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004 発覚

 大男の後について歩くこと少し、僕はヤバいことに気が付いた。

 少し前を先導するように歩く大男は、僕が足を止めれば足を止め、歩み出しに合わせて移動を再開する。

 こっちを見ている素振りなんてまるでないのに、大男は僕の状況を完璧に把握しているようで気味が悪かった。

 けど、ヤバイのはこれだけじゃない。

 もっとヤバイのは、大男の重さだった。

 動きはスムーズでおかしなところなんて見当たらない。

 にも拘わらず、大男が片足を挙げると、地面が僅かに沈むのだ。

 敷き立てのアスファルトならまだわかるけど、どう考えても年月を重ねているとしか思えないアスファルトに僅かに大男の足形が残る。

 注目していなければわからないほどのほんの小さなへこみだけど、普通あり得ない出来事だけにまた全身に汗が噴き出したのを感じた。

 こんな人物に連れられて僕はどこに行くのか、既に人目のない状況なので、危害は加えられない。

 というのは、何の根拠もない、予測と言うよりも願望に近いものだと、自覚があるだけに、僕の頭は目の前の大男に不快な思いを抱かせてはいけないとそこだけに意識を集中させた。


 結論から言うと、集中を保ったまま歩くことはとても疲れることだった。

 時間にして数分も経っていない……とは思う。

 周りの景色だって、断言は出来ないけど、朧気に記憶にある場所だから、この大男に遭遇したお屋敷の前からそれほど移動してないはずだ。

 そう思うと、距離や時間にそぐわない疲労感に僕はうんざりする。

 結果、僕の集中力は途絶えた。

 すると、その直後、僕の体は勝手に大男に声を掛ける。

「あの……」

 少しかすれ気味の自分の声に情けなさを覚えながらも、大男が怒らないことを祈りつつ反応を待った。

 だが、気持ち的に身構えた僕に反して、大男はまるで何事もなかったかのようにスルーしてみせる。

 肩透かしを食らったような気分だが、一方で危険を回避した事実に、ホッとする気持ちの方が大きかった。

 とはいえ、まだこの時間が続くかと思うと気持ちが滅入ってくる。

 そんなことを考えて、視線を落とした僕は、その直後、よりにもよって大男の背中に突っ込んでいた。

 皮のような素材のコート越しに感じる感触は、予想に反して柔らかい。

 勝手に固い筋肉の鎧に包まれているイメージを抱いていたが、どうもそうではない?と考えたところで、妙な気配を感じて僕は顔を上げた。

 そして、目が合う僕と大男。

「は?」

 思わず僕の口からそんな声が飛び出した。

 だって、仕方ない。

 目が、大男の目が、カメラだったんだ。


「ちょ、ま、にんげん……じゃない!?」

 そう叫んだ僕は、逃げだそうとしてそのまま足をもつれさせてしまった。

 ガンという鈍い感触と共に、したたかに打ち付けた体が痛い。

 打ち付けた部分が痛いが、転がってる場合じゃないと両手に力を入れて、腕立て伏せの要領で上半身を起こした。

 が、自分の想像よりも、体は上に持ち上がり、伴って視線も立っているのに近い高さまで上がる。

 それは僕が立ち上がったのではなく、僕が逃げようとした相手に持ち上げられたことで起こった現象だった。

 目が機械な大男にもたれた上着が僕の体を締め付けながら、強制的に僕を回転させる。

 僕の意思とは関係なく正面に、大男の顔が現れた。

 意識しないつもりでも、大男の目に視線が向く。

 そうすると、その形や動きもより目に入るわけで、僕の顔を見ているというか、ズームしているというか、ともかく、クルクルと回転しながら目の中に収められたカメラが、前後に動いていた。

 頭の中で本物の機械じゃないかという予測を無理矢理消し去りたくて僕は「両目ともって……ど、どっきりかな……?」と、思ってもいない言葉を口にする。

 それは自分をごまかすための言葉だったから、単純に誰かに返答が欲しかったわけではないけれど、思いもかけない方向から思いも掛けない声で返答が返ってきた。

「そうね。ドッキリではないわ!」

 リンと響く高めの声に、僕はその主を探すように慌てて周りに視線を巡らせる。

 そして、僅か数秒後、僕は一人の女の子を視界に捉えた。

修正報告

2021.05.18

前:大男が方市を挙げると、

後:大男が片足を挙げると、


前:本の小さなへこみだけど、

後:ほんの小さなへこみだけど、


前:この大男にs法した

後:この大男に遭遇した


前:一歩で危険を回避した事実に

後:一方で危険を回避した事実に


前:コート越しに感じる観測は

後:コート越しに感じる感触は


前:ウツ付けた部分が痛いが

後:打ち付けた部分が痛いが

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