表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/16

発展、原点

 ハーティリア公国ら実力主義だ。とは言っても、何が何でも、どんな卑怯卑劣な手を使っても一番にならなければ許されない的な狂気じみた思想も、強迫観念めいた鬼気迫る感じもない。


 ――っていうか実力主義って普通なんだけどなぁ。


 1番にならなければ合格やデビュー出来ない事もある。どんなにアイディアがあっても形に出来ない。


 1番以外は形にならないなら、2番だろうが最下位だろうが変わらない。1番にならなくて良いってことは無い。


 ――結局、何処かで順位は決められていくんだから。1番が集まっても弱点を補うだけのチームは一生勝てないんだけどね。むしろ弱くなるんだよね。


 弱点を補うって、得意な事も出来なくなる。


 ――だからあの競技は強豪チームには勝てない。


 パクリだって何だって良い。それを技術者たちが進化させて別物にしてしまえば良いんだから。

 ただ人気がある、金になるってパクると中身も外も三流品になる。


 動画で料理の作り方を見ても、味は解らない。だから同じものとは限らない。そもそも作っている人が違うのだから味覚も違う。


 だから、寿司、とんかつや唐揚げ、天ぷらを動画を見て真似て料理店を出しても、本物には遠く及ばない店が海外にはある。


 日本の料理も本場からすれば首を傾げたくなるものもあるんだろうけど、美味しく調理する為に研究は怠らない。


 まぁ、中には和食でも残念なお店はあるけれども。


 ファルシャナの商人を装うアスラン王子は玩具を買って、その場で開けて子供たちに教わりながら作っている。お一人様一個までというルールがある為に、一度の買い占めは出来ない為にアスラン王子はお付きの人とレナス、アリシア、ユウナに銀貨1枚を渡して買って貰っている。遊び用、観賞用に研究用と保存用だろう。


 ――それを活かすも殺すも彼と彼の考えに賛同して支えて、国を変えようと志がある仲間たち次第ね。


 他国のそれも死んだはずの人間が口を出すことじゃない。


 お付きの人――副官であろう彼が、私にも銀貨を差し出してきた。


 ――プレゼント用かしらね。


 お付きの人が女の子が固まる場所に注目している。


「何か誤解をされている様ですが、私が気になっているのはあの子供が見ている物です。あれは家や家具、食器の小さな模型ですか?」


「この者には娘がおるのだ」


 アスラン王子の説明になるほど、と頷く。


 ――大銀貨1枚のおもちゃがあれやこれや薦められて大変なことに。そしてアスラン王子も男子。作る、最速、改造の誘惑には勝てなかったか。


「あの玩具は今は女の子だけですが、将来男の子にも遊んでもらいと思っております」


 レナスの説明がはいる。


「あれは……あれはお隠れになられた姫様が、子供たちにインテリア―― 室内装飾や家具、食器に至るまで、どのようにすれば、揃えれば良くなるかを考えさせ、実際にそれを形にしてみる、という遊びから学び、興味を持ち、将来の仕事に繋がるようにと考案されたのです。一つ一つ、有名な家具や食器を作っている工房にも協力頂いているんです」


 そう、玩具とはいえ、子供たちの未来に繋がればと思う。


 室内装飾のセンスが良ければ、それだけでも価値がある。

 貴族は見栄えでも争うものだから。


 おままごとのティーセットでお茶の入れ方を学び極めれば、それ一つで重宝されることもある。


 他にもまだまだある。腹心の部下である彼は娘の為に玩具を見て回っている。


 一部の玩具はお試しとして触って遊べるようにしている。まだ、買えないという子供たちの為に。今は買えなくとも諦めないで欲しい。


 ――少しづつだけれど底上げが出来ている。貧民街も一斉に清掃した。


 人を売り買いしていた組織も調べ上げて潰した。それに連なる者たちも貴賤問わず問答無用で、一族郎党全て処刑した。逃げる者も追討令を出した。運良く逃げおおせた者も居るだろうけれど、彼等はローゼンクォーツ方面へ逃げるしか無い。


 ――いくら救っても、案を出して実行しても、その水に合わない者も、自ら零れて落ちる者もいる。


 そう行った者は反旗を翻して向かってくるか、夜街から出ていく。


 夜警に街灯。この国は闇を駆逐していっている。


 毒率し、様々な規制、規則を施行するならば、民度、品位を上げていく必要があったからだ。


 ファルシャナの王族が商人として入国を許可したのはお父様だ。


 ――アスラン王子と直接、対面して許可を出した可能性が高いわね。


 ファルシャナに変革を齎すためかしらね。


 嘗ての戦でファルシャナが裏で動いていたのだ。それを潰すためだろう。


 友好を示し、それを切って奪いに来るなら、此方にはファルシャナを何時でも潰せる武力があると見せ付けるためだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ