表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/1319

38.『好奇心』だけでは駄目ですね(2)

『建国後XX年』を『グルダルヴァ暦XX年』に変更しました。

ヴァサール王立図書館は貴族区域と商業区域の境にある公園の隣にある4階建ての古めかしい建物に入っている。

入り口で身分証明書を見せる必要があり、入館料が5パド(=約1000円)、貸出料が1冊10パド、そして本をなくした場合は実費(=100パド~5000パド程度)らしい。


ちなみに5000パド(100万円!)以上する装飾が凄い芸術品の様な本は本棚に鎖で繋がれており、基本的に外で読みたければ職人を雇って写本させなければならないと教わった。


写本代は本の外見にこだわらなければ1冊500パド程度で出来るらしいので写本は現実的な代替案なのだが、腕の良い(間違いがなく、字が読みやすい)写本職人は人気があって予約が一杯で最低でも3か月待ちとのこと。


コピー機を使うのではなく、人間の作業なのでここでケチって腕が悪いのを雇うと誤字だらけならまだしも酷い場合は内容が誤った写本が出来上がる。知らない写本職人を使う場合は図書館に手数料を払って内容の確認をしてもらうことが推奨されている。


もっとも、隆一の場合は速読できる上に一度見たものは全て記憶に残るので、自分で本のページをめくっていくのが一番確実かつ早いが。


召喚されて一般常識を教わった際に一度連れて来てもらい、使用方法もその際に説明を受けていた隆一だが、神殿の図書室にも大部屋3部屋分ぐらい本があり、それなりに招かれ人が読みたがるようなこの世界に関する基礎的な内容の物がそろっていたので王立図書館は今まで使っていなかった。


神殿図書室と王立図書館に置いてある歴史本の違いに興味があったので、今回隆一はヴァサール辺境伯がこの地域を下賜された前後の時代の事をまず王立図書館で調べることにした。


「ヴァサール王国の前の時代に関する歴史の資料を見たいのだが、どこら辺で調べれば良いかな?」

入館料を払いながら聞いたところ、司書に2階の西側の奥にあるコーナーへ案内された。


「旧グルダルヴァ帝国時代以降の他国の歴史・社会情勢に関する書籍が集められた書架はこのフロアの北側にありますので、お探しの情報が無い場合はそちらも覗いてみると良いでしょう」

少し離れた距離に護衛が付いて回っている隆一に好奇心を感じていたのか、司書の男性も何か聞きたげな顔をしていたが・・・結局何も言わずに案内だけして受付に戻って行った。


いい加減、もうそろそろ街中を歩くのに護衛は要らない気もするが、まだまだ街中のゴロツキにあっさりやられてしまうので平和ボケした隆一が自分一人で歩き回るのは危険だと過保護なザファードに護衛をつけられている毎日だ。


(学者肌な人間だったら招かれ人に直に会える機会があったら色々と質問したり研究したりしたいだろうが、司書もそうなのかな?

王立図書館だって『禁書』とまではいかなくても一般には通常公開していない資料がありそうだから、『招かれ人』という珍獣に質問をさせてあげる代わりに仲良くなって一般用書架に出してない本も読ませて貰うのも良いかも知れない)


そんなことも考えたが、取り敢えずは一般書架にある資料を読破しようと隆一は本棚にある本を片っ端から目を通すことにした。


ヴァサール辺境伯が領地を下賜された旧グルダルヴァ帝国という国とは、王位継承者(グルダルヴァ帝国の場合は『皇位』継承者だったが)に必ず統治に適したギフト持ちが生まれる『神に承認された血筋』が初めて現れた先駆的な国だったことが調べている間に判明した。


他にも神が介入する国はあったのだろうが、王家が優れていても周辺国との争いや天災に寄って国の盛衰は起こる。

どうやらグルダルヴァ帝国の前に神に介入された国々は名を売る前に衰退してしまったらしい。


グルダルヴァ帝国が大きくなってからは、最終的には神に承認された血筋が収めた国々のみが帝国に立ち向って生き残れた為、『神に承認された王家が治めてこそ一流国』という常識が広まったようだ。


それはともかく。

今から1000年近く前に建国したグルダルヴァ帝国(その頃は『王国』だった)は、当初は田舎の貧しい農業国だったが、代々賢王に恵まれ、貧しい国土を富ませようと一致団結して協力した貴族たちと共に堅実に国土を広げ、国民を増やし、やがて徐々に富んできた国を狙う周辺国を撃退していくうちに終戦協定で勝ち取った土地のせいで領土が広がり、500年ぐらい前には大陸の6割を占める程の一大帝国になっていたそうだ。


最初から『神に承認された血筋』だったのか、代々賢く王位継承者を育てていくうちに神様に認められたのかは不明だが、グルダルヴァ暦200年ぐらいの時期には既に『神に認められた王家』という言葉が出て来ていたと本には記されていた。


帝国の西側にあった隣国が後継者争いで自壊したグルダルヴァ暦400年ぐらいから帝国に戦争を仕掛けるような周辺国は無くなっていたようなのだが、グルダルヴァ暦500年ぐらいから今度は帝国内の貴族が自分たちの領地を広げるために宣戦布告せざるを得ない状況へ近隣国を追い込むために経済戦争を仕掛けたり、その国の貴族と内通して攻め込ませたりして、じりじりと国土を広げ続けていた様子が幾つかの歴史書に書かれてあった。


いくらトップが有能でも、そこまで巨大になった国は軍や官僚機構、そして地方自治体的な大領地を持つ高位貴族の働きが無ければ統治できず、こちらは必ずしも有能な人間によって動かされ続けるとは限らない。


結局徐々に腐り始めた大国を皇帝が必死に繋ぎ止めて運営していたのがグルダルヴァ暦500年~700年ぐらいらしい。


大きすぎる国と言うのは上が有能でも徐々に自滅の道を歩んでしまうようだ。


それでも、腐り始めた帝国が200年ももったのは、大したものだ。

まあ、隆一が読んだ資料は全て旧帝国が崩壊した後の後継国ともいうべき国々の学者が書いた研究資料だから、帝国の後年を悪く書くバイアスがかかっていた可能性は高いが。


結局、午前中に読んだ本は面白かったものの、初代ヴァサール辺境伯の話は殆ど出てこなかった。


帝国の末期に比較的早い段階で独立を宣言した国としてヴァサール王国の名が挙がっていただけだ。


旧帝国との間に防衛しやすい山と魔物が徘徊する森があったおかげでまだ帝国に余力が残っていた早い段階で独立を宣言したにも関わらず、攻め込まれずに済んだ『幸運な国』と書いてあった。


(なんでヴァサール王国の事が殆ど言及されていない旧帝国の崩壊に関する本が態々置いてあるんだ?)


面白かったもののどうして王立図書館にこの本があったのか不思議に思って最後のページを確認する。

どれも『寄贈:アルタシス・クラウゼ・ヴァサール』とあった。


(姓がヴァサールと言うことは王族か?

国が大きくなりすぎるような覇権主義は自滅しやすいぞという理論武装用かね?)


国の未来を考えるうえで他の人間にも参考にしてもらいたいと思って王族がこの本を図書館に寄贈したのだとしたら中々面白い。

どうせなら貴族や官僚を目指す高校生ぐらいの学生が通う学校の社会科や歴史の授業の教科書も見てみたいものだ。


ブックマークが200件を超えました!

ご愛読ありがとうございますw


コメント・突っ込み等、フィードバックも大歓迎です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >『招かれ人』という珍獣に質問をさせてあげる代わりに~ これって賄賂か身売りのどっちですかw なんだか護衛が外れない気がしてきましたw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ