表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者案内所  作者: 超山熊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/1

プロローグ

少し前に投稿した短編を長編にしました!


 「ここが冒険者の街……アドバンス!」


 新人冒険者のレックスは長い馬車の旅を終えて終着点である有名な街へ来ていた。

 身を乗り出しながら待ちきれない様子のレックスと同じ馬車に乗るのは冒険者仲間(パーティ)の2人。

 長く先端に宝石のようなものがついた杖を抱えるのが、レックスと同じ新人冒険者で”魔法使い”のマリーン。


 「長かったわ……」


 と疲労困憊の様子で項垂れるマリーンの横でレックスが馬車から落ちないように支え。


 「まずはギルドに寄らないといけないね」


 と空いた片手で地図を開く弓を背負った少女が、レックスと同じ村出身で彼と幼馴染のヘスター。

 新人冒険者の三人は自分たちの故郷に別れを告げて遥々遠いこの街まで来ていた。


 ”アドバンス”という街は王国内の街でもかなり有名であった。


 冒険者という職業はどうあっても”死”というものと切っても切れない関係にあり、王都近くのような魔物(モンスター)も少なく盗賊といった犯罪者も少ない場所で無ければ冒険者の死亡率は50%を超えることもあるぐらいで。

 それらの窮地を乗り越え強敵を打ち倒した者が一線級の冒険者として名を馳せていくのだ。

 しかしそんな者になれるのは全体のうち一握りどころか片手の指で足りるほどだろう。だからこそ一般的な冒険者は死なないように装備を整え仲間を募る。


 レックスたちもそうやって出来た仲間(パーティ)であった。


 にも関わらず、アドバンスという街の冒険者は死亡率が唯一の――0%。

 にわかには信じがたいが王国内で”アドバンス”という街が有名な理由でもある。

 その真相を確かめに、そして何より自分たちが死なないために長い馬車生活を乗り越えてここまで来たのだ。

 

 レックスたちが馬車を降りると真っ先に感じたのが街の造りだった。

 王都を含めた他の街では野党や魔物の対策として城塞が街を囲み、入り口には衛兵が立っているのが常であった。

 しかしアドバンスは街の守りがとても手薄で、まるで「いつどこから敵が来ても問題無い」と示唆しているようであった。


「まあ、それだけ冒険者が多いってことよね」


 レックスの考えていることを読んだかのようにマリーンが言う。

 確かにそうだ。

 先ほどから街の中ですれ違うのは武器を持った冒険者が大半。彼らが敵に対して即行動するようにしていると考えれば街の造りはおかしくない。


 3人は街を進み中心部へ向かう。

 そこには街に入ってから一番大きく見える建物があった。


『冒険者ギルド アドバンス支部』


 扉の上に大きく書かれた看板にはそう書いてあり、レックスたちは迷うことなくその門をくぐる。

 建物の中は騒々しく冒険者たちが依頼書片手に酒を飲んでいた。


「さっさと転籍届を出して依頼書のところへ向かうよ」


 ヘスターの声に頷き、奥に列をなす。

 ギルドのカウンターには3種類の列があり、レックスたちはその中で「その他」と書かれた列に入る。

 そこは新しく冒険者になる若者やレックスたちのように他の街から来た新参者そして冒険者が起こした問題事を報告しに来た依頼人が並んでいる。


「凄い依頼書の数だ!」

「列から出ないようにしなさいよ?」

「レックス落ち着いて。まずは転籍届だってば」


 自分たちが登録したギルドとは冒険者の数も違うが、何よりも驚くべきは依頼書の数であった。


 ”依頼書”というのは戦う技能を持たない村人や街の住人たちが魔物の討伐そして盗賊からの護衛、果ては街のドブ掃除といったことを冒険者に頼むものであり。その全てをギルドがまとめて管理している。

 

 そもそも冒険者は”自由”であることをモットーに生きている者も少なくないため普通は大人が両手を広げたぐらいの掲示板に何枚かの依頼書が貼りだされているだけだが、自分たちが並ぶ列から少し離れたところでも見えるほどに大きく壁一面に貼りだされた依頼書の数を見てレックスは驚いた。マリーンやヘスターも平静を装ってはいるが目は掲示板に釘付けになっている。

 しばらく掲示板を見て呆けていると3人に声をかけてくる人物がいた。

 

「お前らは新入りか?」

「はい!今日からアドバンス支部でお世話になります!」

「おう。元気が良いのは良いことだな。依頼書を眺めているところを見ると冒険者としても新人なんだな」

 

 その人物は武骨な両手剣を背負い顔には大きな古傷があった。

 その圧迫感を覚える風貌とどっしり構えている安心感が彼をベテラン冒険者であると示している。

 

 ベテラン冒険者はレックスの様子を見ていろいろと察したらしい。

 アドバンス支部はレックスたちのような新人冒険者も多くいるため初々しさが立ち姿から見てすぐに分かる。

 

 マリーンたちはレックスの燥ぎ様が周りに見られていたことに恥ずかしさを覚えながら少し警戒する。

 他の支部では新人と見るや否や喧嘩を売って来たり少女2人を奪おうと襲ってきた連中がいた。この人もその類かもしれないと。


「それで、僕達に何か用ですか?」

「そんな警戒しなくたって新人相手に喧嘩売るような奴はうちのギルドにはいねぇよ!」


 ガッハッハ!と豪快に笑いながらレックスの背中を叩くベテラン冒険者。

 その手が異様に固いことに気づき自分と経験値が離れていることをレックスは認識する。

 そして深くこちらの思考を読んでくるような視線に身を竦ませる。

 

 ベテラン冒険者は3人の目をそれぞれ見てから、1つ教えといてやると前置きを置いて話し出した。


「依頼を持って依頼人の元へ行く。これは他のギルドとも変わらねえが、アドバンスにはもう1つルールがある」

「なんですか?」


 まさかベテランに金を貢げとでも言うのだろうか。さっきの、喧嘩売る奴はいねぇ!という言葉はなんだったのだろうか。

 しかしレックスたちのそんな思惑とは異なりベテラン冒険者は途端、表情を真剣なものに変える。


「依頼書を持ったら依頼人の前に”案内所”へ行け」

「……案内所?」


 冒険者にとって依頼についての案内をするのがギルドという場所。依頼を受け取ったら依頼者の元へ行くのが常である。

 ギルド(それ)以外に案内所というのがあるのだろうか。


「知らないのも無理はねえ。他の街には無いからな。とにかく依頼書を持ったらギルドの裏通りにある案内所へ行け。死なずに強くなりたいならな」


 ベテラン冒険者は青年の胸にこつんと拳を当てると仲間たちと去って行った。

 

評価いただければ

 ブックマークへの追加

 感想

などお願いします!

X(旧Twitter)にも投稿のお知らせ・執筆に関してのお知らせを載せています!


下の星からポイントも付けられます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ