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半歩 ~守・破・離 短き刃 長き道~  作者: 止水


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第三十八話 オープンキャンバス二日目 午後 甘い ー悩むタヌキー

「さて、雪の演舞も見たことだし…」


「じゃあさ!」

澪、即切り替え。

「クレープ食べに行こ!」


春日「え?」


澪「雪も誘っとくか 後で合流」

決定、早い。


「いや、ちょっと――」

春日、止めようとする。

「ここの案内は?」


「私たちの時間は終了 交代だね」


「で、春日をナンパしてた君たちは? 」

「一緒に来る?」


御影、即答。

「私たちはフリーです」


澪、

「じゃあ問題ないね」


結論。

(早い……)


数分後。

メイングランドの端。

クレープ屋台。

三年生のブース。

どこか、場の密度が違う。


なんと、奥では鷹宮先輩が――

鉄板の前に立っている!

みょ~にエプロン姿が似合ってる

いつもの凛々しい姿とのギャップ


御影が即、注文

「私はチョコバナナで!」


さっき合流した雪も

「私もそれで」


弓場が

「私は抹茶」


「澪は?」

悩んでる澪に雪が


澪が蓮をチラ見

「じゃぁ、甘さ控えめ、メロンパン味で」


「そんなのあるの!?」


「大丈夫、蓮なら作れるよ!」


雪がまた嗜める

「澪 学校では鷹宮先輩です せめて蓮先輩」


完全にオープンキャンバス満喫している。


春日だけ、浮き立っている。

(……なぜこうなった)


弓場、楽しそうに振り返る。

「春日くんも選びなよ!」


「いえ、自分は――」


「ダメ!」

即遮断。

「こういうのは“合わせる”のが大事!」


御影も乗る。

「うん、それも経験」


澪、適当。

「修行だね」


春日、真剣に頷く。

「なるほど… 澪先輩がそう言うのであれば」


弓場「素直すぎ!」


ベンチ。

四人、座る。


一人、背筋を伸ばして座る春日。


「いただきまーす!」

「……いただきます」


「美味しい~!」

「ね」

「こういうのも大事だよね」

完全に女子会。


春日、無言で食べる。

(甘い……)


一瞬、思考が逸れる。

(違う)

(自分は今――)

(悩んでいるはずだ)


横を見る。


弓場、笑っている。

御影、楽しそう。

澪、のんびり。


さらに向こう。


雪。

「これ、美味しい」

普通に混ざっている。


御影、雪を見る。

「本山先輩!」

「さっきの演舞すごかったです!」


雪、にっこり。

「そう?」


弓場「すごかったです 驚きました」


澪「うんうん、やっぱり普通にやばい」


雪「よく分からないけど、ありがとう」

平常運転。


弓場、興奮気味。

「いやあれ、素手相手の動きも入ってますよね!」


雪「え?」

本気で分かっていない。


一拍。


雪「普通にやっただけだけど」


澪「やっぱ、無自覚タイプだなぁ」


弓場「やば…… 怖い…」


御影「ねぇ、首席って言うの、わかってくれた?」


弓場「めっちゃ、納得!」


盛り上がる三人。


「え、何の話?」

完全に置いていかれる雪。


その横で。

春日は、一人。

クレープを持ったまま。


(――自分だけ、浮いている)


周りを見る。


楽しそう。

笑っている。

誰も。

気にしていない。


(自分だけが――)

拳を、少しだけ握る。


(拘っているからなのか…)


素手。

小太刀。

融合。

全部。


自分だけが

その中で。

止まっている。


「春日くん?」

弓場が覗き込む。


「どうしたの?」


春日、顔を上げる。

「……いえ」


一拍。


「甘いです」


「感想それ!?」


全員、笑う。


空気は軽い。

何も変わらない。


そして。


自分の悩みも。

解決していないまま。


「次、何見る?」


「あっちのゲームコーナー」


「行こ行こ!」


即移動。

春日も、立つ。


答えは、まだない。


だが。

時間は、止まらない。


笑い声の中で――

春日だけが、静かに考えていた。


ーーーーーーーーーーー


「おめでと~!」

スタッフから景品を受け取る春日。


澪先輩命令のゲーム

春日一人が景品をゲット!


小さなタヌキのキーホルダー。

(……いらない)


だが。

弓場が横から覗く。

「何それ 可愛い!!」


「景品です」


「貰っていい?」


「どうぞ」

即譲渡。


「やった」

満足。


御影「ほんと、雑だなぁ」


澪「らしいね」


雪「いい人」


春日「……」


そのあとも。

屋台。

展示。

軽い体験。

笑い声。

ツッコミ。

ボケ。


ずっと続く。


春日も、ついていく。


だが。


どこかで。

(……違う)


心の奥で。

(自分は――)

まだ、止まっている。


ふと。

視線が、交差する。


御影、春日を見て

ほんの一瞬だけ、

真面目な目。


その上で――

にやりと笑う。


(でも、今日はいいや)


夕方。

少しずつ、人が引いていく。

オープンキャンパス、二日目も終盤。


「楽しかったー!」

弓場、伸びをする。


「満喫してくれた?」

御影。


弓場「うん」


雪。

「疲れた」


澪。

「で?」

「春日は、楽しかったか?」


春日。

「……」


一拍。


「……はい」

わずかに間を置いた返事。


雪が、ちらりと見る。

何も言わない。


澪の口元が、

少しだけ緩んだ。


春日の中で。

静かに、何かが固まり始める。



逃げない。


そのための、何か。



澪たちの笑い声とは別に――

春日の思考は、次へ進み始めていた。


ーーーーーーーーーー


「ねえ、このタヌキ……春日くんっぽくない?」


「タヌキって犬科らしいよ」


「ほら、やっぱり」


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