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神様に借りた農場  作者: 秋野 木星
第一章 四月
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和食、最高

帰り道は、バリアをかけておいたおかげで濡れずにすんだ。


階段状の滝を飛び越えるために、船が助走をつけて突っ走った時にはヒヤリとした珠美だったが、鯉の滝登りのごとく悠々と流れに逆らって進むエルフの船には、絶大の信頼を寄せるようになっていた。

支流から大川であるポレーヌ川に入ると、あっという間に家の岸辺へと着いた気がする。



家に帰ると、早速、伐ってきた木で子どものおもちゃを作ることにした。

明日はまた町へ行く予定なので、バーバラに頼まれたものを早めに作っておいた方がいいだろう。


まずは『木材乾燥』魔法で、お腹の『収納倉庫』から取り出した一本の木を乾燥させていく。


「大きいニャア、これは何の木ニャ?」


珠美が家の裏庭で何やら始めたので、ミーニャがぶらぶらと様子を見にやって来た。


「さぁ? 『鑑定・植物』を使ってみようか。【ミレバ ピタリト アテマショウ】」


(ヒノキ)

ヒノキ科 常緑針葉樹


スギに比べて成長速度が1.5倍ほど遅いので、材価が高くなる。

木目が細かく、上品な色味をしており、耐久性に優れ水に強い。

暴れが少なく加工しやすい。仕上がりが綺麗で光沢が出る。

樹皮は檜皮葺(ひわだぶき)の名で、建物の屋根材としても使われる。


「……ヒノキだニャ。どうりでいい匂いがすると思った」


「そうね、木肌も真っ白で綺麗だわ~」


珠美が樹皮を()いでみると、なめらかで美しい木肌が現れた。

これなら子どものおもちゃに最適ね。


ちょっと贅沢だが、小さな手にトゲが刺さっても困るので、このままヒノキで作っていくことにする。


ヒノキを製材して、剥いだ皮は何かに使えるかもしれないから『収納倉庫』にしまっておく。製材した板を農作業小屋に持って行って、いよいよ製品づくりのスタートだ。


珠美が『木工』魔法を発動しながら作ったおもちゃは、積み木、パズル、鳩笛、木馬、小人の家、それにおままごとセットだ。

何個か作っているうちに面白くなって、パズルのデザインを狐の親子にしたりウサギのダンスにしたりと工夫していたら、動物つながりでフクロウとネコの眼鏡スタンドや、キリンやゾウのブックスタンドも作ってしまった。

ついでに昔懐かしいけん玉、振ったらカチカチと音が鳴るこけしや、コマも作ってみたけれど、これって日本人じゃなくても遊べるのかしら?


興が乗ってきた珠美は、幼稚園にあるような子ども用の机や椅子、服かけや本箱なども、次々に作っていった。

でもこういうのって、雑貨屋で扱うには大きすぎるかもしれない。

日本の雑貨屋さんでは、家具を置いてあるところは少なかったと思う。

ま、バーバラの判断次第ね。



頼まれたものができて一息ついた珠美は、手を洗って夕食を作ることにした。


「やっとご飯にするニャ?」


待ちくたびれたミーニャが、井戸の側にいる珠美の所へやって来た。


「お待たせ。今夜はサーモンの刺身よ! ミーニャのぶんもあるからね」


「そんなに毎回、食べさせてくれなくてもいいニャ。私も林で食べてきたし」


「あら、いらないの? とろけるように美味しいわよ」


「……そんなに言うなら、少し食べてあげるニャ」


ミーニャったら、素直じゃないんだから。


珠美は間引きしたカイワレ大根を見た時に、大好きなにぎり寿司のことを思い出してしまった。

サーモンのにぎりの上に、玉ねぎの薄切りとカイワレ大根が乗ってるのよね~

炙りサーモンの上にはおろし大根が一つまみ置いてある。

ふふふ、考えてたら唾が湧いてきたわ。


新鮮なワサビもあるし、今日は豪華にお寿司にしましょう!


ボールに砂糖をたっぷりと入れ、そこに塩をほんの少し加えた珠美は、その上から砂糖がしっとりと溶けるまで酢を注いだ。

これで簡単にすし酢ができる。

後は、ほかほかのご飯を入れて、しゃもじでさっくりと混ぜるだけだ。

そういえば、すし飯を作るゆりわが欲しいな。必要なものが、まだまだたくさんあるなぁ。


『ウィンド』で適度に風を送ると、うちわがなくてもすし飯がぱらっと仕上がった。


サーモンの刺身用のさくは、包丁を斜めに入れて削ぎ切りにする。

玉ねぎは薄くスライスして水でさらして、乾かしておき、大根おろしはザルにあげて水気を切っておく。

ワサビもすりおろしているので、スタンバイオッケーだ。


片手ですし飯を軽く握り、ワサビをちょいと乗せるとサーモンの切り身も置いて、もう片方の手で形を整えながらなじませる。


「へい、いっちょうあがり!」


にぎりの上に玉ねぎとカイワレを乗せると、懐かしいサーモンのにぎりの完成だ。


もう一つの炙りサーモンは、にぎりの表面を『ファイヤー』で軽くあぶり、大根おろしを一つまみ乗せると、それにお醤油をタラッとかける。

うーん、最高!


「この刺身、甘ぁい。もう少しもらえるかニャ?」


「僕もおかわり!」


ミーニャとペロルには刺身だけをあげていたが、どうやら満足してくれたようだ。


珠美はこの後、サーモンにマヨネーズをちょいとつけて食べたのだが、それも美味しかった。

今度はマグロを買ってきて、ネギトロにしたいなぁ。

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