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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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146.安全装置のテスト再び(4)

「あ、ちょっと先に俺に2回程やらせてくれ」

昨日のうちにアーシャと隆一も先日衛兵に下調べしてもらった50メートルまで届き、その後は衛兵も交えて順番に1メートルずつ確認していたのだが、誰か一人が必ず飛行具に残ってそれの操作をしなければならないので順番に全員でやろうと思うと時間効率が悪く、今日は基本的に衛兵にまた1メートルずつ確認してもらうことになっていた。


が。

ちょっと思い立ったことがあって昨晩創った試作品を試すために、隆一が割り込みを言い出した。


「高さを変えないならいいですが、どうしたんですか?」

今日の飛び降り当番の衛兵が尋ねる。

絶対に高さを上げた最初のジャンプを隆一にさせるなとザファードから言い含められているらしい。


「今までずっと足から降りていたから、横向きに落ちたらどのくらい違うのかをまず試してみたいんだ」

そう言って50メートルの高さから衛兵がやっているのを見たような感じでころりと転がり落ち、体を水平に保つようにして落ちる。


やってみると、風の抵抗が大分違う。

落ちる速度も遅い気がするが・・・それでもあっという間に地面に着いたので、50メートルでは主観的な時間としては大して違いは無い様だ。


ぼふん。

地面にたどり着いたところで風がクッションになり、すんなり体を起こしてしゃがみ込んだ体勢で足から着地出来た。


「へぇぇ。

地面への接地面積によって風の強度も変わる感じなんだな。

合計出力が同じで、面積で割っている感じなのか。

だとしたらどの体勢で落ちても同じぐらいの高さで限界になるのかも?」

新しい発見に、思わず隆一は降りてきた衛兵を無視してテーブルに行って記録紙にメモを取り始めた。


「どうしたんですか?」

ザファードが声をかけてきた。


「あぁ、ちょっと試したいことがあるんだが、先に体勢が違うとどんな風に安全装置の起動が変わるのか、確認したくってね」

そう答えて、机の上に置いてあったジュラルミン合金の板を手に取って飛行具の方へ戻る。


「さっきと同じ高さに戻ってくれ」

上に戻る間に加工スキルを使って合金の板を防備の腹の部分に張り付ける。


昨日、ふと夕食時に『全身タイツに直接反重力の魔法陣を刻み込んだらどうだろう?』と思いついたのだ。


飛び回ろうと思ったら大量の魔石が必要になるし、空を一生懸命クロールするように手足を動かして空気の中をちんたら泳ぐのでない限り、推進用の魔道具も必要になる。

だが、落ちた場合に地面にぶつかる瞬間だけ本人の魔力を使って反重力を働かせるようにしたら、安全装置の役割を果たせるのではないだろうか?


まあ、よく考えてみたら反重力が働いて落下する力が消えたところで、既に生じた下へ向かう勢いは消えないのだから、ある程度以上の高さから落ちた場合はぺしゃんこになることに変わりはない。


だが、地上10メートルぐらいから反重力状態になっていて、空気抵抗が大きな体勢だったらそれである程度勢いを殺せるのではないだろうか?


50メートルからのテストではあまり違いはないかも知れないが、100メートルなり200メートルなりの安全装置をそのまま使えないような高さから落ちた場合に、安全装置の有効距離を伸ばせるのではないかと思ったのだ。


という事で、取り敢えず実感的にどのくらい違いがあるかの確認である。

「じゃあ、もう一度行ってくる。

もしかしたら落下速度がちょっと落ちたり変に斜めに動いたりするかも知れないから、俺が地面で立ち上がるまで降りてこないでくれ」


最後の10メートルで反重力を効かせた際に空気抵抗で変な方向に移動して、後から降りてきた飛行具に轢かれたりしたら目も当てられない。


まあ、ドローンと違って下部にファンがあるわけではないのでちょっと接触する程度なら大した影響は無いはずだが、うっかり慌てて上にそのまま着地されたりしたら重い。


新しい試作品は地上から10メートルに落ちた時点で隆一の魔力を直接使ってジュラルミン合金の方の反重力の魔法陣が自動的に起動する設計になっている。

本当に使う事になったら誤作動を防ぐために勢いとか動きの方向とかの条件付けが必要だが、今回は手抜きして単に地上10メートルに達した時点で起動するようにしてある。


これで上手くいくのだったらジュラルミン合金で出来た鎖帷子でも作ってそれに魔法陣を付与しても良いかも知れない。

非常用で10メートル落下分だけなので、着ている本人の魔力を直接使う形にすれば魔石を予備で持っておく必要は無いし、変な感じにその魔石が体に食い込んだりすることもない。


この程度だったら魔力枯渇を起こすこともないだろう。

まあ、幼い子供への利用は禁止した方が良いだろうが、幼い子供なんぞが飛行具に乗るべきでは無いので最初からそちらを禁止しておけばいい。


ジュラルミン合金の板がちゃんと防具の腹の部分に張り付いていることを引っ張って確認してから、隆一は飛び降りた。


今回も空気抵抗を高めるために水平になって手足を伸ばす。

地上10メートルのところでガクンと勢いが落ちたのが実感できた。

空気抵抗が中々凄い。


そして地面に着いたところで安全装置からの風で先ほどよりも高く飛ばされ、さっきはしゃがんだ感じに足で着地したのが、今回はぼわんと跳ねるような感じで立って着地出来た。


ただし、思っていたよりも魔力の消費が大きい。

枯渇する程ではないが、はっきりと魔力の消費が感じられる。


もう少し改善が必要かも知れないが・・・安全装置の有効距離を伸ばせそうだ。

ただし、本人に意識が無かったら効果が半減しそうだが。



意識がないとどう言う体勢で落ちるんでしょうかねぇ。

やっぱり頭から?

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