表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様に借りた農場  作者: 秋野 木星
第一章 四月
10/77

大量 魔法習得

翌朝、珠美が一番最初にしたのは洗濯だ。


二日間ずっと着ていた水色のワンピースと下着を小川で洗うと、差し掛け屋根の柱と林の木を結んで渡した紐に通して干した。

竹竿(たけざお)があればいいのにな。

昔の物干しざおは、ぜんぶ竹でできていた。「たぁけぇ~、竿竹(さおだけ)~!」と叫びながら、オート三輪の自動車で、よく物売りがやって来ていたものだ。


そばにやって来たペロルに竹林のことを聞いてみると、すぐ近くにあるという。


「もしかしたら、タケノコが出てるんじゃない?」


「竹の芽のことだったら、もう出てるよ」


おおー、タケノコは大好物だ!

それも採りに行きたいな。


今日の朝ご飯は、ミヨンばあさんにもらったキムチに、玉ねぎとチャイブを刻んで入れたオムレツ、それに冷や飯のブブづけ(お湯づけ)だ。昨日作った大根の漬物を食べてみたら、少し味がなじんでいた。明日あたりが食べごろかな?

食後にお茶が欲しいので、お茶の木を探したい。


オムレツに入れたチャイブは、家の前の草原に生えていた。

バジルやラベンダーなどのハーブ類もあるようだったので、畑にするために耕す前に庭の片隅にでも移植しておいて、ハーブ畑を作っておきたいと思っている。


朝食の後片づけをして、珠美が家に入ると、ミーニャが声をかけてきた。


「珠美、畑を耕すんニャら、魔法を使ったほうが早いんじゃない?」


あ、そうか。魔法が使えたのね、盲点だったわ。


「それはいい考えだけど、耕作する魔法なんてあるの?」


「土魔法の章に書いてあるんじゃニャいかしら」


なるほど、そう言えば『着火』の魔法が書いてあった生活魔法の隣が土魔法だったかも?


魔術書を出して、目次を調べてみたら「生活魔法・火魔法・水魔法・風魔法・土魔法・光魔法・闇魔法・その他スキルに基づいた魔法」となっていた。

ぜんぜん隣じゃなかった……


土魔法の章を見ていくと『激震』という魔法があった。

これは地面を揺らして広範囲をボコボコと隆起させるものらしい。

……ちょっと違う。

土壁や建物を作るのも、敵を土牢に閉じ込めるのも違うよね。

ピッタリくるものがなかったので、その他スキルに基づいた魔法の章を見てみると、農業スキルのところに珠美が欲しい魔法がたくさん載っていた。


『耕作・畑』これよね!


「呪文は……お、これか。【タケハタケ ウネヲツクレバ ハケヨイト】」


珠美が呪文を唱えると、足元がホンワカとあたたかくなった。

ん? でもそれだけだ。


「なんか『言語』魔法を習得した時と違って、魔力が削られた気がしないんだけど?」


「そうニャ? 珠美が成長してるってこともあるのかもしれニャいけど、もしかしたらギフトを持ってる人は、体力や魔力の戻りが早いのかも。ちょっと、もう一度ステイタスを見せてくれる?」


「うん、ステイタスオープン!」



目の前にずらずらと文字が出てくるのは、何度見ても面白い現象だ。


名前  (日色(ひいろ)) 珠美(たまみ)

年齢  15歳

種族  異世界人、ヘブン人

ギフト 製作(日常生活に必要なスキル、農業従事者に必要なスキル、手作りができるスキル)

生活魔法  言語1、着火、野草料理

農業魔法  耕作・畑

    

レベル 5


体力 Fランク 5点(Eランクまで後5点)

魔力 Fランク 6点(Eランクまで後4点)



なんかだいぶ変わってる感じがする。

ミーニャも目を見開いて珠美のスキルを見ている。


「わぁ、やっぱりギフト持ちの上がり(よう)はすごいニャ。もうレベル5だよ! それに『野草料理』なんて習得してないのに魔法レベルになってるし。笑えるニャあ」


猫に笑われちゃったよ。


「野草料理は生きることに直結してるからね、こうなるのも仕方がないよ。それよりミーニャ、Eランクまで後5点って出てるけど、ランクは10点ごとに上がっていくの?」


「ううん、FからEランクまでは10点だけど、EからDランクまでは20点ニャ。上にいくにしたがってランクは上がりにくくなっていて、一番上が今のところはSランクだけど、SSやSSS、その上の神域までいく人もたま~にいるみたいニャ」


ふぇぇ、そういう仕組みになってるのね。

でも「ヘブン人」という記述が増えてるのは嬉しいな。ヘイじいさんに言ってもらったみたいに、新人類でもみんな同じヘブンに暮らす人だもんね。



あまり魔力を使わないで耕作魔法を増やすことができたので、珠美はさっき見ていた土魔法の章から『掘削(くっさく)』の魔法を習得しておくことにした。

これはタケノコを掘る時にも使えそうだ。


「えっと、リズムが良さそうな呪文ね。【ディグディグ ディグダ ダグディディグ】」


珠美が魔術書の呪文を唱えると、両腕がブルブルッと震えた。


これはちょっと魔力を削られた感じがしたけど、最初に二つの魔法を覚えた時より、まだまだ余裕があった。

調子に乗った珠美は、この後、生活魔法の章で三つも魔法を習得してしまった。


『収納・買い物かご』・・・【モッテ アルイテ ランララン】

『光・ライト』・・・【アカルイ ミエル ライトイト】

『精米』・・・【スッテ コスッテ オイシクナアレ】


ふふふ、便利そう。

ただ、呪文を全部は覚えきれなかったので、わら半紙に書いておいて、ポケットに入れて持ち歩くことにした。


朝一番で魔法を習得していたおかげで、その日の珠美は絶好調だった。

これからは、魔法習得を朝の習慣にしようと思ったのも無理はない。


そして夜には、大切な作業が待っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ