表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/34

痴話喧嘩ですよ。けっ!

さて、皆さん今日は体育祭ですよっ!

正直、暑すぎて帰りたいです!


とは言いながら、まぁ実行委員として準備してきたのでこうやって無事に体育祭が始まって嬉しいんだけどね・・・。


「すーちゃん、これ飲む?」

隣にいたまーくんがダラダラと汗を流す私に特製ドリンクを差し出してくれる。

「だ、大丈夫・・・。って言うかなんでまーくん、汗かいてないのよー!」

半ば八つ当たりでまーくんをぽかぽかと叩く。

「なんでって言ってもね〜。私、元々汗かきにくいのよねー。」

くそ!この人はどこまで完璧なんだっ!!

「ずるい!!!」

私が叫んで意見するもまーくんはクスクスと笑った。

「すーちゃんは汗かきすぎよ。」

「はい、まーくんがか弱い乙女の心を傷つけた〜!そういうこと言ってると桃ちゃんに嫌われるよ!」

軽い冗談のつもりだったのに私の言葉にまーくんは想像以上に傷ついた顔をした。

「・・・もう嫌われてるもの」

「はぁ?」

思いがけないまーくんの言葉に私は眉を寄せる。

「何があったの?」

「・・・桃が最近、居残りするようになって夜遅くなることが多くなったでしょ?だから私が送るって言ったら桃に拒否されたの。で、私ちょっとカッとなっちゃって何かあったら遅いでしょって言ったら迷惑かけたくないのって言われてそこから言い合いの喧嘩。その日から桃とは話してない。」

むっとした顔のまままーくんはグラウンドを睨みつけている。

・・・まったく、素直じゃないんだから。

「まーくんはどうせカッとなった時に桃は他に守ってくれる人がいるもんね、みたいな事言ったんでしょ。」

はぁ、と溜息をつきながら大体予想できた事を言うとまーくんはぎょっとした顔をした。

「な、なんで分かるの?!まさか見てた?」

「見てねーわ。」

あ、思わず素で答えちゃった。ま、大丈夫か。相手はまーくんだし。

ていうか、これゲームで見た流れだし。


ゲームでは、最近、居残りが多いヒロインを心配した誠様が「家まで送る」って言うんだけど、ヒロインは恥ずかしいし、毎回待たせるのは申し訳ないからって理由で断るんだよね。

で、最近ヒロインとなかなか会えなくて、しかもヒロインがほかの攻略対象と話してるのを見て嫉妬しちゃった誠様はヒロインに「そうか、分かった。お前には他に守ってくれる奴がいるんだろ」って言って先に帰ってしまう。

まぁ、その後喧嘩してるふたりを見て私が意地悪したりつけこんだりするんですけどね。ふふふ。悪役令嬢ですから。


ちょっと面倒臭いいじけ方に感じるかもしれないけど、いつも凛としてて甘えない誠様がそれをやるからこそまじで効果抜群だった。ネットでのここが悶えた大賞に選ばれるほどに。

ちなみに前世の私もめっちゃ画面の前で悶えてた。

本当にね、いつも冷血な感じで表情を動かすことが少ない誠様が、声を荒らげて自虐しながら苦笑いする場面がマジで、切なくて、嫉妬してくれたのぉぉぉ、ありがとうございますぅぅぅ!!!!ってなった。

キモくてごめんなさい。でもそれくらい可愛かったんです!!


「じゃあなんでわかったのよ?」

と、まーくんの存在忘れてたわ。やべやべ。

確かこのイベントはヒロインがちゃんと誠様用に特別な刺繍をしたハチマキを渡すことで更にイチャつきがアップするはず。

まぁ、事のつまりは何も心配することはないってことですよ。(半目)

えー、えーそうですとも。ただのリア充の痴話喧嘩です。

「別にまーくんの言いそうなことだもの」

ついつい吐き捨てるような言い方になっちゃったけど私はリア充の痴話喧嘩に付き合うほど暇じゃないんですッ!けっ!


と、そんな私の態度をどうとったのかまーくんは元々しょぼんと下げていた肩をさらに下げて体を小さくした。

「俺だって、分かってる・・・。俺の心が狭いだけだって。

送っていくって言ったのも俺が少しでも桃と一緒にいたかっただけだ・・・。本当はわかってる・・・」

あ、口調変わった。んー、これは本気で落ち込んでるなぁ・・・。

ったく。仕方ないなぁ。幼なじみのために一肌脱いでやるか。

「まーくん、そう思ってるんだったら今の気持ちを嘘偽りなくそのまま桃ちゃんに伝えなさい!第三者の私から言わせてもらうけどまーくんも桃ちゃんもお互いがお互いのこと好きすぎてすれ違ってるようにしか見えないから。まーくんにうじうじしてるのは似合わないっ!ほら行く!このまま体育祭終わらせたくないでしょ?!」

バンッ、とまーくんの背中を叩いて喝を入れるとまーくんは縮こまらせていた身体をピンと伸ばした。

「・・・わかった、ありがとうすーちゃん。行ってくる!」

まーくんはそういった後、走り出した。


・・・まったく。私はどこの世話焼きおばさんよ。

元々の役割は悪役令嬢だっつーの。・・・はぁ。私も人の事言えないんだけどな。


自分の気持ちに向き合えてないっていう点では私も同じ。



このままじゃダメなんだろうなぁ・・・。

と思っていると「おーい」と元気な声が聞こえてきた。

「あら、ごきげんよう。矢野宮様」

振り返ると暑さをものともしない爽やかさでこちらにやって来る矢野宮が見えた。

もう矢野宮って体からマイナスイオン出てんじゃね?

なんて馬鹿なことを思ってるなんて想像もしてないだろう矢野宮は「こんにちは!」と元気に挨拶をした。

「いや〜、やっと体育祭だね。」

「そうですね。今日まで長かったですわ。」

そう、本当に今日まで長かった。ま、じ、で、長かった。

まず、あのホッチキスの仕事の次の日から怒涛の仕事ラッシュが始まった。放課後居残りは当たり前、昼休みも仕事。

なみさんなんか、更に仕事が多いため、頑張って杉原と走り回ってた。

書類作りはもちろん、それぞれのかかりを巡回したり、説明したり、練習のリハーサルがあったり・・・


思い出すだけでげっそりする。

矢野宮もそんな日々を思い出したのかどこか遠い目をしながら「うん、長かったね」と呟いた。

「矢野宮様はどうしてここに?」

「あ、その事なんだけど・・・」

今まで爽やかに笑っていた矢野宮が急にどもりだして、顔を赤くする。

ん、どうした?熱中症??

「き、今日体育祭が終わったあとにキャンプファイヤーがあるでしょ?」

矢野宮の言う通りこの学園では体育祭が終わったあとにキャンプファイヤーがある。

ちなみにこの学園では体育祭と学園祭で年に2度キャンプファイヤーをすることがある。

どんだけキャンプファイヤー好きなんだよ、と思わないでもないけど、まぁそこは乙女ゲームの世界だからってことで。

ちなみに、キャンプファイヤーで告白すると恋が叶うっていうお決まりのジンクスもしっかりあるよ☆


「えぇ、ありますね。」

「それで、さ。今日、キャンプファイヤーの時に北条さんにきてほ「すみれちゃーーん!」

と、矢野宮が最後まで言い終わる前に零斗が来た。

「あ、ごきげんよう。」

「うん、こんにちは。」

ニコニコと笑っている零斗だけど矢野宮の方を見たままの視線は鋭い。

・・・何でこんなに矢野宮のこと敵対視してんの?

「いま、矢野宮様が話してたの遮ったでしょう?」

「え、何のこと?そんな訳ないジャーン」

あっけらかーんと否定するけど絶対こいつ計画犯・・・!

まぁ、こちらも矢野宮と二人っきりは少し気まずい気もするから別にいいけど・・・。

「で、矢野宮様なんですか?」

私が振り返って矢野宮を見るとそこには相変わらず燃えるように真っ赤な顔が。

「あ、いやなんでもない!忘れて!」

「・・・え、いいんですか?」

いや、明らかになにか言いかけてたじゃん?


「うん、別に今じゃなくてもいいから!」

「は、はぁ」

そのまま矢野宮は「じゃあ」と校庭へ戻っていく。

「鈍感て罪だよねぇ・・・」

ポツリと隣で零斗が何かを呟いた。



「で?零斗はなんで来たの?」

「ん?別に特に理由はないよー。ただすみれちゃんと一緒にいたかっただけ。」

・・・さいですか。

「そろそろ、集合時間だね。行きましょ。」

「・・・え、無視?ねぇ、無視?俺の愛の告白は無視されたの??!すみれちゃん?!!」

後ろでなにか騒いでる気がするけど無視しましょ、無視!



スタミナ温存していかないともたないからね!!














考えたいこともあるし!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ