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前世での忌まわしが今世での武器  作者: 躑躅
少年時代
11/12

水面下で

パスンチア王国王宮内の廊下を1人の男が息を切らせて走る。彼はシズン=フォン・ディア。シズン侯爵家の当主でありその仕事は王国内の教会の管理だ。いつもは王都の教会で責任者の大司祭と共に仕事をしている。


そもそも教会の司祭たちはは聖ガルガンディア国が周辺諸国に責任者である大司祭と、地方の教会の管理のための司祭を派遣しているのである。

洗礼時にステータス魔法を授けるには神聖なる場所で修行を積む必要があると言われており、その場所こそ聖ガルガンディア国の聖都の中心、カーラ神殿である。よって、周辺諸国は聖ガルガンディア国に司祭を派遣してもらうために多額の献金を渡す。その膨大な金で各国の教会を運営する。

また、聖女と呼ばれる優れた回復魔法を使え、神託を受け取ることのできる者がいて、全ての加護を持つ教皇と並ぶ聖ガルガンディア国のシンボルとなっている。

しかし、聖ガルガンディア国はタダでいい思いをしているわけではない。司祭以上のものは悪事を働くと神からの天罰が下る。神が悪事を許してくれるのは2回まで。1回目は1日中タンスに小指をぶつけたぐらいの痛みが続く。2回目は5日間。そして3回目は天から雷が降ってきて黒焦げになって死ぬ。実際に過去に何人か2回目まで行った教皇もいるらしい。

ただ、聖職者になるには身分は関係ない。運が良く、悪事さえ働かなければ貴族並みの生活をすることができる。なぜなら、聖ガルガンディア国を怒らせたくない国々は、派遣された司祭に、時には貴族とあまり変わらない扱いをするからである。そのため、責任者である大司祭にはとても気を使う。失礼な者を教会管理の補助につけて悪印象を持たれたくないからだ。なので各国は補助に一定以上の権力をもち、なおかつ礼儀正しい者をつける。そして領地を持たない代わりにこのパスンチア王国では「ディア」の名を与え、仕事をさせる。よってシズン侯爵は国から礼儀をわきまえる善き人と判断されたとわかる。


そんな彼は普段なら王宮の廊下を走るなどということは絶対にしない。途中、すれ違うメイドたちから眉をひそめられるが今の彼はそんなことを気にしている暇はなかった。53歳とそこそこ歳をとっている彼は教会からずっと走り続けているのか息も絶え絶えだ。

やがて1つの扉の前に着く。通ってきた廊下の中では1番豪華な扉だ。それもそのはず、ここは執務室で中には王がいるのだから。だからこの扉は王宮で3番目に豪華なつくりとなっている。ちなみに1番豪華な扉は謁見の間の扉で、2番目はパーティーホールの扉である。


シズン侯爵は軽く息を整え扉をノックする。

「コンコンッ

国王様。シズンでございます。至急伝えるべき情報がございます。」


「シズンか?入れ」

扉の奥から威厳のある声が聞こえてくる。

扉をあけて入ると室内は貴族らしい派手さはないものの、1つ1つのが高級品だとわかるような家具が室内に置かれている。そして執務机では茶髪を後ろに流すようにした髪型で、決して太くはないが首筋や腕を見ると筋肉質な、いわゆる細マッチョの男が書類を読んでいる。この男がパスンチア王国国王パーシバル=フォン・パスンチア、37歳である。

「少し待ってくれ、この書類だけ片付ける」

そう言って国王は再び書類に意識を向ける。


2分ほど経っただろうか。書類を読み終えて、判を押し書類を机の端に寄せる。


「して、急用とは?」


「はい、昨日のお昼頃、ランツァーノ辺境伯領での洗礼の儀の時なのですが、ランツァーノ辺境伯家3男が未確認の魔法を授かったと」


「未確認の魔法だと!?」


「はい、ランツァーノ辺境伯領のナナセ司祭と、ランツァーノ辺境伯当主のラナク殿からの報告によると、"言霊魔法"という魔法らしく、魔力を込めて発した言葉の事象が起こるというらしいのです」


「なんだと!そんな魔法が!!」


「それだけではありません。なんと全神の加護を授かったと」


「はぁ!?!?!全神の加護だと?それは教皇殿しか授からないはずでは?」


「理論上では一般人も授かる可能性があるとか。神は全ての人を見ているというのが聖ガルガンディア国の国教、カーラ教の教えですから。」


「それにしても全神の加護とは........

よし、ランツァーノ辺境伯領への視察を入れる。私がこの目でその3男を見極めようではないか」


「いきなり視察ですか?仕事は大丈夫なんですか?」


「心配いらない。あらかた片付けていくからいくのは早くて3ヶ月後ぐらいだ。それに息子も時期王となるため政務の勉強も始めているからな」


「そうですか。ただ直接視察に行くかどうかは聖ガルガンディア国の様子を見てからでも遅くはないと思います。」


「やはり、全神の加護はほっとけないか」


「はい、おそらくなんらかの手段でその3男を連れて行こうとするでしょう。今の教皇様が穏健派で強制的な手段を取るとは思えないというのが救いでしょうか」


「よし、それなら聖ガルガンディア国の様子を見て視察は半年後とする。正式な日程が決まり次第そちらの教会にも連絡を入れる」


「はい、わかりました」


こうして、国王が直接カルドの元へとやってくる。しかし、ステータスの披露という一仕事を終え、魔法というものに頭を引っ張られているカルドはまだそのことを知らない。


初めまして、こんにちは躑躅です。

期間が空いて久しぶりの投稿となりました。申し訳ないです。

次回から自重を無くしていきます。テンプレ好きな私が思う1番のルートを辿っていきたいと思っています。書きたいことが多すぎてうまく文章にして行くのは難しいですがこれからも頑張りたいです。


まだまだ未熟な点はあると思いますが、誤字脱字の指摘、話の感想などお待ちしています。

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