て来た幸助は諦めることなく今度は巨人へ向かって走り出した

迎撃しようと拳を振り下ろした巨人の拳を横に飛んで躱す。そして無防備な足へと拳を一撃繰り出すと巨人の足が崩れバランスを崩し地面へと倒れ込む


「立つんじゃねぇよ!」


腕と片足で立ち上がろうとする巨人のもう片足も拳で砕き立ち上がることを許さない

身動きが取れなくなった巨人を尻目に再び本体を狙いに行く幸助


「今度こそぶっ飛ばす!」


「力だけでなく速さも優れている。だが頭の方は少々足りないようだな」


「負け惜しみか?今更何言ったってーーー」


また幸助の体に強い衝撃。今度は横からではなく背後からで幸助のスピードも合わさって先程とは比べ物にならない勢いで吹き飛ばされた


「手があれば殴る。足があれば蹴る。銃があるなら撃つ。そして岩があれば投げるだろう?」


振り向きはせず自分の遥か後方に吹っ飛んだ幸助に語りかけるように男は喋った

男の目の前には腕を振り切った巨人の姿。足は未だに崩れたままだがまだ手は生きている

自分の崩れた足の瓦礫を掴んで幸助目掛けて投げたのだ


「わかったか?こいつを倒すのは不可能だと」


圧倒的な力の差を見せ付けて勝ち誇る男の姿を運昇と町長は体を震わせて見ていた


「どどどどどどうすんだよ~!絶望的じゃないかぁ~!」


「黙ってなさい。あんなのに負けるような幸助じゃないわ」


狼狽える運昇を永愛は静かに宥める

幸助が負けるなんて有り得ない

そう思っていてもあの圧倒的な怪物を目の前になす術ない幸助の姿を見ると胸の中が不安でいっぱいになり永愛の頬を一筋の汗が流れ落ちた


「心配しなくて大丈夫だよ。だから僕らはここで幸助の言う通りにしてればいい」


いつもなら真っ先に焦って大騒ぎするのは優輝である。しかし今は冷静に戦況を把握し確信をもってその言葉を言ったのだ

月日にすれば3ヶ月という短い期間ではあるがその中で幾多の戦いを共に超えてきた優輝は分かっている


この程度の相手に幸助が負ける訳ないと


「ほう。まだ立ち上がれるとは随分と頑丈な体だな」


「昔から色々あって鍛えられてるからな」


再び立ち上がった幸助は額から血を流し顔を伝ってやがて地面へと落ちる


「だが何度やろうと同じだ。巨人こいつがいる限りお前に勝ち目はない」


「そうだな……。確かにこのままやっても勝てねぇ」


敗北を認めた幸助に男はニヤリと笑う

男の背後にはいつの間にか修繕を終えた巨人が立っておりトドメを刺すその時を今か今かと待ち望んでいるかのようだった


「ならば俺に向かってきたその勇気に敬意を払って楽に死なせてやろう」


「勘違いすんなよ?俺一人の力じゃ勝てねぇってだけだ。悔しいけどな」


そう言って幸助が見たのは男の先の怪物、の更に先

永愛ではなく優輝でもない。さっきから一言も発さずにじっと戦いを見つめていた小さな体


「クロ!悪ぃけど力を貸してくれ」


呼びかけにニッと笑うとクロは走り出し怪物と男の横を通り過ぎて幸助の肩に乗っかった


「何を謝る必要があるのさ。余裕こいた彼の鼻っ柱をへし折ってやろうじゃないか」


クロは光の玉へと姿を変えると幸助の体に吸い込まれていく

幸助の拳には猫の顔のような痣が刻まれた


「さぁて、こっから逆転といこうじゃねぇか!」



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