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幕間

†皇帝陛下

「やはり、ソーナの言っておったように増税と物価を上げなければならないか……」


「はい……。アルフォン殿下とサードニクス嬢とそのお仲間が施しを国政に無理矢理に捩じ込んだ付けを、国民が支払うことになりました……皮肉なことに」


「それだけでは御座いません。売る者買う者、どちらにもさらなる困窮者が現れ、増え続けるでしょう。ハーティリア公爵令嬢が展開されていた事業は解体。そこで働いていた者は既にローゼクオーツ皇国から離れてしまい、そこに雇われていた者たちは当然職を失っております」


「それだけではすみませんぞ陛下。食糧危機も御座いますれば。魔法により大地から生命力を吸い続けて来た結果、土地が枯れ、皇后様のご実家であるインペルーニア侯爵領地の穀倉地帯でも同様でありますぞ。私共が忌避しておりました魔物から取れる可食部が、今や頼みの綱。命綱ですぞ」


「ご報告申し上げます。それも難しいかと思われます」


「難しい? 何故だ」


「陛下申し上げ難いのですが、冒険者の成り立ちは、初代聖女アリーシャ様と兄君であらせられた初代皇帝陛下の旅を共にし、露払いをした自由なる者たちです。その末裔であり、聖女の力を宿して居られたハーテイリア公爵令嬢をアルフォン殿下が冤罪で捉え、酷い扱いを……仕打ちの果てに火刑に処ししてしまいました。その元々はあの聖女を騙る魔女の仕業です。そのような者たちに優秀な力のある冒険者は、この国を見限り、他所に移っております。残るは口先だけの破落戸だけです」


「スタンピードが起これば腰抜けの皇国騎士には対象しきれません。魔物の数が激増しています」


「国民は市井の者は……」


「毎朝祈ってますぜ。本物の聖女様の魂が白と金の炎をまとった鳥に姿を変えて飛び去った方角の空に向かってな。ある者は恐れた殿下が聖女ソーナの灰なら何やらをぶち撒けて捨てた河に入って加護を得ようと必死だ。テメェたちも火刑を楽しみ、罵声を浴びせ、断罪に加担した者どもがだ。そんな奴らを救うものかよ。忘れたか。最期の慟哭と怨嗟をよ」


 まさにその通りになっている。食糧危機、困窮者の増加、魔物の増加、未曾有の流行り病。


『その偽りの聖女と貴方たちが民を護ると言うのならば、私はその民を一日毎に1500人くびり殺しましょう。この先、この国の民が栄えようと、貴方たちの子孫が栄えようとも咲き誇る花が儚く散るように、その命を儚く散るだろう』


 しかし、どのような怨嗟を吐こうとも彼女は聖女だった。その証拠に彼女が愛した土地には我が国のような事態にはなっていないのだから。


「我が后の様態は……」


「芳しくはありません」


「貴様は薬師であり国家魔法士ではないのか! 魔法士は何をグズグズしているのだ!! 早急に特効薬か快復魔法を作り出せ!!」


「ヒィィ! む、無理です!! 陛下、皇后様の病が何なのか検討も付きません!! 検討も付かなければ必要な事も解らないのです!!」


「その為の研究部所では無いのかっ!!」


 薬学、医学、その為の道具研究、道具造り……ソーナ……そなたが懸念していたことが身を以て知ることになろうとは……。



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