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少しは本音を話せました



「信じて……くれるのか?」



表情を明るくしたイクスに「調子乗るなよ」と釘を指しておく。

ビクッと肩を揺らしたイクス。

溜め息を吐き出してから「あのね、まず話しからでしょ」と続ける。



「信じられたいならまずは相手に自分の事知ってもらわないと。

それに……私はまだこの世界の事、何も知らない」


「あっ、そうだな……ごめんなさい。

取り敢えずミヤは、ここに座って!

それから…アネッサ、お茶を淹れてくれないか」


「かしこまりました旦那様」



私をソファに座らせて、イクスは机の上にあった本を本棚へ直し始める。

どうやら部屋を片付けようとしている様だけれど、本の背表紙は揃っていないし首を傾げながらなのでまるで掃除に慣れていない事が分かる。

それでも今やろうとしているのは、私に示そうとしているのだろう。

私は席を立って「これはこっち」と本を差し替える。



「やってくれる……のか?」


「勘違いすんな、手伝うって言ってるの。

誰かにさせたらそりゃ楽だろうけど、それはイクスの為にはならないよ。

何より…人にお願いするならありがとうと言うのが当然。

貴族だなんだとか以前に人として男として、イクスにはそう言う人であって欲しい」



難しかっただろうか?

そう首を傾げると、少しだけ蒼の瞳がかげる。

敢えて触れずに私は隣の本を差し出した。


背表紙を揃え終わって席に着くと、不安げにしているイクスが口を開く。



「先程の言葉だが…貴族は使用人を雇い、その使用人は雇用主である貴族を敬う…その在り方がミヤからすればおかしい事なのだろうか」


「その辺は…人によると思う」


「ミヤはどうだ?」


「私は…おかしい訳じゃないけど、されて当たり前だと思いたくは無いかな」


「それはどうして…?」


「感謝と謝罪って、忘れたらもう戻って来ない気がするから」



それは私が勝手に思っているだけだけど…礼儀と礼節、それには感謝と謝罪が紐付けされていると思っている。

私がしたいからしている事をイクスに押し付けるのは少し違うかもしれないけれど、個人の意見で許されるのなら言っても良いかな。



「俺は……」


「イクスはどうしたいの?

これまでと同じ様にすればいいよ?

まあ私はそんな態度で来られたらこの屋敷出て野垂れ死にするつもりだけどね」


「それは脅しに近い気がする」


「どんまい」


「ミヤと会話していると、自分がしっかりしなくちゃと思うのは何故だろう……」


「して貰わないと困るし。

私はイクスに遠慮するつもりないから。

イクスがした事に対して責任を感じてるなら私の事ちゃんと養ってくれないと」



イクスはハッとした様に目を見開いた。

綺麗な蒼の瞳がキラキラと輝いた気がしたけれど、理由が分からなかったので私は首を傾げるのに留まった。

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