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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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10.測定機器が無いと確認できない

迷宮に潜ることを決めたからには、それがどのように自分の基礎能力に影響を与えるのか調べたいと隆一は測定装置を作ることにした。


元の世界では無かったものの、魔力の測定は比較的簡単だった。

こちらに来てから半年の間に魔法もいくつか習ったので、最初は基礎的な魔法を何回発動できるかを数えようかとも思ったのだが、火矢ファイヤアローにせよ水矢ウォーターアローにせよ風矢ウィンドアローにせよ、今は朝1で5発程度しか連発できないのでこれで数えても良いのだが、迷宮を潜っている間に魔力が上がって魔法を発動できる回数が2ケタ台に上がってきたら周りに迷惑だろうし、こちらとしても時間がかかって面倒くさい。

しかも慣れてきたら一回ごとに必要な魔力の量が変わる可能性もある。


魔力が入ることで魔石の色が灰色から青色に変わるので、大きな空の魔石に順次小さな魔石から一個ずつ魔力を移して充填していき、その色を絵具で記録してそれを参照することにしようともしてみたのだが・・・これは微妙な色の違いが分かりにくい上、直ぐに乾く水彩の絵具だと時間の経過とともに色が変わってしまうので微妙だった。

かといって油絵に使うような絵具だと絵具が完全に乾いて色が定着するのに時間がかかることが判明。


この世界の油絵は1か月後ぐらいからは色があまり変わらないと言われたのだが、定着した1か月後の色が目的の魔石の色になるまで試行錯誤をしているのではどれほど時間がかかるのか分かったものではない。


結局、小さな魔石を50個ほど繋いで、充填しようとすると順次下から魔力がいきわたるような簡単な枠組みを作った。

1列10個なのでどれだけ魔石が入ったかは分かりやすい。

取り敢えずこれに毎朝魔力を充填し、翌日までにそれを神殿の風呂を沸かすのにでも使ってもらって空にすることにした。


HPせいめいりょくに関してはもっと難しかった。

生命力をどうやって測るか?

攻撃されても怪我を負いにくくなり、回復も早くなると聞いたがそれを数値化するのは難しい。

自分の体を毎朝切りつけて回復に掛かる魔力を調べる訳にもいかないし。


ということで、色々考えたが最終的に生命力に関しては諦めた。

代わりに握力計モドキを作って、それを毎日測ることにした。

日本にあった握力計は指の握る力を測っているようだったが、今回は単に重りを入手して右腕と左腕でバーベルを持ち上げるような感じに重しをぶら下げた縄を握って肘を90度まで曲げられる重さを記録するだけにした。握力計というよりは・・・腕力計?

どちらにせよ、迷宮にもぐる事で筋力がアップしたら数値として計測できるはず。


なんだかんだでこういった道具を造るのに1か月近くかかった。

ついでに迷宮で探索するのに便利そうなグッズも幾つか開発してみたが、こちらは手軽に時間を掛けずに適当に作成しただけなので使いながら改善していく予定だ。


神殿の方では何やら元凄腕の探索者で、パーティを解散した後に騎士団に入った前衛の男性と、そのパーティに元々いて今は探索者ギルドで働いているという盾役の男性を紹介してくれるとのこと。


ということで、今日は探索者ギルドに来ていた。


「リュウイチ殿。

こちらが銀ランク探索者で第2騎士団の副団長でもあるデヴリン氏です。

そしてこちらは探索者ギルドの職員でもあり銀ランク探索者であるダルディール氏。

お二方、こちらが先日神によって招かれたリュウイチ殿です」


回復師としてバイトする際に使っているカウンターの横の部屋に呼ばれて、協力してくれる二人に紹介された。


デヴリン氏は細マッチョな感じの金髪青眼の『貴族らしい』イメージに合った男だった。

ダルディール氏はもっとがっつりマッチョな感じがする。焦げ茶の髪に薄茶色の瞳でもうちょっと庶民的な印象だ。

とは言え、どちらも流石に銀ランクなだけあって、粗野な雰囲気ではなかったが。


「デヴリンと呼んでくれ。

招かれ人の規定に従って、50日間ほど無料で協力することになっている第二騎士団のデヴリン・アシュレンだ。

規程の日数が過ぎた後でも迷宮に潜り続けたいのだったら協力は可能だと思うから、気軽に相談してくれ。

斥候と回復師は要らないと聞いているが・・・大丈夫なのか?」

握手に手を差し出しながら細マッチョなデヴリンが聞いてきた。


「隆一だ、よろしく。

迷宮というものは元の世界に存在しなかったから、色々と興味があってね。つまらない細かな事でも確認したがると思うから最初は罠も無い上層部をぐるぐる回ってデータ収集に努めるつもりなんだ。上層だったら斥候は要らないと聞いているから大丈夫だろう。

というか、子供でもグループになれば大丈夫なレベルだと聞いているから、暫くは副団長レベルの支援もいらないような気がするが・・・良いのか?」

招かれ人の護衛という意味もあるのだろうから若い見習い騎士とか平の兵士とかは使いにくいかもしれないが、副団長なんてハイランクな人間は費用対効果的に無駄な気がする。


デヴリンが笑って肩を竦めた。

「元々、副団長といっても大規模な魔物攻勢があった時や、探索者が対応してくれないような危険な魔物が人口密度の高い地域に出てきた際に騎士団を率いるための肩書さ。

探索者あがりだから、普段は大した仕事はしていないんで気にしないでくれ」


そう言えば、第2騎士団は魔物の討伐を主に行う騎士団だと教わった。

イマイチこの第2騎士団と探索者の役割分担が分からないが・・・金にならなくって探索者が対応してくれないような魔物を騎士団が討伐するのだろうか?


考えてみたら、探索者は国からの保護が無い代わりに自由に国家の間を移動できる存在だ。だからやばそうな雰囲気になってきたら他国へ逃げる可能性は十分ある。

そうなったら王都や主要都市が魔物に蹂躙される可能性もあるのだから、国としても対応能力を手放すわけにはいかないのだろう。


ダルディールも隆一に重々しく挨拶に頷いた。

「ダルディールだ。ギルドの職員をやっているのでいつでも声をかけてくれ」


「了解。

明日から1日おきに王都迷宮に潜り、週末は休みということで行きたいと思っている。

基本的に当初は好奇心を満たすのとちょっとした体力アップの為に迷宮探索をするだけなので、騎士団なりギルドなりの演習や仕事で都合が悪かったら日をずらすなりスキップするなり融通は利くから何かある際には遠慮せずに言ってくれ」


というか、隆一としては副団長と銀ランクのギルド職員なんてちょっと大物過ぎて気が引けるから、信頼さえできる人員がいればもっと下っ端でもいいところなのだが・・・。



『招かれ人はこの世界の権力構造の外に存在する』と言われているので、隆一は基本的に丁寧語は誰に対しても使わないことにしています。

誰に対しても対等というスタンスなつもり。

まあ、召喚された時の神様の介入で、勝手に理解が出来る日本語に言語が訳されていますが、現地語は丁寧語とか謙譲語とかの違いがあまりない英語みたいな言語なのでそれなりに礼節をもって対応すれば問題はありません。

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