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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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83.飛行船視察:おまけ

運転席コックピットの後には船の他の部分も見て回ったが、隆一の参考になる部分はそれほどなかったので騎士団の食堂で軽く昼食を食べてお開きにすることになった。


「そう言えば、傷跡の治療後の経過はどうだ?」

鶏のから揚げとシチューと言う日本人的には微妙な組み合わせの日替わりランチを食べながら、隆一はアーシャに先日の治験の経過について尋ねた。


「どうやら傷跡が背筋や肩回りの筋肉の動きだけでなく成長も阻害していたのか、少し筋力が上がった」

にんまりと嬉し気に笑いながらアーシャが答える。


「傷跡になった皮膚はどうしても普通の健康な肌に比べると柔軟性に欠けるからな。

問題はない様で良かった。

そう言えば、他の部分よりもまだ弱い可能性があるから日焼け止めとかはしっかり塗った方が良いかも。

汗疹や湿疹にもなりやすいかも知れないから汗をかいた後はシャワーを浴びるか濡れタオルとかで軽く拭いて薄くクリームを塗った方が無難だろうな」

肌というのは体の中身を外部から守るプロテクターでもあるので、一度損傷してしまうと色々と後で面倒なことになりかねない。


まあ、回復薬や回復師がいる世界なので地球での肌荒れのようなことにはならないかもしれないが。


「汗疹は厄介だから、気を付けるようにするよ」

アーシャが唐揚げのお代わりを手に取りながら頷いた。


「そう言えば、先日ちょっとした劇場の宣伝を見かけたのだが・・・顔の傷跡も直してしまって、普段は仮面をつけておいて外す可能性がある時には特殊メークで隠すというのはどうだ?

顔の傷跡も首回りの動きとかに少しは干渉しそうに思うが」

とは言え、傷を治してしまったらそれが発覚する可能性はゼロではない。

そこら辺はアーシャの希望次第だろう。


「特殊メークがシャワーやふろ場で落ちたら面倒だ。

かと言って落ちないメーク何ぞを毎日付けるのは嫌だし。

折角ついた傷跡だ。

これは何としても残しておきたい」

かなりの勢いで二皿めの唐揚げを平らげながらアーシャが淡々と答えた。


よっぽど若い令嬢や男どもに付きまとわれたのが嫌だったらしい。


「まあ、確かに顔を売る職業以外だったら美しい事をプラスに働かせるには特殊な気質メンタリティが必要だからな。

気にならないなら治さない方がより確実かも知れない。

下手をすると良かれと思った家族とかに情報を漏らされる可能性があるし」

隆一の場合は家族がいないことの方が問題だったが、大学や大学院ではなまじ誰でも知っている様な超一流教育機関に居たために、家族からの勝手な期待や干渉に苦労していた人間をそれなりに見ている。


『あなたの為』という免罪符をかざして勝手な要求を押し通そうとする家族ほど厄介な存在は無いというのが大学院でのハウスメイトの一人が常々言っていた言葉だった。


女性の場合は結婚や育児が『女の幸せ』であるという価値観を持つ家族が、本人の今までの努力を無視してとんでもない提案を『良かれと思って』してくることもある。


酷い場合なんかは『提案』ではなく『喜ばせようと思って』というセリフと共に本人に迷惑をかけまくるサプライズをぶちかましてくる『家族』もいた。


本人がそんな輩を切り捨てたつもりでいても、周囲の人間が『家族だから』と安易に情報を漏らしたり近づけたりすることがあるので、価値観の違う家族というのは下手な敵よりも厄介であるというハウスメイトの見解に隆一も合意せざるを得なかったものである。


「そう言えば、回復薬や回復ヒーリングは汗疹に効かないのか?」

クーラーが普及してだらだらの汗に悩まされることは減ったものの、寝るときはエアコンは消す主義だった隆一は熱帯夜が続くと汗疹に苦しまされる羽目になっていた。


こちらでは自分で回復ヒーリングを掛けられるのだからどんな気候が来ようと大丈夫と思っていたのだが、問題があるのだったら先に対応策を練っておきたい。


「勿論、掻きむしって血が出たところとかは回復ヒーリングを掛ければ治るが、さっきリュウイチが傷跡の肌のことで指摘したように、新しく再生した肌と言うのは弱いだろ?

だから治してもすぐにまた汗疹になりやすいんだ。

リュウイチは自分でかけるから毎回汗疹になるたびに回復ヒーリングを掛けられるかもしれないが、流石に騎士団の人間は怪我のついでならまだしもそうでなければ連日回復師ヒーラーの所に押しかけて汗疹を治してもらう訳にはいかないからね。

悪化して寝不足にでもなってこない限り我慢する羽目になるんだ」

空になった唐揚げのお皿を横にどけ、デザートのプリンを手に取りながらアーシャが答えた。


「ふうん。

引っ越す可能性もゼロじゃないから真夏にどこに住んでいるか分からないが、アーシャなら通勤途中なりなんなり、近くを通りかかったら毎日でも寄って汗疹の回復ヒーリングを頼んでも構わないぜ?

まあ、ついでに何かの治験に参加してもらうよう頼むかもしれないが」


「そうか?!

リュウイチなら治験だって安全第一でやってくれるだろうし、何でも協力するよ!!

では、汗疹の時期になったらどこにいるのか是非教えてくれ!」


アーシャの笑顔は今まで見た中で一番輝いていた。

余程汗疹に苦しめられてきたらしい。



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