表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/1319

23.色々実験:スライム水とポーション

スライム研究再び。

迷宮の1階を回ってスライムを惨殺し、大鼠はヘルプ付きで倒し、大蜘蛛からはそこそこ糸を集めてきた隆一だったが、翌朝基礎能力チェックをしたところ腕力が25キロで魔力は小魔石12個になっていた。


腕力は18キロ→20キロ→25キロ、魔力は6個→8個→12個だったので、明らかに迷宮に潜ったことで基礎能力がアップしている。


しかも、どうやら自分で殺す方がアップ値は大きいようだ。


とは言え。

昨日の様子を鑑みるとスライムのようにとろい魔物や大蜘蛛のように獲物を狙って動かずにいるタイプの魔物しかアシスト無しには倒せない気がする。


(もしかしたら反射神経も上がっていて、明日に風矢ウィンドアローで大鼠を狙ってみたらあっさり仕留められるかもしれないが)


改善される能力のうちに反射神経や動体視力が含まれるのだったら自力で魔物を倒し続けられるかもしれないが、単純な筋力や魔力だけで器用さや反応速度などが改善されないのだったら戦闘能力の改善はかなり限られるだろう。


「さて。

他の実験をしている間にスライムの自然発生を起こせるか、試しておくか」

そんなことを呟きながら水槽に入れてあるスライム水に魔石と魔力を投下しようとして、隆一の手が溜まった。


「あれ?」

魔力が減っていない。


いや、少しは減っているのだが、まだかなり残っている。


前回の迷宮で集めてきた魔力水のうち、普通のガラス容器に入れてあったものはもう殆ど普通の水になっており、昨日集めてきた魔力水も既に魔力が半分程度は抜けている。


が。

残存魔力を測定してみたところ、一昨日の晩にスライムを自然発生させようとそれなりに魔力を注いでおいたスライム水は1割程度しか魔力が抜けていない。

昨日の朝に一緒に放り込んでおいたスライムの魔石を取りだした後、ほぼ24時間放置していたのに魔力の残量が9割というのは想定外に多い。


この世界では何故か魔石という形に凝固した魔力はそのまま変化しないのに、魔力水のような液体形になった魔力は特殊な魔力を閉じ込める容器に封じない限り直ぐに四散してしまう。


普通のスライム水ですら魔力(そしてなぜかアルカリ性も)が魔力水とほぼ同じペースで減っていたのに、スライム水に魔力を注ぎなおしたこのスライム水(改)だけは魔力が残っているというのは、意外だ。


取り敢えず、昨日汲んできた魔力水に魔力を注ぎ込んで魔力の濃度が同じになるようにして、時間と魔力の濃度を書き込んでちゃんと比較実験を行うことにした。


「どうかしましたか?」


バタバタと色々やっている隆一にザファードが声をかけてきた。

今日も変わらず、ザファードはもしもの時の為の救急対応要員として隅のテーブルで書類に囲まれている。


「一昨日実験に使っていたスライム水の魔力が思ったよりも抜けてないから、色々と確認してみようかと思ってね。

ちなみに、魔力水のメインな使い道って体力と魔力回復用のポーション作りという理解で正しい?」


「そうですね。

ポーション以外だったら魔力は魔石の形で供給する方が安定性が高いので」


魔力回復はポーションではなく魔石から直接魔力を抜き取る方が効率的なのだが、魔力の使い過ぎで意識不明に陥った場合などは自然回復を待つのでは支障が出る場合がある為、魔力回復ポーションを喉に流し込むことになる。


体力回復のポーションは実質的には怪我の治療に使う回復ヒーリングポーションだ。

魔力回復ポーションの利用頻度が低いことから『ポーション』と言えば基本的にこちらを意味する。


生命力を魔力で無理やり付与することで外傷を治すのが主な使い道だ。

病気で体力が弱っている時に飲ますことで延命効果も多少は期待できるが、薬や回復師ヒーラーを待っている間の緊急手段でしかなく、長期的な治療手段であるとは認識されていない。


液体の方が魔力を体に吸収しやすいらしく、体力回復の薬は基本的にポーションである。


魔石から直接魔力を吸収しても何故かその魔力のごく一部しか傷の回復に使われないらしく、魔力を吸収できる魔術師や錬金術師が怪我をした場合でも魔石を渡すのではなく『回復ポーションを掛けるか飲ませるのが相手が誰であろうと怪我の治療の一般的な治療法である』と回復師ヒーラー訓練の際に教わった。


勿論、魔力が残っている回復師ヒーラーがいる場合はそいつが回復の術を掛けるのが一番早いが。


そしてその際ついでに聞いた雑学的知識によると、ポーションは魔力が抜けると効果が下がるので在庫の有効期限管理が非常に重要であり、また難しいらしい。


つまり。

もしも魔力水から魔力が抜けにくくなる方法を発見したら、ポーションの有効期限を長くできるかもしれない。


もっとも、有効期限を長くするためのコストが高いのだったら態々高い備蓄用のポーションを造るよりも普段使い用のポーションをガンガン作って古いのを破棄していく方が経済的になるが。


「というか、アルカリ性のスライム水でポーションを造れるのかという点をまず確認しないと」


ということで。

(1)収穫したてのスライム水に魔力を足した物

(2)放置していて魔力が抜けたスライム水

(3)放置していて魔力が抜けた後に自分で魔力を注ぎなおしたスライム水

(4)放置していて魔力が抜けた後に魔石を使って魔力を注ぎなおしたスライム水

(5)放置しておいて魔力が抜けた後に魔石を砕いた粉を混ぜたスライム水

(6)スライム水を乾燥させたスライム粉を混ぜた魔力水

(7)スライム水を乾燥させたスライム粉と魔石を砕いた粉を混ぜた水

を使ってポーションを造ってみた。

ついでにおまけとして普通のポーションにスライム水を乾燥させたスライム粉も混ぜてみた。


昨日採取した蜘蛛糸の状態確認をしながらスライム水から魔力が抜けるタイミングなどを見測りつつポーションを作成。


「さて。

日本だったらまずは鼠でも使って実験するのだが・・・」

思いがけない気づきから始まった急な実験なので鼠を確保していない。


元々鼠を使って治験をするという習慣のない世界なので、無菌状態の鼠を大量に入手するすべもない。


鑑定で直ぐに異常が発見できる世界なので、なんと治験は基本的に実際の患者や貧乏人を使って行うのだ。


中々スリリングな習慣だ。

まあ、確かに鑑定しながら様子を見ていて異常があったら直ぐに回復する方が確実かも知れないが。


ただ、副作用が蓄積して悪化するタイプの場合、人間だと鑑定で識別できるだけの症状が出るまでに時間がかかる可能性がある。


全身を隈なく念入りに鑑定しておかないと思いがけない臓器に副作用が蓄積していたら体調が悪化するまで気づかない危険もある。


体の小さな鼠だと比較的早く結果が出て実験体がぐったりするので人間に危険が及ぶリスクが少ないのだが・・・地球だったら蓄積タイプの副作用が不可逆な場合は取り返しがつかないが、この世界ならば大回復ハイヒールを使えば大抵のダメージならば癒せる為、ちゃんと経過観測を長期間において行っておけば大丈夫なのだろう。


「まあ、外傷に使うポーションなんだ。

ちゃちゃっと人体実験しても良いか」


ということで、最初の実験は自分でやることにした。



分かりにくいですが、スライム水は一度魔力が抜けかけた状態から魔力を再充填すると中々魔力が抜けない特徴が発見されました。


普通にスライムの核を取り除いてスライム水として置いておくだけだと魔力水と同じで時間経過でどんどん魔力が抜けます。


スライムを自然発生させようという実験では、スライム水にスライムの魔石を突っ込んでおいたり、魔力を充填したり、先に沢山魔力を分裂寸前まで注いでから収穫して魔力が抜けないよう封を施した水槽に入れたりとか、色々実験していたら魔力を再充填したケースで魔力が抜けにくい事が発覚。

(ただし隆一が期待していたスライムの自然発生は起きませんでした)


収穫したてのスライム水で造ったポーションはアルカリ性が高くてヒリヒリしますがこれはそのまま置いておくと普通の魔力水やスライム水と同じで直ぐに魔力が抜けちゃうので魔力が抜けない特別性のガラス瓶に入れてます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
現実に自分を治験に使う人もいたそうですが、 正真正銘の謎物質スライム水を用いるのは怖いですね… それと生物から抽出した体液をそのまま使うのは生理的にキツい気もしますがw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ