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 生徒会長との折衝の結果を報告した僕に対して、陽菜ちゃんは腕を組んだ姿勢で「なるほどねー。確かに生徒会長の指摘ももっともだわ」と納得してくれた。

 一方ヤヤは、陽菜ちゃんの横で腕組みをしながら何事か考えている。

 元々がヤヤの発案だけに、次の手を考えているように思えた。

 そして、その推測が正しかったと示すように、ヤヤは「そうだ!」と何かを閃いた様子を見せる。

 ヤヤが何を閃いたのか、直ぐに聞きたかったのだが、任務を失敗している僕は、声を上げられなかった。

 代わりに陽菜ちゃんがヤヤに尋ねてくれる。

「何か閃いたみたいだけど、ステージの出演の方法?」

 陽菜ちゃんの質問に対し、ヤヤは大きく頷いて見せた。

 自信ありと言いたげな笑みを浮かべるヤヤに、陽菜ちゃんは「聞かせてくれる?」と説明を求める。

 対してヤヤは嬉しそうに「いくつか考えたんだけどね!」と返して、僕らの視線を自分に向けさせた。

 視線が集まると、もう我慢出来ないと言いたげに、早速説明を開始した。

「要はエルが生徒なら問題ないってことだよ!」

 ヤヤの自信ありげな顔に、僕は慌てて「それは無理じゃない?」とつい口を挟んでしまう。

 対してヤヤは、機嫌を悪くすることもなく、それどころか平然と同意してきた。

「まあ、私もそう思うんだ」

 その返しに思わず言葉を失う。

 すると、黙った僕に代わって陽菜ちゃんが「つまり、別の手段を考えている?」と問い掛けた。

「もちろん」

 ニヤッと笑って頷いたヤヤは、陽菜ちゃんの横に立っていたエルを手招きする。

「お呼びですか、マスター?」

 フリルの多いワンピースを身に付けたエルがトテトテとヤヤに歩み寄った。

 そんなエルの両肩に手を乗せたヤヤは平然と宣言する。

「というわけで、エルに芸能人になって貰います!」

 正直、驚いたは驚いたんだけども、そう来たかと言う気持ちの方が強く、驚きの声は出なかった。

 そんな僕の横で、プルプルと震えだした陽菜ちゃんが、ヤヤとエルに歩み寄る。

 何が起こるのかと陽菜ちゃんの動きを見ていると、歩み寄った勢いのままヤヤとエルの手を取った。

「目指しましょう! 最高のアイドルを!」

「あ、アイドルですか!?」

「陽菜ならそう言ってくれると思ったよ!」

 驚くエルを放置して、陽菜ちゃんとヤヤが盛り上がり始める。

「とりあえずの目標として、それなりの知名度を得て、その実績で、文化祭のステージに立つって事よね?」

「そうだね」

 なんかわかり合っている二人だけど、あくまで文化祭のステージが目標なのかと思うと、妙な疲労感が湧いてきた。

 つい諦めの籠もった溜め息を吐き出したところで、こちらに困惑の表情を向けてきたエルと目が合う。

 とりあえず、ヤヤと陽菜ちゃんが盛り上がっている現状ではどうしようもないので、今は我慢だと視線を送った。

 すると、エルは頷いて、口を真一文字に結ぶ。

 これまで幾度もリンクを重ねたことで、それなりに信頼感を気づけたのではないかと思えてしまうやりとりだった。

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