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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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177.迷宮7階再び(5)

水槍ウォーターランス!」

水の槍が隆一の手元から突進牛の首の付け根辺りへと直進し、こちらへ突進してくる魔物を串刺しにした。


「うっし!

3体連続成功!!!」


思わず小さくガッツポーズを取った隆一をよそに、デヴリンが倒れた突進牛のところへ運搬具を引き摺って行き解体を始めた。

「コツが掴めたみたいだな?」


「ああ。

オークぐらい露骨に大きいと角度の違いも特に意識しなくても修正できるんだが、今まで倒せなかった時って突進牛と突進豚を狙う時の微妙な角度の違い分の調整に失敗していたのが原因だって気がついてね。

ちゃんと角度を意識したら上手くいくようになった」


突進豚は隆一の胸よりも体高がやや低いので、水平より多少下の方向へ攻撃を放つとそれで頭を撃ち抜ける。

突進牛の場合、頭の位置が隆一の頭とほぼ同じ高さにあるので頭を撃つのだったら水平よりも角度を上げなければならないのだが、角ごと頭蓋骨をぶつける習性がある突進牛は頭の強度がかなり高く、上手く目や口にでも攻撃が当たらない限り隆一では水槍ウォーターランスでも一撃で倒せない。

なので首の下あたりを狙うことにしたのだが・・・ついつい突進豚の様に頭に注意が行ってしまって中途半端に角度が高くなってしまい、痛みに怯ませることは出来ても一撃で倒せないことが多かったのだ。


だが、それをちゃんと意識して何度か角度を指定して水槍ウォーターランスを放つようにしたら、大分上手くいくようになった。


「大体これで成功率9割ぐらいになったよな?

明日は8階に行っても良いかな?」


まあ、8階は3階と同じで野菜階である。

色々な種類の芋があるとの話なのだが、あまり攻撃魔法は必要ないのだろう。

多分。

それとも中層ともなると野菜も一筋縄ではいかないのだろうか。


「そうだな。

久しぶりにスイートポテトを作って貰おう!」

デヴリンが嬉しそうに合意した。


『芋』としか聞いていなかった8階の魔植物だが、どうやらサツマイモの様な甘い系統の芋も採れるようだ。

7階で栗ケーキ、8階でスイートポテトとは、中々甘いモノ尽くしだ。

・・・アーシャが遊びに来ていたら甘いものが好きなのか、聞いてみよう。


隆一はそこまで甘いものは好きではないのだが、折角鍛錬ついでに美味しい物をゲットできるのだったらそれが好きな人間とシェアしたい。


まあ、アーシャが来ないとか、甘いものが苦手とか、ダイエット中だったら煌姫を誘っても良いが・・・どう考えても騎士団で日々ハードな訓練をしているアーシャの方が甘い物の摂取許容量は高いだろう。


「8階の芋は中々手ごわいからね。

良い鍛錬になると思うよ」

こちらもご機嫌そうなダルディールが教えてくれた。


奥方が栗ケーキ好きなら、スイートポテトも好きな可能性は高い。

ダルディールも明日の収穫に思いをはせているのかも知れない。


とは言え、栗ケーキほどスイートポテトはギルド職員に絶大な人気がある訳では無いらしく、昼食時に収穫した芋を提出して業務時間中にスイートポテトを作って貰いたかったら賄賂的に栗も必要らしい。


そんな裏技を教わっている間にデヴリンが突進牛の解体を終えて立ち上がった。


「そう言えばさあ、この新しい魔道具って取り外しても暴発したりしないよな?

ギルドが見張っている試作品のテストの時はまだしも、普通に貸し出しを始めたら、絶対に取っ手から引っぺがして手に持って荷台に乗って動かそうとする馬鹿が出ると思うぜ。

引っぺがせないなら取っ手その物をへし曲げるという手もあるし」


『飛行具』の一部を勝手に取り外したり壊したりするというのは怖い気がするが、『運搬具リヤカー』の取っ手を壊すのはすぐに修理できそうだし値段的にも抵抗を感じ無さそうだ。


肝心の魔道具の値段はがっつり高いのだが、確かに引っぺがした程度では壊れない。

「飛行具を作りたくないからジャッキもどきにしたのに、引っぺがしても動くってバレたら誰かに魔改造されるのは時間の問題か・・・」

元々、構造的にテープと範囲指定のマーカーの場所は動いても大丈夫な作りなのだ。

反重力魔法陣が刻んである魔道具本体だって取っ手に適当に取り付けて内蓋でカバーしているだけなので、外すのは簡単だ。


錬金術師でなくても簡単に出来てしまうし、そうなったら運搬具ではなくもっと空気抵抗の少ない飛行に向いた躯体に設置し直してしまうことも容易だろう。


「遊び心でやる探索者が絶対出てくるだろうし、それを見た貴族が応用できると考えて運搬具として入手した後にお抱えの錬金術師を使って改造させても不思議はないな」


探索者と貴族なんて本来ならば何の縁も無く、情報の共有も最低限しかない存在のはずなのだが、スパルタなヴァサール王国の方針のせいで迷宮の中を若い貴族がそこそこうろついているので、見るだけで分かるような情報はすぐに広まってしまうだろう。


「だぁぁぁ。

面倒くさい!!!

高さ制限と、滞空時間制限も組み込むか・・・」


取り敢えず。

反重力を使った魔道具の普及が始まって魔石の使用量が激増する前に、運搬の効率を上げて迷宮からの素材の販売を増やしたい。


明日は8階を回ってスイートポテトをゲットしつつ生息する魔物を鑑定して素材としての使い道を確認するが、その後は鍛錬を始める前にまた開発を挿入することにしよう。


スイートポテトって考えてみたら食べたことないかも・・・。

あれだけ有名なんですから、美味しいですよね?!

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― 新着の感想 ―
[一言] コンビニやスーパーのなんちゃってスイートポテトはいまいちですが 専門店などの手間暇かけて作られたものは 石焼き芋の風味と洋菓子の滑らかなコクが合わさって とても美味しいスイーツですよ。
[良い点] シーフの方を長く読んでいたのですが、こちらは読んでなかったので、試しにここ数日読んでいたら最新話まで読んじゃいましたー [気になる点] さつまいもの菓子=スイートポテトかぁ 芋餡とか、芋羊…
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