ゲームかな?
そっと、おじゃまします。
この世界に生まれて、10年がたった。
今日から10歳だ。
10歳とはゆっても、田舎の農村などでは、年の初めの、春の月の1日で、みんなまとめて、年をとる。
ちなみに、この世界の1年は、春の月が100日、夏の月が100日、秋の月が100日、冬の月が65日になっている。
1年間で、365日だ、閏年などは、神殿で管理していて、年の初めに、神殿に張り出される。
秋の月に、生まれているので、本当は9歳と少しだが、そのへんは、あまり気にしないようだ。
そして、この世界の人びとは10歳になると、神様から祝福を受け、様々な才能が、与えられるらしい。
父親と、兄は、作物を育てる才能と、狩りの才能があり。
母親は、料理の才能と、種火の才能を持つている。
父親と、兄の才能と、母親の料理の才能は、まあ そのままだが、種火の才能、これが問題である。
かまどの薪に、火をつける程の魔法が使える、才能らしい。
母親が、私に母乳を与えながら、薪に火をつけるのを、初めて見たときは、驚きのあまり、母乳が気管に入って、ひどく苦しかったのは、懐かしい思い出だ。
私は、言葉を覚え歩けるようになると、母親に、薪に火をつける、魔法を、教えて欲しいとねだった。
母親は、笑いながら、薪を1本手に取ると。
「体の中にある不思議な力を、火をつけたい所に、集めて。」
と言って、薪の先端を、指差し
「薪に火がついてるのを、思いうかべるの。」
そう言うと、薪の先に煙が出始め、ゆっくりと火がつきだした。母親は、火のついた薪を、かまどに入れると、鍋に汲み置きの水を入れて、火に掛け外に出る、薪置き場から数本の、薪を持つて来て火にたすと、いっしょに持つて来た。
乾いた小枝を、私に手渡して、
「やってみる?」
と言って、私の顔をのぞき込んだ。呪文は無いのかと、訪ねると。
「呪文を、唱えるのは、本当に魔法の才能がある人ぐらいよ。種火をつけるぐらいじゃ呪文は、いらないの。」
と言って、私の頭を優しく撫でてくれた。私は、小枝を両手で、持つと、目を閉じて、不思議な力を、体から探してみた。
ゆっくり呼吸を整えると、ヘソの下辺りがほんのり、暖かかったが、これは、たぶん気だと思う。
錬気は、いずれやるとして、今は不思議な力を探して、小枝に火をつけるのが先だ。
そう思い,体中を探してみたが、見つけ出す事が出来なかった。
私には、不思議な力が無いのだろか。
諦めてかけて、小枝の先を見つめながら。
もしその力が有り、この小枝が、魔法の杖ならば、この小枝の先に、火が灯るのかと、想像したとき。
一瞬、自分の体が、2つにブレた気がした。
ブレた体は、すぐに一つに戻ったが、ブレた体の片方は、小枝の先に、吸い込まれそうな感じがした。
私は、小枝の先を見つめながら、もしかしたら、不思議な力は、細胞の一つ一つに、宿っているのではないのかと思い。
足の先から、ゆっくりと細胞を、移動しながら大きくなっていく力を、想像して。
膝の辺りまで、移動させて、またゆっくりと戻した。
そのまま続けると、何か良くないような気がしたからだ。
気を取り直して、小指の先から、第二関節までの力を、小枝の先に、吸い込ませながら、小枝の先に火が灯るのを、想像した瞬間、ボフッ と小枝の先から、小さな爆発が起きた。
幸い、怪我や、火傷などは、なかったが、チリチリとゆう音ともに、私の前髪は、お亡くなりになってしまった。
私は、手に持った先が、炭化した小枝を、かまどにくべて。
母親の顔を見上げると、口もとを引き攣らせ、固まったまま私を見ていたが。
次の瞬間、私の肩を掴んで、ガクガク揺すりながら。
「大丈夫、怪我してない?」
と確認してきたので、大丈夫だと伝えて、燃えてしまった前髪を、切ってもらった。
前髪を、切ってもらっているあいだに、父親と兄が、畑仕事から帰って来て、私の髪型を見て、大笑いしていた。
母親は、父親から受け取った野菜で、夕飯の準備を始めていた。
夕食の後で、父親から、一人で種火の魔法を使わない事と、晩酌中の父親の、前に立たないと約束させられた。
しかし、母親が笑顔で、父親の前の席に座り、私を膝の上に座らせるので、私の前髪が、生え揃うまで、父親の酒量は、かなり減ったらしい。
その日の夜、私はベッドの中で、今日の出来事を、振り返っていた。
あの時、体がブレて、体一つ分、魔法が発動していたら。
あの時、膝で止めずに、魔法を発動させていたら。
たぶん、前者は、大きく長時間燃え広がる。
そして、後者は、大爆発していただろう。
力の濃度と、吸い込ませる速度、この二つが、魔法を操るのに、重要なのだろう。
しかし、危なかった。
前者は、ゆっくりと、この辺一帯を、焼き尽しただろう。
家族は、逃げられたかも知れないが、力を使い切った私が、どうなったか。
後者は、考えるまでも無く、全て吹き飛ばしただろう。
力を、倍にすると、威力は倍では済まないはずだ。
瞬間的に、込める力と濃度、それによって発生する、圧力が高い程、威力は上がるはずだから。
そして、私が考えなければいけないのが、この力が、どの様なモノなのかだ。
力を使った。小指の先、力を動かした。足の先から、膝までの力が、かなり増えている。
あれだけ必死に探して、感じ取れ無かったものが、かなりの存在感を、だしている。
ヘソ下の気が、可愛いものだ。
だが、これは力が増えるのとは、何か違う感じだ。
力を使えば、使っただけ増えるとか、超回復します。
みたいな、格好いいものでは無いのだろ。
しかし、私は、この状況を、適格に表す言葉を、一つ知っている。
そうその言葉は、
『リバウンド!!』
リバウンドである。
力を使って、その細胞が保有する、力を空にすると、細胞が,極度の飢餓状態に陥り、より多くの力を取り込もうとするのだろう。
では、その力は、何処に在るのだろうか。
たぶんではあるが、大気中に存在しているのだろう。
そして、この世界の人々は、大気に満ちる、その力を、体内に取り込むことで、魔法を発現させているのだろう。
まだ神の祝福によって、与えられる才能の、存在を知らない私は、そんなことを考えながら。
いつもは、一緒に寝てくれる、母親が、今日は来ない、『そういう日』なのだと思い、
明日は、かまどに、火を付けさせてもらおうと思いながら、眠りに付いたのだったが、オネショをしてしまい、数日先送になってしまった。
本当に、火遊びで、オネショするとは思っても見なかった。
まぁ今では、毎日かまどに、火をつけているし、農作業の手伝いもしている。
神様の祝福による、才能の話を聞いたときは、私の考えとの矛盾に、悩んだりしたが。
祝福を受ければ、何かしらの答えが、出るだろうと,ここ数年は、気楽に過ごしていた。
そして、とうとうこの日が、やってきた。
この世界に、生まれて10年目
春の月の1日、10歳の誕生日だ。
秋の月の、生まれだから、本当は、9歳と少しだが。
そんなこと、誰も気にしない、今日から、10歳だ。
私は、朝から父親の手に引かれ、村の小さな神殿に、連れて来てもらい、入り口で、司祭様から、お祝いの焼き菓子をいただいた。
入り口には、司祭様の他に、こども達の父親が、数人こども達を、待っていた。
いただいた焼き菓子は、父親に預け、一人で、神殿の中に入ると、父親は先に来ていた、こども達の父親軍団に、混ざっていった。
父親軍団は、何故か驚いた顔で、私を見ていたが、父親が挨拶するとそっちに気を取られていた。
祭壇のある部屋まで歩いていくと、こども達が、焼き菓子を、食べながら、おしゃべりしていた。
私が挨拶を、すると、みんな私に気付き、挨拶を、返してくれたが、私が手ぶらなのに気が付くと、焼き菓子が貰えなかったのかと、聞いてきた。
私が、父親に預けいると言うと、食べられちゃうよ!と心配されたが、もともと母親と、兄へのお土産にするつもりだったので、
別に構わないのだが、美味しいものは、後に取っておくだと言っておいた。
だが真似をされて、持ち帰ったりして、本当に食べられてしまうと、大変なので。
私と兄は、年が離れることを伝え、取られたりしないが、年齢が近い兄弟姉妹が居れば、食べられちゃうよ、と言っておいた、。
その様な会話をしていると、司祭様が、最後の一人と一緒に入って来た。
私達が、最後の一人と挨拶を、しているあいだに、司祭様は、祭壇の前に立ち、儀式の開始宣言する。
早く生まれた、順番に司祭様の下に呼ばれる、祝石と、呼ばれる透き通った、少し平べったい石に、手を乗せて、神様に祈りを捧げる。
祈りを捧げたら、司祭様が、祝の言葉を告げる。
祝の言葉を告げると、祝石がほんのりと、光を放ち、祝石の中に文字が、浮かび上がる。
司祭様は、浮かび上がった文字を、読み取ると、本人にのみ才能を、伝えるのだが。
田舎の村で、しかもまだ、こども達なので、あちらこちらから、自分たちが、手に入れた才能を、喜ぶ声が聞こえてくる。
そんな声を、聞いていると、喜ぶ声に混ざって、私の名前を呼ぶ、司祭様の声が聞こえてきた。
私は、祭壇の前まで歩いて行くと、一度お祈りを捧げ、祝石に手を乗せて、もう一度祈りを捧げるた。
同い年に、冬の月生まれは居らず、秋の月生まれは、私一人なので、最後の一人の私は、この祝石を、じっくりと観察させてもらおう。
司祭様が、祝の言葉を告げると、祝石は、輝き出して、石の中に、文字が浮かび上がる。
私は、少し光り過ぎな石に、小枝の様に爆発しないか怯えながら、その文字を、のぞき込んだ。
其所には、懐かしい文字、カタカナで、『システム メニュー』と浮かび上がっていた。
私が、呆然としていると、司祭様が、
「あなたの才能は、システム メニュー、です。」
私だけに聞こえる声で、教えてくれた。
私は、司祭様の顔を見つめてから、もう一度私の手が乗っている、祝石を見つめながら、心の中でこう呟いた。
ゲームかな?
のんびり、適当に、書いていきます。