24.色々実験:スライム水とポーション(2)
徐にズボンを脱いだ隆一を、ザファードが目を丸くして見つめた。
「どうしたんです、突然服を脱ぎだして?」
「ちょっとした実験だよ。
気にしなくて大丈夫だから」
そう声をかけながら、作業用にゲットしておいたメス代わりの鋭いナイフで太ももに9ヵ所程切り傷をつける。
「何をやっているんですか?!」
ザファードが慌ててポーションを掴んで駆け寄ってくるが、それを手をあげて差し止め、実験用に作ったポーション(と比較対象としての普通のポーション)をスポイトで少量ずつ傷にかけていく。
が。
「いてててて」
どうやら収穫したてのアルカリ性の高いスライム水を使ったポーションはアルカリ性が高いままだったようだ。
垂らしたところからピリピリと痛い。
意外なことにスライム水を乾燥させたスライム粉を混ぜたポーションは痛くない。
あれだって魔力が抜ける前に急速乾燥させたものなのだから、アルカリ性があってもおかしくなかったのだが。
一通り終わってから水をかけて足を洗ってみた。
「あれ?
赤くなってないな」
下手をしたら表皮が剥けているかもと思った程ピリピリと痛かった高アルカリ性スライム水ポーションを掛けたところの肌は、意外にも普通に綺麗に治っていた。
どうやらアルカリ成分で解かした肌をポーションの成分が直したようだ。
それどころか、肌が新しく再生したのか、他の部分よりもすべすべして白くなっている印象だ。
「もしかしたらピーリング用品として売れるか・・・?」
ピーリングは酸を使うので高アルカリ性はもっと肌がボロボロになることが多いのだが・・・というか、pH9程度だったらここまでピリピリ痛いはずはないので、やはりスライム水には何か細胞を壊すような酵素か何かが含まれている可能性が高い。
顔に毒であるボトックスを注射してでもハリを取り戻そうとする女性の美容への執着を垣間見たことがある隆一としては、ピリピリ痛い程度だったらこの高アルカリ性スライム水ポーションが売れそうな気がしたが、想定以上に肌へのダメージが浸透してポーションの回復作用を肌の下で上回っていたりしたら危険なので、実験結果のところに大きく『失敗』と書こうとして・・・手を止めた。
「ザファード、火傷とかの傷跡の治療需要ってそれなりにあるのか?」
この高アルカリ性スライム水ポーションは皮膚の表面を壊しつつ治療しているように思われる。
だとしたら火傷の跡などで引き攣れた皮膚を治すのにも役に立つかもしれない。
「普通の傷跡はまだしも、火傷の傷跡に関してはそれなりに需要がありますね」
ザファードがため息をつきながら答えた。
「回復師がいる世界でも火傷の傷跡は残るのか?」
「筋肉まで火傷が達するような重症の火傷の場合は大回復を複数回使わないと綺麗には治せませんから。
火傷を負ったのが一人だけで、かつ魔力が豊富な回復師が傍に居ればそういった治療も可能かもしれませんが・・・火事で複数の人間が巻き込まれた場合などは回復師の魔力の範囲内で命を救うことを優先するので、どうしても傷が残ることが多いですね」
火傷は魔法があるこの世界でも手強い敵なようだ。
火傷の範囲が広いとショック死する可能性が高くなる。それを考えると綺麗に治すことよりも出来るだけ早く治療することを優先せざるを得なくなり、結果的に傷が残ることになるのだろう。
回復術という奇跡と言っても良いような治療手段があるのだから、傷が残っても後日に表皮をナイフで剥ぎ取って回復を掛ければ傷跡を消せるはずだが、整形的な理由だけで肌の広範囲をナイフで切り取るのは中々勇気がいる治療行為だ。
だとしたらこの高アルカリ性スライム水ポーションも治験してみる価値があるかもしれない。
ちなみに、他の試作品では魔力が抜けたスライム水を使ったポーションは効き目が極端に薄かった。
魔石を砕いた粉を混ぜたポーションは一応効いたが、何分、鋭いナイフで小さく切った傷だ。
傷そのものが小さいので治療範囲が小さすぎてポーションの効果の判断が付かない。
「よし。
夕方に探索者ギルドに行って人体実験しよう!」
傷痕の事などは簡単なネット検索に基づく浅い知識からのでっち上げですので、『間違ってる!!』と思うような内容がありましたら至急ご指摘ください。
何とか辻褄が合う形で修正するよう努力します。




