表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
479/1419

479.売っても売らなくても問題あり:フリオス・ルーバッカ(2)

「ほおう。

扉の向こうまである程度視えるのですね」

飛行具の問題は悩んでもどうしようもないと割り切り、売り出す前に購入者の制限や所有者の把握に関して相談させてもらうという事になった。


リュウイチが治安対策の視点からこちらの協力要請に前向きかつ金にあまり無関心なのは幸いだった。

これで販売を制限するのだから相応な補償を寄越せと言われたら、一体どれほどの予算が必要だったか・・・。

勿論、『招かれ人を搾取している』なんて悪評が立たない様に騎士団はちゃんと常識的な金額は払うが、一方的に革新的な製品を一般販売しないようお願いしている立場なのだ。

相手次第では『納得して貰える金額』が青天井になる可能性だって十分あった。


そして今度はセンサー用魔道具とか言う頭に被るヘルメットのような形をした魔道具だ。


魔力視とどう違うのかと密かに思っていたが、試してみると、確かに特に集中する必要もなく目を向けるだけで視えると言うのは中々便利だ。

まあ、普通の視界と重なりすぎると色々混乱するので光で見る分を制限して熱と魔力を主なソースとして視ると言うのは慣れるまではそれなりに違和感があるが。


「魔力を隠蔽できる装備や能力があって、防熱効果の高いマントか何かですっぽり体を覆っていたら見落とすかもしれないが、普通に隠れているだけだったら見つけやすくなるんじゃないか?

迷宮で影狼や巣穴にいる穴兎を見つけるのには全く問題ないし、暗殺蛇もそれなりに注意を払っていれば歩きながらでも見つけられるから、隠蔽系の魔物が多い地域に行く際には便利かもな」


リュウイチの説明を聞きながらヘルメット型魔道具を被ったまま窓際まで進み、外を視る。

流石に長距離になると効果が落ちて『多分人間かな?』と思われる明るい塊が動いているのが視える程度になる。


とは言え。

長距離でも一応人間が視えるなら、不意打ち狙いの襲撃者を見つけるのに役に立ちそうだ。

遠征時に食糧を探すために獲物が欲しい時にも役に立つに違いない。


「森や障害物のあるルートの警戒に当たる兵士に使わせると良さそうですね。

というか、門兵に使わせれば忍び込もうとしている人間が一目瞭然ですね」

申請されていない魔道具の持ち込みも発見できる確率が上がりそうだ。


これは是非、魔道具の機能をおおやけにせずに王宮や騎士団拠点の門兵や王都門の警備兵、港の調査担当の人間などに使わせたい。


「ちなみに、この魔道具は他にどこに売る予定ですか?」


リュウイチが肩を竦めた。

「14階での狩りに使うだろうと思って探索者ギルドが買い取って貸し出しでもするかと思ったんだが、それだけでなく隊商の護衛依頼を請けた探索者にも使わせたいようなことを言われたな。

後は私邸の警備を受け持つような連中も夜の警備用に使っても良いんじゃないかと思っている」


なるほど。

私邸の警備はまだしも、探索者は確かにあったら便利だろう。だが・・・そちらに使わせたら違法な魔道具の持ち込みや人間の連れ出し・連れ込みを考える連中にも比較的早く話が漏れそうだ。


迷宮探索というのはスラムや下町の人間の救済手段でもある。なので犯罪者すれすれの人間でも探索者になることを止めないのがこの国の方針である。


お蔭で確かにスラムや下町の人間がスリや強盗といった違法手段ではなく、まっとうに金を稼いで生計をたてなおせるのは有難いのだが・・・情報漏洩という意味では一番知られたくない相手に情報が駄々洩れになることが多く、スラム関連の取り締まりで探索者と合同作戦になるとほぼ確実に失敗すると言うのが現実だ。


「この魔道具の使用をある程度以上のランクの探索者に制限するのは可能か、探索者ギルドと話し合っても良いですか?」

販売制限を付けない方が売る方にとっては楽だろうが・・・せめて下っ端の探索者には隠れた人間や魔道具を見つける手段があるという情報が暫くの間でも流れないようにしたい。


「良いんじゃないか?

隠蔽系の魔物は14階までは出てこないから中堅程度までランクを上げた探索者じゃなきゃ必要ないだろうし、隊商の護衛依頼だってそれなりのランクがなきゃ請けられないんだろ?」

リュウイチがデヴリンに尋ねる。


「ああ。

腕の問題があるし、信用も積み立てる必要もあるからな。

パーティのランクが高ければランクが低い人間が含まれていても護衛依頼を請けられるが・・・裏切りは怖いから、親戚や子供の頃から知っているような信頼が出来る見習い以外がいる場合は探索者の方だって護衛依頼を請けないぜ」

デヴリンがクッキーに手を伸ばしながら答えた。


その茶請けは客用なんだぞ。

穴兎の差し入れもしないようなお前さんがバリバリ食う物じゃない!


クッキーの皿を奪い取りたくなる衝動を抑えながら、考えを巡らす。


「では、この魔道具に関しては探索者ギルドと機密保持に関してどういう手をうてるか相談させてください」


リュウイチがあっさり頷いた。

「おう。

こっちの試作品もいるか?

自分が使う14階での使用は大体問題がない事は確認してあるんだが、他の用途で使った際に何か問題があるようだったら改善するからどんどん言ってくれ。

ちなみに・・・門兵って下っ端でもそれなりに身元確認をしっかりしているものなのか?」

ふと興味を持ったようにリュウイチが付け足す。


確かに、探索者ギルドの方にこの魔道具の使用できる人間を制限させるが、考えてみたら軍の方だって門兵や港の調査に駆り出される兵士が必ずしもベテランであるとは限らない。


というか、目で見る情報が大幅に制限されてしまうこの魔道具だったら、ベテランには今まで通りに目で見て怪しいと思われる情報を確認してもらい、経験の足りない下っ端に魔道具で隠れた人間や魔道具を探させる方が効率的なのだが・・・そうなると確かにあっさり情報を売りそうな人間に使わせる羽目になる可能性がそれなりにあるか。


「・・・そこら辺も、内部で検討して情報漏洩対策を取ります」


「まあ、便利な道具への対応策が広がるのは防ぎようがないから、完璧を期して頑張ってもしょうがないんじゃないか?」

肩を竦めながらリュウイチが立ち上がった。


「じゃあ、この報告書は貰って行くよ。

追加のヘルメット型魔道具と真空パック機の試作品は明日にでも届けさせるから」


「よろしくお願いいたします」


次々と便利な魔道具を開発してくれるのは非常にありがたいのだが・・・色々と検討する点も増えて中々悩ましい。


招かれ人を召喚すると激動の時代が来るという話は聞いていた。


政治に興味がなく、理想に燃えるわけでも無さそうなリュウイチだったら大丈夫そうだと安心していたのだが・・・『激動』かどうかは知らないが、気がついたら確かに色々と変化が山積みだ。


危険な見落としをしないように気張らねば。


SNSが無いから考えなしな若兵のうっかり公開は無いにしても、情報管理は難しいですよね〜。

特に現場で使う道具となると、隠してしまっておくという訳にもいかないし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ