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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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54.迷宮5階

「5階はゴーレムなんだよな?

動きがとろい代わりに力が強いという理解で良いのか?」

足止め用魔道具が完成して、先日久しぶりに迷宮の探索に来て4階で試したところ、想定通りに起動してくれた。


何やらダルディールとデヴリンは頭を抱えていたが、危なげなく集団で襲ってきた森狼も倒せたので隆一は非常に満足した。


夕方にギルドで倒した魔物の利用できる部位を買い取ってもらっていたらスフィーナが寄ってきて足止め用魔道具の詳細を知りたがったので、どうやら探索者ギルドの方でも売れそうだ。


それほど高価な素材は使っていないし造るのもそれほど難しい訳ではないので、比較的買いやすい値段で販売できるだろう。

もっとも、使い捨てではないとは言っても安くはない魔道具の使用がペイするレベルの魔物相手にも通用するかはこれからテストしていく必要があるが。


その点、5階に出るというゴーレムは動きはとろいものの力は強いという話なので、余裕を持って魔道具の使い勝手を確認するのに良い対象なはずだ。


「ああ。

5階に出現する魔物はクレイゴーレム、ストーンゴーレムと小型のアイアンゴーレムだな。

クレイゴーレムは水系の魔術に極端に弱いから、小遣い稼ぎに魔術師の見習いが採取依頼をこなすことが多い。

魔物としてのクラスは低いが素材として残る粘土が陶器の材料としては上質という話だ」

ダルディールが説明してくれた。


「ストーンゴーレムは力が強くてクレイゴーレムのような露骨な弱点が無いわりに使い道もあまりなくて人気が無い。

なので新しい武器を試したい探索者以外は無視して避ける。動きが遅い上に探知範囲も狭いんでちょっと走ればすぐに諦めて動きを止めるからな。

アイアンゴーレムは持って帰れば武器を造ってもらえるのでそれなりに人気だが、柔らかい動物系の魔物しか倒せない程度の探索者には中々の難敵だから、剣を折って泣く羽目になることも多い」

続いた説明に隆一は軽く首を傾げた。


「ストーンゴーレムの石に対する需要は無いのか?

ギルドや神殿の建物は石づくりだったが」

まあ、考えてみたら建物を造る規模での石を迷宮から持ち出すのは大変すぎるかもしれないが。


運搬用の重量軽減の魔道具が無いらしいこの世界では、量を確保する為には運搬係ポーターを雇わなければならない。

なのでただの石では費用効果的に赤字の可能性は高いだろう。


「まあ、それなりに需要はあるが・・・この階層程度で探索する連中じゃあ核の場所が分からなくて倒すために体を粉々にしちまうことが多いんだよ。

綺麗に倒せたら転移門を使って上まで持って行く価値があるが、そうじゃなかったら転移門の使用料で足が出ちまう。

すっきり綺麗に倒せるだけの腕を持つ探索者を金持ちが雇う場合は、10階か15階の堅石ゴーレムを狙うことが多いな」


デヴリンの答えに隆一は5階ごとにあるという転移門の事を思い出した。

転移テレポーテーションという素晴らしいこれまた不思議ファンタジーな現象なのだが、迷宮内でしか実現できていないらしい。

しかも探索者ギルドが設置しているのではなくダンジョンマスターが用意しているとの話で、攻略前だと10階ごとになるところが微妙に世知辛い。


・・・攻略後の5階ごとに設置されている王都迷宮で、それぞれの転移門があるフロアにゴーレムが出ると聞いて隆一は思わず笑ったものだ。

本当に、初代ヴァサール辺境伯は一体どれだけ時間をかけて攻略後のこの迷宮の構造を考えていたのだろう?


経済的便益の大きい迷宮だが、ここまでしっかりと出産物が設計された迷宮は意外にも少ないと以前スフィーナと雑談していた時に聞いた。


ダンジョンマスターとの交渉は攻略が出来たその時点で行われなければならず、『よく考えてから後でお願いします』というのは認められないのだ。


そうなるとどうしてもダンジョンマスターからの報酬は探索者の求める単純な財宝や神具クラスのアーティファクト、エリクサーといった物になることが多い。

ダンジョンマスターがそういったものをあらかじめ準備しておいてそれを最初に提供するらしいし。

つまり、デフォルト報酬は財宝なのだ。


攻略者が粘って交渉するとその他(迷宮のカスタマイズとか神との対話等)が可能になるそうだが、この交渉権の存在は一体誰が発見したのだろう?


まあ、それはさておき。

その迷宮がある地域を治める貴族なり王家なりがスポンサーになって探索者に攻略させれば良いようにも思えるのだが、莫大な富を生み出す迷宮のカスタマイズの報酬が大きくなりすぎて一括払いが難しいらしい。


ならばその迷宮を含めた地域を下賜するという思い切った手段を取るのも手だと隆一は思ったのだが、初代ヴァサール辺境伯のような規格外な探索者以外の場合、迷宮を攻略するのにかなりの年月がかかる上に生活サポートも必要なため、どうしても迷宮の周辺地域の開発が必要になる。


そうなると既にその地域を統治する貴族がいることになり、周辺の開拓・開発で頑張ってきた貴族から攻略出来て一段と利用価値が高まった迷宮を取り上げる訳にもいかなくなるし、それだけ利用価値が高い地域を統治や経済を全く分かっていない無学な探索者に与えるのもリスクが高すぎる(と貴族が主張する)。


そんな報酬とスキルのミスマッチのせいで、結局ヴァサール辺境伯の現役時代に攻略された辺境伯領(現ヴァサール王国)内の3つの迷宮以外、出産物がきっちり計画された迷宮は世界中でも片手で数える程にしか存在しないらしい。



「ちなみに、ストーンゴーレムと小型のアイアンゴーレムだとどちらの方が力は強いんだ?」

倒しにくさではアイアンゴーレムの方が上という話は既に聞いているが、出力パワーに関しては確認していなかった。


「ストーンゴーレムの方が上だな。

基本的にゴーレムはサイズで出力パワーが決まると考えて良い。

だから5階も10階もゴーレムの力そのものは大して変わらない。

硬さや早さや知覚範囲が段違いなんで難易度は全然違うことになるが」


デヴリンの言葉に隆一は頷いた。

「良かった。

ゴーレム相手に足止め用魔道具が上手く機能するか確認したいんで、ゴーレムが出てきたら暫く倒さないで様子を見させてくれ」


「了解~」


迷宮を攻略した探索者だって、まだ脂の乗り切った強さのピークだったらデスクワークと社交にまみれた貴族になるよりも、単純に財宝を手に入れてゆったり遊ぶなり次の挑戦に挑むなりを好む人も多いでしょうしね。


高額宝くじみたいに30年ぐらいの分割払いで受け取る方が払う方も楽だし受け取る方も使い切っちゃわなくていいという気もしますが、探索者はいつ死ぬか分からないし下手をすると依頼主に迷宮の中で殺されるかもしれないしで、中々迷宮攻略を金で依頼するのは難しいw


そう考えると初代ヴァサール辺境伯は本当に規格外な人だったようなので隆一も興味を持って色々調べたかったんですが、誰がブレーン役だったのか(もしくは何故ヴァサール辺境伯がここまで規格外だったのか)はまだ不明~。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 図書館で歴史調べたりスライムを実験したり主人公の知的好奇心旺盛なところが好きですね。 [気になる点] 主人公は特許で財産を築かないのですかね?もし築かないのなら家庭を持たない方がいいかと思…
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