希望
かつて大陸では大きな戦争があった。
戦争がもたらした悲しみは大きく、特に小国であったダティン王国の人々は疲弊し切り、飢えた身の上に容赦なく積もる雪と共に絶望の中にいた。隣国から共同政治という事実上の国家吸収が打診され、地図上から「ダティン」の名が消える寸前、王国を救ったのは焼け野原に立つ一本の大木であった。この大木は、毎年春の短い期間に花を咲かせては散らすことを繰り返す木であった。しかしこの時は、吹雪いた風により春よりも短い期間であったものの、見事な花を咲かせていた。吹雪に対抗するように生きようとするその姿は、疲れた人々を慰め、希望を与えるものであった。
それからのダティン王国の復活劇は、大陸中の国という国にありえないと驚かせ、後世に長く語り継がれるほど信じられないものであったと歴史書には記されている。
そして、人々を支えた大木は国の中心に植えなおされ、季節外れに花を咲かせたのを最後に花をつけなくなったものの今でも国を見守り、人々からは『希望』をあらわす『カムア』という新しい名前で親しまれている。
同時に、こんな話も人々の間で伝わっている。
国を守ったカムアの木
『希望』の名を持つカムアの木
カムアの木に花咲くときにあの人は現れる
いとしいあの人が戻ってくるよ
国を守ったカムアの木
いとしいあの人は今いずこ
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