初めての魔法
ランツァーノ辺境伯騎士団訓練所
普段は多くの屈強な騎士たちが訓練しているこの場所には今日は3人の男しかいなかった。いや、そのうち1人は男と呼べるような外見では無いので正しくは、2人の男と1人の男の子である。
2人の男はランツァーノ辺境伯家当主ラナクと騎士団長タダラである。そして2人の見つめる先にある男の子は
「やっとだ。やっと魔法が打てる!」
先日洗礼を受けたばかりの3歳児カルドである。
カルドは洗礼を受けたらすぐに魔法の練習ができると思っていたが既に洗礼から1週間が経とうとしていた。その1週間カルドが何をしていたからというと。
(なんで自分の家で取り調べみたいなのを受けないといけないんだよ)
「ステータスが愉快なことになっていたからでしょうね。」
そう、全神の加護に、3歳児とは思えないような能力値。そして未確認の魔法というステータスのせいで家族からは質問責めに、そして諸々の手続きや、情報管理に辺境伯家が追われていたことによってカルドは自室に半ば監禁状態であった。しかもその間もヘルから魔法の扱い方などを聞いていたせいで生殺し状態であった。
1週間経ちやっと落ち着いたところで、未確認の魔法の検証を兼ねて、ラナクとタダラ立ち会いのもと魔法を使う許可が出たのだ。
(最初はやっぱり火属性魔法からかな?ねぇヘルどう思う?)
「ご主人様の好きなものでよろしいかと。むしろその魔法は属性に縛られることはありませんよ。何しろ発した言葉の内容が出てくるので。ちゃんと言った通りのことをすれば魔力が足りればどんな魔法でも打てますから。」
(そうだね。好きなものからやってみようかな)
カルドがやる気を見せたと同時にラナクから声がかかる。
「魔法は扱えそうなのか?何しろ新しい魔法だからな、使い方や注意点は理解できてるかで今後どうなるか変わってくる。最悪はっきりできるまで封印ということもあり得るからな」
「使い方などはちゃんとわかってますよ。いつでも打てますよ」
「そうか、ならやってみてくれ」
「はい!」
(さて、初魔法は何にしようかな・・・よし決めた!
ヘル、この魔法はちゃんとどんな事象を起こしたいかを口にしながら魔力を使えばいいんだったよね?)
「はいその通りです。できればその時にイメージを浮かべながら魔力を使うともっとやりやすく、なおかつ起こしたい事象をそのまま再現できるはずです。」
(よしわかった!)
一息深呼吸をする
「・・・燃え盛る紅い炎よ」
言葉を紡ぐと同時に魔力を循環させる。すると体から魔力が抜けていく感覚があり、頭の上に直径10メートル程の炎の渦ができる。
「鳥の形を成して天高く羽ばたけフェニックス!!」
詠唱を終えた瞬間渦の中から炎の鳥が出てくる。
それは赤や金の燃え盛る炎で作られている
それは鷲のような姿をしている
それは5人の大男を縦に積み重ねた程の大きさを誇る
それは何度でも蘇るとされている
燃え盛る不死鳥。そんな絵本にしか出てこないようなものが今カルドの頭上にいる。
「こ、これは、いったい・・・」
タダラが声をひねり出す。
ラナクは口を開けて呆然と空を見上げる。
「大地よ砂よ岩石よ」
突如地震が起こり地面が割れ始める
「全てが集いて神を支える礎となれバハムート!!」
割れた地面から地面が浮かび上がってくる。いや、岩石の塊が浮かび上がる。その大きさはゆうに20メートルを超えフェニックスと同じ高さまで浮かぶ
それは大地から生まれた
それは20メートルを超える体長でもまだ足りないと今でも土をゆっくりと吸収していく
それは鯨のような形をしている
それはかつて神を支える土台となっていた
炎の鳥と並び立つ土の鯨にもう大人2人は開いた口が塞がらない。
突如二匹が鳴き出す
不死鳥は甲高い声で、鯨は大地を震わすような声を
それと同時に二匹はフッと姿を消した。
残されたのは固まっている男2人と、満面の笑みを浮かべた男の子。そしてえぐれた地面だけだった。
初めまして、こんにちは躑躅です。
まだまだ未熟な点はあると思いますが、誤字脱字の指摘、話の感想などお待ちしています。
大変申し訳ありませんが、作者は大学受験のため作品を休載させていただきます。
半年後、進路が決まったらご報告と共に更新を再開したいと思っています。
できればもっと早く決断できればよかったのですが、なかなか踏ん切りがつかなく、またサイト自体からも離れていたのでご報告が遅くなり申し訳ありません。
戻ってきたときには暖かく迎え入れていただけると幸いです。




