羞恥プレイの始まりは?
何故、私が子供たちに囲まれているかというと、食後のあと、ローゼンクォーツ皇国との面倒事は自分たちがそれぞれ対応するからと、両親から切実に訴えられた事もあり、私は予定通り、レナスと私の侍女であるアリシア、そしてレナス専属の侍女ユウナとともに街へと出かけた。
朝早くから各工房や冒険者ギルド、冒険者御用達の店や食べ物を売る店、屋台など人が賑わっている。
その時間帯からは少し遅い、前世の時間にして10時。私たちはのんびりと談笑しながらウインドウショッピングを楽しんでいた。
お昼前にハンデュラール商会――でも覗こうと立ち寄ってみれば、御世辞にもカッコいいとは言えない、でも彼らはカッコいいと思っている軽薄そうな服装の男爵家の私と同学年だった(クラスは違う)三男が、子供に圧をかけていた。
――まぁ、別に何歳になってもメカと模型と改造とは魅力だし遊ぶなとは言わないし、引いたりしないけどさぁ。流石に成人をした貴族の端っこに申し訳程度に引っかかるような三男だったとしてもだ、自身の負けたマシンに八つ当たりして地面に叩き付けて、勝った子供のマシンを寄越せは無いわよ。引くわー。
さてさて、バンデューラル商会の店員さんのお手並み拝見といきましょうか――と腕を組んで高みの見物と洒落込もうとした矢先――
「貴方たち何をしているのです!!」
――レナスが子供たちを助けに飛び出してしまった。
「何だ突然? おい! 女、貴様には用は無いんだ! そこをどけ! どかねぇとぶん殴るぞ!!」
「愚民の女風情が貴族であるモティナイナー男爵家のサダイン様に逆らうとはいい度胸だな! どうなるかわかっているのか!!」
「ふ! 愚かな女だ。サダイン様に逆らうなど貴様の一族郎党潰すことなど容易いのだぞ!!」
ド三流がド三下ムーブを炸裂させた。
――私のかわいいレナスに汚らわしい唾を飛ばすんじゃないわよ。 踏み潰すわよ。
〈絶対領域〉の精霊術を行使し、私の愛おしいレナスにウイルスが侵入しないようにする。
――ウイルス増加、汚染物質吸収、毒素促進。彼らに跳ね返れ。
「貴族か平民かなどルールとマナーの下では関係ありません。マナーとルールを守れない、守らない者が悪なのですから」
「レナスお嬢さ――」
レナスを助けようとするユウナを手で制す。
「ソーナお嬢様。何故止めるのですか! 早く向かわなければ!!」
「レナスは次期ハーティリア公国の国家元首であり、ハーティリア家当主よ。今、あの子はそれを示しているの。貴族がルール? 客が神様? 笑わせないで。ハーティリアが敷くルールが全てであり、正義なのよ。そしてルールとマナーが守れる客だけが正しい客なの。客と店員、店主とは対等の立場。客を選んでの過不足など存在しないわ。ああ言う輩は賊と言うのよ」
「……」
「安心して、レナスに何かしようとするなら、その前に彼奴等を叩きのめすから」
「あぁ……。旦那様、奥様、こちらでは新たなトラブルが……」
「大丈夫よ。あっちは男爵。こっちは公国の姫。彼らのルールが貴族の正当なルールならば、彼らの一族郎党処刑が相応しい。でも、私としては、私を少しは楽しませて欲しいとも思うのよね」
――沈む船からいち早く逃げ出したネズミは駆除しなければならないもの。