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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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69.迷宮6階

「おはよう」

迷宮の前に行ったらデヴリンが既に居た。

丁度いい。


「あ、今日は6階の探索だろ?

出来れば5階まで転移門で降りて、アイアンゴーレム(小)かどれかを倒してこのバックパックに入れて6階で使い心地を試して貰えないか?

戦闘したり走ったりしても誤作動しないか確認したい」


最初から先日ゲットしたアイアンゴーレム(小)を入れて行っても良かったのだが、流石に態々そんなことをしなくてもどうせ5階で手に入るのだからと思って隆一はほぼ空で持ってきた。


今日はバックパックを1日デヴリンとダルディールに担いでもらうつもりで来たので、ランチや足止め用魔道具、回復薬(ヒーリングポーション)はウェストポーチに入れてある。


「うん?

構わないが。

・・・誤作動ってもう重量軽減の魔道具が完成したのか?!」

デヴリンがバックパックを受け取りながら尋ねた。


「まあ、担ぐバックパックの重量軽減だったらバネを使って出力を段階的にコントロールする以外、新しい機能はほぼ無いからな」

そう考えると猫車やリヤカーに重量軽減の魔道具をつける事自体は難しく無い。

宙に浮かせようとか斜面でも倒れにくいようにしようとか欲張ると、バランサー機能が必要になるので時間が掛かるが。


「凄いな。

幾らぐらいになりそうなんだ?」

隆一が渡したバックパックに自分の荷物を入れて担いだデヴリンが軽く飛び跳ねながら聞いた。


「さぁ?

値段は製造段階になって製造担当の錬金術師と商業ギルドの誰かが相談して決めるんじゃないか?

特許料の設定は特に高くするつもりはないが。

ちなみに、現時点では重量軽減のスイッチは入ってないぞ」


そう聞いて飛び跳ねるのを止めたデヴリンがバックパックを肩から降ろして詳細を確認し始めたところでダルディールが現れた。


「よし。

転移門だ」


◆◆◆◆


「この魔道具は下から上に向けた反発力を魔力で発生させることで重さを軽減するが、荷物の質量その物は減らしていないんだ。

つまり、横に動いた時や下にしゃがんだ時などの荷物からくる反動は変わらないから、軽い荷物のつもりで動いていると変に引っ張られる感覚があるかも知れないからそこら辺は一応留意しておくといいと思う。

他にも何か使い難いと感じる点があったら改善点として考慮するから細かい事でも構わないから気が付いたら言ってくれ」


5階についた隆一たちは幸いにも直ぐにアイアンゴーレム(小)に遭遇した。

そこでサクッと倒したゴーレムの胴体と太ももをバックパックに詰め込み、バネの動きが落ち着いたところでストッパーをきっちりと止めて魔道具を起動してデヴリンに背負わせながら隆一が注意点を二人に伝えた。


本当ならば3つバックパックを造って3人とも担いで試運転を3倍に増やしたかったのだが、バックパックを造る素材が無かった。取り敢えず今日は午前中はデヴリン、午後はダルディールが試すことになっている。


生地を迷宮に来る前にスフィーナに依頼しておいたので、もしかしたら今日の帰りには入手出来ているかもしれない。


「荷物があれだけ入っているのに重さが殆ど無い様に感じるっていうのは不思議なもんだな」

6階へ階段を下りながらデヴリンが言った。


「ある意味、普通に歩いていると重い物を背負っている感覚が無くて急に横によけたりする際に思いがけず振り回される感じになるかも知れないから気を付けてくれ」


意識していればそれほど困らないが、『重さを感じない』ということはそれだけの質量を担いでいるという自覚をなくさせる可能性が高い。

だから暫くしたら忘れ、急に動く際に驚くことになるのではないかと隆一は思っていた。


まあ、デヴリン達だったらうっかりバランスを崩すことになっても6階の魔物程度に遅れは取らないだろうが。


というか、リヤカーを片手で引っ張れる馬鹿力を考えるとちょっとやそっと余分に負荷がかかっても誤差の範囲内になるのかも知れない。


そんなことを考えながら6階に足を進めると、大木が目に入ってきた。

「あれがトレントか。

確かにレッサートレントよりもかなり大きいな」


レッサートレントは新しい建物の横に移植したてのほっそりとした若木という感じだったが、こちらのトレントは10年ぐらいたったずっしりと根付いた樹木と言う感じだ。

「ちなみに、このトレントは歩き回れるのか?

随分と大きくしっかり根を張っているように見えるが」


「本体その物が移動するのにはかなり時間が掛かるが、蔓が意外と素早く動くからうっかり近づくと枝から首つりなんてことになるぞ。

根っこも細いのが突然地面から飛び出してきて足に巻き付くこともある」


大分このトレントだと危険度が上がるらしい。


いつもご愛読ありがとうございます。

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