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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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7.そろそろ護身も

「そろそろ護身のためにちょっと魔物を倒しに行ってみませんか?」


この世界に召喚されて半年ほどたち、既に隆一は回復ヒールも錬金術もそこそこ使いこなせるようになってきた。

病気の治療などは難しいのでまだ週に2日程神殿で教わっているところだが、怪我に関しては一人前の腕前と太鼓判を押された。

骨折の治療では直ぐに違和感なしに完治してくれると特に好評で、週に2日ほど夕方に探索者ギルドに詰めて有料で治療をする契約をしているほどだ。


ちなみにこの世界の1週間は6日で、一般的な人は週5日働いて1日休む。

探索者などはもっと変則的なようだが。


1ヶ月は30日5週間で1年は12ヶ月、そして1年は370日だそうで、年末年始の10日は月が無く『年初の休み』という扱いらしい。

お陰で年初は祭りやら家族の集まりやらで中々賑やかに楽しく過ごす人間が多いと言う話だった。


錬金術に関しては基本の部分はマスターしたので、今は図書館や錬金ギルドの資料に目を通して先人の開発した魔道具を学んでいる。全く新しい原理に基づいた魔道具などはまだ作れないが、既存の魔道具に手を加えて自分が欲しい機能を創り出す程度の魔道具だったら自分でも作れるようになっている。


一般常識も既に下級貴族程度が習う程度の常識はカバーした。

今でも週3日程午前中に他国の政治制度や歴史を教わっているが、これは実は図書館で資料を読んでも良いと自分では思っている。だが神殿側が招かれ人とのコンタクトをカジュアルな感じにキープしたい様子だったので向うの提案に従ってそのまま授業を続けている。


そんな毎日を過ごしていた隆一に、ある日突然教師役のザファードが提案をしてきた。


「魔物を倒す?」


「初期の説明の際に聞いたかも知れませんが、招かれ人はこちらの人間よりも魔物を倒した際などの成長率が高いのです。

ですからちょっと騎士か探索者を伴って迷宮にもぐって暫く魔物を倒して回ったら、かなり魔力と生命力が上がるので色々と便利ですよ?」


・・・考えてみたら、確かに最初にそんなことを言われていた。

ただ、その時の話は成長率が高いから勇者扱いされていたという話の流れの一部だったが。


ゲームやラノベではモンスターを倒すとレベルアップするが、この世界はレベルという人間のパラメーターを数値化したシステムは存在しない。

ギフトやスキルが見える神具なんてものがあるのだから、レベルやパラメーターの見える魔道具があっても良いと思うのだが、無いらしい。


それなりにゲームもラノベも妹に付き合って嗜んできた隆一としてはレベルアップがあるのだったらステータスを上げるために色々と訓練や討伐をやりこむのもやぶさかではなかったのだが、ステータスというパラメーターを計測する手段が無いと聞いた時点でちょっと興味が薄れて優先順位が下がっていた。


医療に関しては無限の可能性があるのではないかと思うぐらい無敵な鑑定でも、体重や身長が分かるだけで握力や魔力といった数字化が難しくなさそうな情報すら見て取れないのだ。だったらあやふやな『生命力』を上げるために魔物を倒すよりも錬金術で魔道具を造ったり、治療における鑑定の使い道の研究にエネルギーを費やす方が成果が目に見える形で得られるので楽しい。


とは言え。

考えてみたら、レベルアップが無いにしても生命力や魔力が上がるはずだと言うのだったら、それを数値化する為に握力計と何回特定の魔術を放てるかを計測しておいて確認しても面白いかもしれない。


そんなことを考えていたら、

「明らかに、探索者と一般人では魔力も生命力も違いますし、同じ探索者でもベテランと初心者では年齢が同じでも違いが出ます。

双子で一人が探索者になり、もう一人が商人になったようなケースで比べてみた研究があるのですが、攻撃された時の怪我の度合いや治り方、また魔道具を使える回数などに明確に違いが出たそうです。

『レベル』というものがあった世界から来た招かれ人もいたので、調べることが出来ないもののこの世界でもレベルが存在しているのだろうと言われてきていますが・・・リュウイチ殿の世界にも『レベル』というのはあったのですか?」

とザファードが付け加えた。


魔力が上がれば1日にこなせる魔道具の作成数や治療の回数も増えるから便利だろう。

攻撃された際の怪我の度合いや治り方に違いが出るのだったら、護身の面から考えても伸ばしておく方が良いだろうし。

この世界での招かれ人の扱いはかなり定着していて、権力者が変わったからと言って突然扱いが変わるということは無さそうだが、なんと言っても隆一は根無し草なのだ。自分の身を守る為に打てる手は打っておくべきだろう。


それに。

回復ヒールも錬金術も『教わる』段階を卒業しつつあり、そろそろ『研究開発』を楽しむ段階に入りつつある。

そうなると材料費は自腹となる為、収入が必要だ。

宮仕えして言われたものを造ったり治療したりするだけなら金を貰えるが、自分の興味が赴くままに開発したり研究したりするためには、自分でその資金を賄わなければならない。

どの世界でも、研究開発の資金事情は世知辛いのだ。

迷宮でとれる魔物の部位や魔石、薬草は魔道具や各種ポーションの原材料でもあるので、金と素材と両方をゲット出来て一石二鳥だろう。


ついでにちょっとレベルに関して実験をしてみるのも面白そうではあるし。

「迷宮に行くのは良いと思うが、荒事には縁のない世界に生きてきたので自力で魔物を無事に倒せないし、直ぐに成長するような素養もないぞ?」

自分で探索者を雇うとなるとそれなりの出費になるし、なんと言っても相手を信頼できるのか分からない。

まあ、探索者ギルドだって招かれ人のことは分かっているのだからそれなりに信用できる人間を紹介してくれるだろうが。


「ある程度までの迷宮探索は王宮の騎士団の方から支援されることになっています。

この国ですと王都の傍の迷宮を潜るのに半年間は無料で騎士を一人派遣しますし、その時点で10階までたどり着けていない場合は余程の理由がない限り更に潜るのもそれなりに手伝います。

探索者ギルドも同じような援助制度がありますね」


「ちなみに、招かれ人の魔力や肉体的能力アップの一般の人との違いに関する研究は過去に何か行われているのか?

自分の肉体能力や魔力の変化を確認して記録するつもりだが、比較対象としてこちらの人の成長度合いとも比べてみたら面白いだろうと思う。でも、既にそのような研究がされているのだったら騎士団に支援して貰いながら調べることでもない気もするのだが」


隆一の言葉に、ザファードが微妙そうな顔をした。

「公表はされていませんが、過去に幾つかの国で研究をして明らかに招かれ人の成長率は高いという結果が出たという話は神殿にも来ています。

あまり招かれ人の成長率の高さがおおやけ)になると天罰に触れない程度で何とか招かれ人を利用しようとする人が出てくる可能性があるので、我々としてはあまり研究を推奨できませんが・・・」


確かに、変に権力者をその気にさせるようなことはしない方が良いかもしれない。

日本と違ってこの世界には天罰というものを信じない人間は殆どいないらしいが、自分はルール違反をしても大丈夫と根拠もなく信じるバカはどの世界にでもいる。

「分かった。

考えてみたら、自分も戦闘職として大成するつもりはないので変に成長率の高さを明らかにしない方が良いだろうし、成長率そのものも素の才能を考えると大した事はない可能性も高い。

自分で適当に調べるだけにしておくよ。

ちなみに、騎士団と探索者ギルドの両方が潜るのに協力してくれるのか?それともどちらかを選ぶ必要があるのか?」


ラノベなんかでは騎士団は対人間用に戦闘要員という存在であることが多いから探索者の方が魔物には慣れていそうだが、人間の信頼性という面では騎士の方が安心できそうな気もするが、どうなのだろうか?


「探索者ギルドも騎士団も、どちらも迷宮や魔物に関してそれなりに利権があるので招かれ人に危害を及ぼしたり変に利用しようとしたりする可能性があるので、お互いを牽制して招かれ人を守るために、両方から一人ずつ人が出されることになります」


どうやらどちらも完全に信用してはいけないらしい。


あまり最初の一般常識とかギフトの使い方の部分を細かく説明しても飽きるかと思い、ちょっと時間が飛びました。

主人公も大分異世界に慣れてきて、もうそろそろ一人前の人間として外に出歩いても大丈夫かな?いう段階になってきたので最後の仕上げとして基礎能力アップです。

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― 新着の感想 ―
主人公に安心感あるけど、信じるしかないとはいえ、あいての言うこと信じるのはえーな。 まあ、信じてなくてもそうせざるをえないなら、悩むだけ無駄っていう賢い思考なのかもしれんが。
[一言] 「どうやらどちらも完全に信用してはいけないらしい」 何を言ってるの、完全にもし信用できる人が居るとしたら親くらいでしょう。その親にも裏切られることがあるというのに、もうすぐ結婚しようかと思っ…
[一言] 成長率云々はおいといても、全く魔物倒していない初期状態の自分の握力や魔力量(特定魔法を何回使えるか)くらいは記録しておいたほうが、 自分の成長を感じられて良いのでは? データは自室内で一人で…
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