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優輝 頑張る


「言いたいことはそれだけ?じゃあ僕もう行くよ」

若干声を震わせながら立ち去ろうと幸助に背中を向けると幸助はその小さな肩を掴んだ

「待てよ。話は最後まで聞くもんだ」

この言葉に優輝はなんの反応も示さない。しかし掴んだ手を振りほどいたり無理矢理にでも逃げないところを見ると話を聞く気はあるようだ

「お前の父さんは言ってたぜ。時には自分の気持ち曲げてでも守らなきゃいけねぇものってもんがあるって。例えば村のこととか」


「家族のこととか」


「俺はその言葉を理解できても納得はできなかった。やられたまま黙ってるなんて絶対にできないからな」

「ただその時のお前の父さんはメチャクチャカッコよかったぜ。何かを守るために戦うってのはーーーおっと」

優輝はここで肩に乗った幸助の手を振り払って走り出してしまった

「行っちまったよ。というかおじさんのこと勝手に喋っちゃって良かったのかな」

「じゃあ僕らも戻ろうか」

クロの声に不意を突かれギョッとしつつも肩にクロを乗せ不動家へ向けて歩き出す


「なんか偉そうに説教しちまったけどあれで良かったのかな」

「さぁね。過去の行動を悔いても意味はないよ。それを聞いてどう考えるかは彼次第さ」


「君はまだ子供なんだ。いっぱい悩んで成長すればいいさ」

「それ、猫のお前が言うことなのか?」

「とにかく、これで精神年齢は1つ成長して14歳だね」

「全然嬉しくないんだけどそれ」






ハアッ、ハッ


「クソッなんだよ。偉そうに説教なんて」

優輝は村の外へ向かって走っていた

特にどこへ行くわけでもないがとにかく家から離れようと必死だった

幸助から父の思いを聞かされた後では家に帰るなど、ましてや父の顔を見るなどとても出来そうになかった

そして村の入口から出て少し走った時何かと衝突した

「痛っ!何なんだよもう…」

「あらぁごめんなさいね、ってあなたあそこの村の子かしら?」

どうやら人にぶつかってしまったらしい

ぶつけた鼻を擦りつつ相手の方を見ると思わず息をのむ

目に映ったのは見覚えのある制服

全身に鳥肌が立ち額から一筋の汗が流れたのがわかる

(星降守護部隊っ!)

「あたしあそこの村にいる男の子に用があるんだけど知らない?凄く真っ黒な髪の毛の男の子なんだけど」

(あいつのことだ。きっとさっきの仕返しにきたんだ)

現状を切り抜けるべく優輝は考える。知っていると言えば間違いなく目の前の敵は村へと向かって行くだろう

つい数分前、優輝は幸助の口から父が沢山のものを守るために戦っていたと聞いた

何も知らずに父を軽蔑していた優輝はその話を聞いて父に申し訳なく、そして自分が情けなく思えた

(父さんは村のために戦ったんだ。なら僕だって!)

「し、知らないよそんな人。僕はあの村の子供だけどそんな人は見たことがないよ」

考えて出した答えは純粋に嘘をつくこと。相手から目を逸らし、逸らした目はとてつもない勢いで泳いでいる

嘘をついていることは誰の目にも明らかなのだが今の優輝に出来る精一杯はこの程度であった

「あらそうなの?困ったわねー」

敵は顎に手を当て何やら考えている。もうひと押しすれば諦めて帰るだろうと根拠のない自信が彼の体に満ち溢れてくる

そして次の言葉を必死にひねり出そうとした時


ピシィィン!


鋭い音が空気を切り裂いた

自分が何をされたかさっぱり分からず状況が全く飲み込めない優輝だがその体に残る痛みがハッキリと1つの答えを導き出していた

攻撃された。目に見えない程のスピードで

「あなた甘いわね。そんな下手糞な嘘で帰るわけないでしょ。あなたが村の子だって言うならそいつが出てくるまであなたを村の中心でいたぶってあげるわよ」

うずくまる優輝を抱えて敵は村へ向かって歩き出す

敵はもう目の前まで迫っている





「えっ、あいつまだ帰って来てない…んですか」

「うん。一体どこへ行っちゃったのかな」

優輝と別れた直後、不動家へと戻った幸助とクロを待っていたのは良くない報せであった

さっき別れたはずの優輝がまだ家に帰ってきていないと泉から聞かされた

剛也たちも心配そうな顔をしている

「さっきちゃんと連れ戻すべきだったか」

そこでクロに顔をつつかれる

クロを見ると外を指さしている

そしてその口が軽く動き

「もう一回」

そう告げていた。口パクであったがそれはしっかりと幸助に伝わった

「そうだよな。いないならもう一度探しに行くしかないよな」

頷いて外へ出ると何やら村全体がザワついていた

表に出ていた住人は全員村の入口へと顔を向けている

果たしてその目線の先に何があるのだろうか

嫌な予感がした幸助は不動一家と共に走り出し、走れないクロには後から来るように伝え一旦別れた

「なんだかとてつもなく強い気配がするよ。何も起こらないといいんだけど」

クロは吐き気と戦いながらゆっくりと幸助たちの後を追い始めた



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