97.飛行具開発
探索者や騎士の免疫力がどうなのだと相談したげだったダルディールとデヴリンには『冬に風邪や流感が流行る頃には神殿の方で簡易鑑定を使って素早く多数の対象の感染症を見分けられる人間が増えているはずだから、その時期に元気そうに動き回っている探索者とか騎士が本当に感染していないのか確認させればいい』と言い聞かせ、隆一は翌日は飛行具の開発に打ち込むことにした。
と言うか、もう少し開発にせよ鍛錬にせよ集中した方が効率が良いという結論に達したので、どちらも1日おきではなく3日おきに交代することにしたので、これから3日程は飛行具の開発に打ち込む予定だ。
さて。
取り敢えずは試作品の前段階として騎士団の飛行船で観察してきた魔法陣を活用する予定だが、どういった形にするかがまず問題である。
宙を飛ぶ道具となると何とはなしに子供の頃に見た巨大ロボで戦争をしていたシリーズ物に出て来ていたベルトに小さなファンみたいのが2つ付いたような物を思い浮かべてしまう。
が、その形で造れないかと暫く考えて、隆一は諦めた。
ウエスト周りのベルトでは魔法陣を書き込むスペースが足りないし、ベルトだけで成人男性の体重(プラス防具や武器)を支えようと思ったらとんでもない負荷がウエスト周りにかかることになる。
ヴィクトリア時代の『コルセットがきつくて気絶した』という話に匹敵しそうなぐらい、角度によっては締め付けられかねない。
反重力の範囲指定でベルトより上に魔術の効果がかかるようにしたらもう少しましだろうが、人間の体にとって下半身だけ重力が掛かるなんていう状態は不自然であり、健康的だとは思えない。
最低でも胃液が逆流するぐらいの事はあるだろうし、下手をしたら脳への血流が上手く流れなくて脳貧血を起こして気絶する可能性もある。
かと言って、足まで反重力の範囲指定を広げるとなったら足元まで魔道具をつなぐ必要があり、だったらウエスト周りのベルトの形にする意味がない。
足元から反重力を掛けるのだったらそれこそ小さめな電話ボックスの中に入って飛ばすような形も有りかも知れない。
電話ボックスに結界機能なり防御機能をつければ攻撃されても最初の一撃を凌ぐのが簡単になるだろうし。
とは言え。
電話ボックスで飛ぶというのはちょっと隆一の美意識的には無しだった。
1950年代ぐらいのSFっぽいイメージではあるが、異世界な世界に来て『空飛ぶ電話ボックス』は無い。
となったら、アラビアンナイトのように魔法の絨毯チックな平な板に魔法陣を刻んでその上にラグでも敷いて座るのも有りかも知れない。
が。魔法の絨毯だったら方向転換とかの操作用の魔法陣も必要になる。
出来れば反重力と推進力だけを魔法陣で提供し、方向転換とかは体重移動で制御する方が魔法陣を半減出来る。
(自転車かホバーバイクのようなものにするか?)
体重移動で方向移動・・・と考えながら隆一は紙に色々書いてみたが・・・。
漕いだところで推進力を得られることが絶対にない自転車はフォームとして意味がないだろう。
ホバーバイクの構造がどうなっているのか分からないが、平らな丸か三角っぽい下部に座席とハンドルを載せて跨いで座る形にして体重移動とハンドルで上下左右に方向転換できるような舵をつけたら長距離でも疲れないだろうし、荷物も座席の下に収められそうだ。
(まあ、短距離だったらサーフボードかスノボーみたいのでも良いかも知れないが)
ホバーバイクと言えば基本的に海での利用なので、それ関連でサーフボードを思い浮かべたのだが、サーフボードよりもしっかり足を板に固定するスノボーの方が安全かも知れない。
取り敢えず問題は、ホバーバイク形状にした場合にハンドルに連動した舵だけで魔道具の補助なしに飛行具の動きをコントロールできるか否かといったところか。
また、スノボー形状にした場合長時間それで飛んでいて疲れないかもポイントだ。
手で動かすハンドルに連携した舵で運転できるならば座れるホバーバイクの方が楽で良いだろうが、方向転換に魔道具の補助が必要だとしたら追加で必要になる魔法陣のサイズや魔力がかなり大きくなるので、スノボータイプにして体重移動だけで動きをコントロールする形にした方が効率的だ。
(取り敢えずは試作してみっか)
どうせ、ホバーバイクの形と言っても中身は何もないのだから、魔道具としては板の上に椅子とハンドルを乗せるだけに近い。舵で動いてくれなかったら上の部分を取っ払ってスノボーの形状に変えてしまえばいいのだ。
まずは試作だ。
個人用の飛ぶ道具と言ったらガンダムシリーズで出てきたウエストの周りに装着するのが最初思い付くイメージですが、考えてみたら宇宙空間で動き回るならまだしも、地上で飛ぶのにウエストの周りだけで全体重を支えるなんて無理ですよね;




