5話
回想回になります。
今回も遅れてしまって申し訳ないです。
それでは始まります。
あれは忘れもしない。
中学二年生だった。
いつものように朝食、いつものように支度、いつものように登校。
全てがいつも通り。
思えばこの気はまだ2次元ということに興味はなかった。
すぐのめり込むことになるが。
話を戻すがいつもと違うことがひとつ。
「母さん、いってきます。」
「はいよ。
いってらっしゃい。」
母さんには本当に感謝している。
いつも俺を大事にしてくれて、ここまで育ててくれた。
親父のことも。
喧嘩もしたが今では仲良く飲むようになった。
誕生日がきたときには親父は泣きながら俺と飲んだもんだ。
ここまで大事に思っていてくれたなんか知らなかったがな。
本当に家族のありがたみを知ってるよ。
話を戻すが普通でないことがひとつ。
「さて、学校だ。」
「はよー、俊典」
「おう、おはよう剣介。
相変わらず粗雑な挨拶だ。」
「流石イケメン委員長は違いますねぇ...」
「皮肉はいいから。
それでも今日は少し早いんじゃないか?」
「神野さんが日直だからな。
早く来たんだ。」
そう。
神野美咲さん。
俺の初恋の人。
出会いはおふくろに帰りに買い物を頼まれた時だった。
レジで会計をしている時に財布を探していた。
「あれっ、あれっ、お財布がない...。」
「あの、これ使うか?」
「えっと、三澤くんだよね?
同じクラスの」
「よく覚えてたな。
俺みたいに地味なやつを。」
「クラスの人は全員覚えてるよ!」
「すごいな。
俺は数人しか覚えてないのに。
と言っても話すのは俊典ぐらいのもんだが」
「あのー、すいません。
お会計は...?」
「「すいません。」」
「じゃあお言葉に甘えさせてもらって。」
「ありがとうございましたー。」
「今日は母さんに買い物頼まれたからな。
持っててよかったよ。
返すのは明日でいいから。
んじゃ俺も買うものがあるから。
じゃあな。」
「お会計1296円になります。」
(危なかったな。
残りは1600円か。)
「お釣り314円になります。
ありがとうございましたー。」
「はぁ、疲れた。
帰るか。」
「三澤くん。」
「神野さんか、わざわざ待っててくれたのか?
帰ってくれて良かったのに。」
「実は探したらお財布を見つけまして...」
「そうか。」
「面目ありません。
あとこれ、さっきはありがとう。」
「おう。
それじゃ。
また明日学校で...と言っても俺と話すことは無いだろうが。」
「待って。
剣介くんって呼んでいい?」
「あぁ、別にいいが。」
「うん!
じゃあまた明日!」
(やっべぇ...めっちゃドキドキした。
女子に自分から話しかけるなんて何年ぶりだ?
てか名前覚えてくれてたのか。
てか、剣介くんて...)
これが俺が神野を好きになった経緯だ
「お前も変わらねぇな。」
「そうだよ。
俺は一途なんだよ。」
「そうか。
お、もう授業始まるぞ。」
「そうか、んじゃまた。」
「おう。」
そうして学校も終わり帰り支度をしている時。
「おい三澤。
ちょっといいか?」
「なんですか先生?」
「ちょっと手伝ってほしいことがあるんだが。」
(うわぁ...めんどくせぇ...)
「すいません。
今日友だちを待たせてるんで。」
「嘘つけ。
お前が待たせるようなやつなんていないだろ。
いや、これは失礼か。
すまんな。
てことで手伝ってくれ。」
「はぁ...分かりましたよ。」
「すぐ終わるから荷物持ってきてていいぞ。」
「了解です。」
「これを運んでくれ。」
「え...?
さっきすぐ終わるって言ってましたよね?」
「あぁ、終わるぞ。
頑張ればな。」
「はぁ...」
「ため息ばっかついてないで。
ほら、やるぞ。」
「はい...。」
40分後...
「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”づがれだ」
「おう、お疲れ。」
「ほら。
飲めよ。」
「いいんですか?」
「あぁ、我ながら結構厳しい事頼んだと思うしな。」
「自覚あったんですね。」
「学校楽しいか?」
「教師の前でこんな事言うのもあれですけど楽しいとは言えないですね。」
「へぇ、お前にしちゃ随分正直じゃないか。」
「僕をなんだと思ってるんですか?」
「好きな子は?」
「ゲホッ、何いってんすか?」
「いるんだな?
誰だ?」
「プライバシーを侵害しないでください。」
「それは自分で認めてるようなもんだぞ?」
「はぁ...」
「誰だ?
神野か?」
「...」
「沈黙は是だぞ?
そうか、神野か。
まぁ、可愛いもんな。」
「犯罪ですか?」
「お前さっきからキレてないか?」
「...気のせいです。」
「そうか、
俺も正確にとは言えんが、気をつけろよ。」
「何にですか?」
「綺麗なバラには刺があるってのが世の中の常識だ。」
「...先生騙されたんですか?」
「俺のことはいいから。
とにかく今日は助かった。
また来週」
「はい。」
「今度こそ帰るか...ん?」
咄嗟に隠れてしまったが今出て言ったらあれだな。
盗み聞きしてるみたいで悪いが勘弁してもらおう。
「...でさー
それであいつ真っ赤なの。
自分では気づいてないのかわかんないけどさ。
超面白いんだよ。」
この声...神野さんか?
「ほんとそうだよね。
あいつ勘違いして美咲のこと好きだったりして。」
「やめてよ気持ち悪い。
私は俊典くんが好きなだけであんな地味なやつ好みじゃないの。
こっちまでしたに見られるからやめてよねー?」
「ごめんごめん。
それにしてもホント馬鹿だよねぇ三澤」
え?
なんだ幻聴か。
「てか美咲にからかわれて可愛そー
付き合ってあげれば?」
「だーかーらー、私は三澤に興味があるんじゃなくて俊典くんが好きなだけって前から言ってるでしょ?」
再び聞こえる俺の名前。
「てかこんなこと話してて大丈夫なの?
三澤いたらまずいんじゃない?」
「大丈夫よ。
私より早く教室出ていったし、部活にも入ってないし。」
「よく観察していらっしゃる。」
「褒めてんのか貶してんのかどっちなのよ」
そんな話をしながら笑って去っていく中、俺は1人呆然と立ち尽くすのだった。
いかがでしたでしょうか?
コメントを頂きまして少し描写を増やしてみた気がします。
自分でも書いてる時あまり意識はできなかったですが。
次回は回想途中から始まります。
今回もありがとうございました。
次回も是非お願いします。