寿司夫と茶子さん
秋ですね
寿司夫は今、寝転がってスマホでニュースやらなんやら見ています。
夕飯を食べた後はだいたいこんな感じです。
寿司夫は先月51歳になりました。
50歳になったときは、遂に自分もこんな歳になったのかと人生の早さに恐ろしさを感じたのですが、51歳の誕生日のときは特に何も感じませんでした。
きっと50代というものに慣れてきたからなのでしょう。
寿司夫には、5歳下の妻がいます。
つまり妻の歳は46歳です。
何故なら【51−5=46】だからです。
妻は茶子と言います。
お茶の子と書いて「さこ」と読みます。
ご両親からは「ちゃこ」と呼ばれています。
それならば何故、「ちゃこ」で届け出しなかったのだろうと思う寿司夫でした。
寿司夫は名前が寿司夫だからといって寿司が特別好きではありません。
かといって嫌いというわけでもありません。
普通です。
どちらかといえばお刺身のほうが好きです。
特にハマチが好きです。
どのくらい好きかというと、天気で『晴れ・曇り・雨・ハマチ』と、よっつ目の天気ができたらいいのにと思うくらい好きなのです。
『ハマチ』という天気はどういうものかというと言葉の通りです。
ハマチのお刺身が空から降ってくるのです。
もちろん刺身醤油もワサビも降ってきます。
それは寿司夫にとって最高の天気です。
何故なら口を開けて上を向いているだけでハマチのお刺身をお腹いっぱい食べることができるからです。
という話を妻にすると妻はいつも、「その後の街の掃除はどうするん?」と言ってきます。
なんとも夢のない会話です。
きっと女性というのは現実主義なのでしょう。
寿司夫は人生の折り返し地点を越えました。
そもそも折り返し地点がどこなのかは人それぞれなのでしょうが、人生100年時代という言葉を信じるとしたら完全に折り返したと言ってもいいでしょう。
寿司夫のこれまでの人生はいろいろありましたけど、客観的にみるとありきたりの人生でした。
そこそこ苦労もしたし楽しいこともあったし、まあまあでした。
点数をつけるとしたら60点くらいでしょう。
茶子は今、リビングで寛いでいるはずです。
その姿はまるでイチゴ大福のようです。
長く一緒に暮らしているので、そのくらいは見なくても分かります。
と言いつつもなんとなく見てみると、リビングで寛いではいたのですが、イチゴ大福ではなくて豆大福のようでした。
『イチゴ大福と豆大福』
この違いは、寿司夫ですらうまく説明できません。
言語化すると意味が変わるし、とにかくこれは長年連れ添った寿司夫が感じるもの、としか言いようがありません。
きっとこれからもこういう感覚的なものが増えていくのでしょう。
「お茶飲む?」
リビングで寛いでいる茶子に聞きました。
ありがとうございました