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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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86.鍛錬:迷宮7階

「よし、ここでリュウイチが魔物の魔力を感じられるようになるまでひたすら魔物を倒すぞ」

デヴリンにある程度一人で自由に動き回っても危険では無い程度まで鍛えてくれるよう頼んだところ、まず迷宮7階で魔力感知のスキルを育てることになった。


「ここに出てくるのはオークと突進牛、それに大型の突進猪だ。

ダルディールが守るから結界の魔道具は使うな。

『万が一』が起きないように魔物は常に1匹だけ残して残りは倒しておくから、リュウイチは魔物が発している魔力を感じるよう頑張れ」

鉢巻のような物を渡しながらデヴリンがこれからの予定を説明した。


イマイチ説明になっていないが。

「・・・これは?」


「視力っていうのは人間が一番慣れた探索器官なんだ。

それがあったらまずそれに頼っちまう。

だから目隠しをしてお前さんのあの小さな椅子にでも座って周りを探知しようと頑張れ」


「知人の魔術師が以前言っていたのだが、対象を特定せずに『鑑定』を自分の周りの空間全体に掛けるような感覚らしいぞ」

ダルディールがちょっとしたコツらしきものも付け加えてくれた。


「対象を特定せずに鑑定をかける、ねぇ。

まあ、頑張るから目隠ししている俺が咬み付かれないように頼むぜ」

マイクロチェアを取り出してそれに座り、居心地がいい様にもぞもぞ動いてから深く息を吸って隆一は目隠しをまいた。


幾ら超一流な探索者2人が護衛として周りに立っていても、魔物が出てくる迷宮の中で目隠しをして座っていると言うのは怖い。


まあでも、こういう恐れが技能取得を促進するのだろう。


そう自分に言い聞かせ、深呼吸しながら隆一は周りを鑑定するようなつもりで集中する。

もっとも、対象を特定して鑑定ではいけないので漠然と周り空間全部を把握しようとするような感じなのだが・・・どうも難しい。


『岩:硬度5』

うっかり鑑定してしまったようだ。

見えていない、存在を認識していない対象でも場所指定で鑑定できるらしい。


岩に対する鑑定を解除し、もう一度何とか周りの空間全体を把握しようと四苦八苦している隆一の耳に何やら足音が聞こえてきた。


(2本足?

オークか)

今まであまり意識したことは無かったのだが、4本足と2本足では走る時の足音が違うようだった。


オークと言えば地球でもラノベ定番の魔物で、そこそこ大きくて強力な魔物なはず。

この世界でも中級魔物としてそれなりに危険な存在として認識されている。


とは言え、7階ではまだ単独で襲ってくるだけなので難易度は低いらしいが。


そんなことを考えながら、今度はオークとデヴリンが戦っているらしき方向に注意を向けて、オークを感じることに集中する。


(まるで穴が開いた金魚すくいのポイで金魚をすくおうとしているような感じだな)


先ほどは岩を意図せずに鑑定してしまったのに、いざ感じようとすると目で見ることができないオークを鑑定する事すらなかなか難しいらしい。

一応『何か』存在を感じるので、これが魔物の魔力なのだろうか?

だがはっきりと感じることが出来ず、腹が立ったので開き直って鑑定しようとしても隆一の魔力(もしくは探知能力?)がつるりと滑ってしまう感じだ。


この『何か』をしっかりと感じることが出来れば鑑定も出来るし魔力感知も出来るようになるのだろう。


先は長そうだ・・・。


◆◆◆◆


「音に対して鑑定を掛けるのは上手くなったんだけどなぁ・・・」

昼食の後もひたすら魔力感知のスキルを育てようと頑張った隆一だが、結局夕方になってもまだ『感知』と言えるレベルに至っていなかった。


「どんな感じになってきたんだ?」

階段を上がりながらデヴリンが尋ねる。


「足音で場所を特定して鑑定で弱点や核を探知している感じかなぁ。

鑑定ではなく、魔物を特定できるように頑張っているんだがどうも足音で簡易鑑定が出来るようになっただけな気がする。

足音が聞こえないと見つけられないって魔力感知が出来ている訳じゃないよな、これ?」

隆一はため息をつきながら濡れタオルを取り出して顔を拭きだした。


「まだ魔力感知にはなってない様だな。

だが、足音で目隠しをしていても鑑定が出来るなんてかなり器用だぜ?」


「どうも。お蔭でこの階の魔物に関しては足音が聞こえる範囲からデヴリンの迎撃範囲までたどり着くのにかかる時間は大分と分かるようになった気がするよ」

ため息をつきながら隆一はタオルを仕舞った。


「集中して鍛錬した方が早く覚えられる可能性があるから、明日も出来れば半日程度で良いから同じことをしたいんだけど、どうかな?」

最後の方では、隆一も魔物の足音に耳を澄ませてそちらに注意を払うと『何か』を感じられるような気がしてきたのだ。


足音がしなければ分からないし、近くでデヴリンが戦っている時は耳をふさいだら何も分からないのでまだ魔力感知は出来ていないが、耳をふさいでいても魔物が傍で戦っている圧迫感のような物を感じられるような気がするので、もう少し頑張ってみたい。


「おう、全然大丈夫だぜ~。

リュウイチの手伝いとなれば書類仕事も副官に任せられるし」


嬉し気なデヴリンに、思わずリクエストを撤回しようかと考えてしまった隆一だった。

一度、デヴリンの副官に会って鍛錬のスケジュールに関して話し合った方が良いかも知れない。








ダルディールの都合を聞き忘れてる主人公w

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