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春の軌跡はあなたとともに  作者: 真城 玲
第一章 再会
1/23

0.プロローグ

大幅改稿に伴い、前回の方を非表示にさせていただきました。

前回よりもパワーアップした『春の軌跡はあなたとともに』ぜひ最後までお楽しみ下さい。

感想、評価、誤字報告等、待ってますのでどうぞよろしくお願いします。

もっと面白くなるよう、アドバイスもしてください!!!

 目を覚ますと、そこは真っ白な世界だった。

 そこにあるのはただ真っ直ぐに、何もない地平線。360度見渡してもそこに形あるものはないもない。僕一人が世界から隔絶されているようだ。

 訳もわからないまま、しばらく歩いた。

 方向感覚もなく、自分が今どれくらい進んでいるかわからないけれど、とにかく進んだ。

 すると、不意に僕の目の前にたくさんの光の粒が現れた。

 バラバラだった光の粒は一点に集まった。そして、その輝きは時間が経つごとに増していった。

 やがてそれは一本の大きな桜を形どり、時期に色づいた。

 艶やかなピンクの花弁、見上げるだけで首が痛くなるような巨大さ、その桜は、近づくだけで身震いがするほど力強い生命力を僕に感じさせた。

 度重なる不思議な出来事に僕の頭は混乱していた。

 そんな中、クスクスと笑う声が桜の根の方から聞こえた。

 声のした方を顔を向けると女の子が一人、木の下に立っていた。背丈からすると、小学校の高学年くらいだろうか。


「ねえ、蓮くん。今日は何する?」


 名前を呼ばれ、ハッとした。

 ニッと笑った時にできるそのえくぼ、背丈の割に幼い顔つき、僕はこの女の子のことを知っている。

 確か名前は…春風桜華。


「桜華さんは、何がしたいの?」


 記憶の曖昧さとは裏腹に、ごく自然に、流れるように言葉が出てきた。

 彼女との思い出が頭の中を走り抜けていく。太陽のような笑顔、引っ張ってきた暖かい手、思い出が鮮明になっていくにつれ、何故かすーっと涙が頬を伝っていく。

 そうだ、僕はずっと彼女に聞きたかったことがあったんだ。


「あの日、なんで桜華さんはいなくなったの?」


 彼女は口に開かなかった。ただ無表情に僕を見つめるだけ。

 それどころか記憶がはっきりと戻ってくるにつれて、桜も、彼女も遠く薄くなっていく。まるで存在が薄れていくように。


「まって、まってよ!」


 僕は急いで彼女の手を取る。でも、その手は空を切る。気づくと彼女は消えていた。

 また、さよならも言わずに。

 続いて、僕の意識も遠くなっていった。


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