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文句言いに来ました



朝起きたら扉の前に貼られていたらしい手紙にはこう書かれていた。



「ごめんなさい」



それを見た私とアネッサの心の声を答えよ。



「いや面と向かって言え?」


「うぅーん」



また頭痛くなって熱出たら看病はあの蒼の人にやって貰うぞと思いつつさすがに無理だと瞬時に却下した。

しかしコレは…子供でももうちょい考えるだろうと頭を抱える。



「……ええと、良い?アネッサ、私が今から蒼の人の所に突撃したら怒る?」


「怒る事はありませんがミヤ様のお支度だけ済まさせて下さいな」


「分かった、アネッサに武装をお願いします」


「光栄ですわ」



静かに怒っている私とアネッサ。

覚悟しとけよ蒼の人。



武装と言えば鎧兜に日本刀のイメージの私からすれば、アネッサのする武装とは女性の格を上げる物だった。

上品な色合いの薄い緑色を基調としたデザインのドレス。

ベルト部分と肩から袖の裾に向けて黒を使ったソレはとても格式高く、いつの間に用意していたのかとアネッサに問い掛けると「オーランドさんにお願いしました」ともしかしてこの先の事も読めてるとかじゃないよねとアネッサの有能さに驚いた。

足元は華奢なブーツ、手首にはリーフ模様のブレスレット。

友達の結婚式でさえこんな綺麗に着飾った事無いぞと出来上がりを見た私は「アネッサすごい」と感動と共に呟いた。



「恐れ入ります」


「じゃあ行くか〜」



手土産代わりに貰った手紙を手に持って、アネッサの案内と共に廊下を進む。

途中仕事中のメイドさん達がギョッとしながらも私を見て「ご武運を!」とか「お気を付けて!」と励ましてくれるのを聞きながら「もしかして蒼の人嫌われてないか?」と少し心配になった。



執務室前まで来て、ちょうど出て来たオーランドさんとやらとかち合った。

オーランドさんは私を見て目を見開くとクスッと笑って「どうぞ」と扉を開けてくれた。

それに礼を言うと同時に入ると「早いなオーランド…」と真剣な様子で本を読んでいる蒼の人が。

視線がずっと手元の本に向けられている所を見ると恐らく仕事中なのだろう。



「それで、分かったか?あの子の好み……」



顔を上げた途端、言葉を失った様子の蒼の人。

しかし徐々に顔を赤く染めると「何事だああ!!?」と叫ぶと共にクッションに埋もれた。



「んなもんこっちのセリフだわ」


「いきなり!男の部屋に現れるのは…どうかと、それにとても綺麗だし、そうだ!手紙は読んでくれたか?」


「うん、それに文句付けに来た」


「文句……?」



瞬時に不安そうになった蒼の人は、やっとクッションから出て来た。

深呼吸をして、圧政しない様に、圧迫死させないように。

気を付けながら視線を向けた。

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