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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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93.鍛錬:迷宮4階

「今日は4階で魔力感知の確認と、それに問題が無かったら魔物の移動速度から割り出した10秒先の場所に10秒後に魔術を放つ練習だ。

慣れてきたら3秒後程度までに縮めていけると迷宮でも足止めの魔道具なしで普通に歩き回れるようになるぞ」


ダルディールが来るのを迷宮の前で待ちながら、3日ぶりに会ったデヴリンに今日の予定を言われた。


「了解。

そう言えばさ、休みの間に魔力探知を使った簡易鑑定で害意も察知できるようにならないかと練習してみたら、何故か相手が掛かっている感染症が分かるようになった」

半ば笑い事のような話だが、一応今やっている鍛錬の教官役であるのでデヴリンに伝えておくことにした隆一だった。


「はぁぁ?

感染症??」


「そう。

自分にとって危害を与える可能性がある存在を探す事を念頭において鑑定していたら、『害意』という意図ではなく『感染症』という実際に病気をうつされる可能性がある状態異常を調べる形に簡易鑑定が成長したみたいだ」


隆一の説明に、ざりざりと無精ひげの生えている顎を撫でながらデヴリンは首を傾げた。

最初に会った時は綺麗に髭を剃り髪も整えられていて貴族らしい騎士団副団長という見た目だったデヴリンだが、最近ではすっかり気を緩めたのか騎士団に行く日でも軍事大臣に会う予定でもない限りは髭を剃っていない。


「人間が相手だったら『害意があるか』の方が『病気持ちか』よりもずっと重要な情報な気がするが・・・まあ、変な病気持ちだったら戦った際の血浴びても危険かも知れないからな。

良い情報なんじゃないか?」


「まあね。

ちなみに、デヴリンだって鑑定は使えるんだろ?

娼館とかに行くならこの技は中々役に立つかもよ?

この街に居る人間って意外と性病にかかっている人間が多かった」


ぶふぉ!!

ゴホゴホゴホ!


思わず噴き出した後に自分の唾にむせてしまったデヴリンが軽く呼吸困難を起こしている所に、ダルディールが現れた。


「どうしたんだ?」


「休みの間に、『害意』を察知できないか簡易鑑定の練習をしていたら何故か感染症を察知するようになったんだよ。

で、練習中に得た情報に基づいて『王都では意外に性病にかかっている人間が多いから娼館を使うならこの技を学んでおくのも悪くないかもよ?』と言ったらむせちゃってね」


隆一の言葉にダルディールも小さく噴き出し、咳ばらいをしてそれをごまかしながらデヴリンの背中を同情を籠めて軽く叩いた。

「ははは。

まあ、騎士団では定期的に健康診断があるから何にせよ、大丈夫だろう」


「そう言えば、迷宮に潜って基礎能力が上がると重病化しにくいと神殿では言っていたが、伝染病が流行した時なんかに探索者は実際に罹患率が低いのか、それとも罹患しても単に体力に任せて何とかなってしまうだけなのか、探索者ギルドは把握しているかな?

基礎能力が上がると体力だけでなく免疫力も実際に上がっているのか、数字を伴って検証した研究が神殿にはなくってね」


免疫力が上がって病気自体に罹患しないのと、体力が上がって罹患してもそれを意識しない程度に動き回れるというのでは、本人的には大して違いはないだろうがその病気を次に移される人間にとってみれば大きな違いがある。


免疫力は上がっていないのに下手に体力だけ上がり、罹患しても歩き回って普通に作業が出来る人間と言うのは伝染病が流行った場合にある意味一番危険な存在である。


体力が無くて寝込んでいる人間はせいぜい看護してくれる人間に移す程度だが、本人が罹患している意識が無い患者は行く先々で伝染病を広めかねない。


隆一の説明に、ダルディールとデヴリンはどちらも頭を抱えた。

「感染症にかかっているのに動き回れる人間は周りに病原菌をバラ撒きまくっているのか・・・」


愕然としたようなデヴリンの言動に、隆一は首を傾げた。

「病気にかかった人間に接触したらそれが移る可能性があるのはこの世界でも常識だろ?

まあ、咳やクシャミをしていなければ、大声で唾を飛ばしながら話す癖があるというのでも無い限り周りに対する危険は比較的少ないと思うが」


「伝染病が蔓延した場合に王宮や非感染地域への連絡や物資の配送を受け持つのは体力のある騎士団や探索者が多いんだ。

今までその『体力のある人間』が病気に罹患していなかったのか、それとも体力があるから罹患しても気が付いていなかったのか、誰も確認していなかったんだよ」

頭を抱えたままのデヴリンが隆一に答えた。


「王宮はまだしも、非感染地域へ移動する人間にも鑑定して感染症に罹患していないか確認しないのか?」


「病気関連の情報というのは回復師ヒーラーでもないと余程鑑定の能力が高くない限り見えないんだよ。

そして回復師(ヒーラー)は伝染病が蔓延している時は限界まで無理をしていて倒れる寸前のギリギリな状態だから、頼み事をした騎士や探索者が罹患しているかどうか確認する為に鑑定を一々するほどの余力はない。

基本的に、発熱していなくて咳をしていない人間は発病していないものとして扱われるんだ」

確かに、日本でもインフルエンザになったかどうかのテストは38度程度の高熱があるとか関節が痛むと言った症状が出ていなければ行われない。

どこの世界でも、見た目は健康そうな人間に対してまで罹患していないかの確認をする余力は難しいという事なのだろう。


「ふむ。

今度、流感が流行った時にでも普通の文官20人と騎士20人と探索者20人を病人と同じ部屋に暫く押し込んで、罹患率に違いがあるか確認してみるのも面白いかもな」

簡易鑑定というエコな方法で感染がすぐに確認できるのである。

これは色々と実験してみると面白いかも知れない・・・と微妙に不謹慎なことを考えた隆一だった。


迷宮の入り口で話し込んじゃってまだ4階にたどり着いていない・・・。


(ちなみに、隆一達は今回のコロナ禍の前に召喚されています)

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