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お前ら結局、似たもの同士 杉原side

杉原sideのお話です。

「ねぇ、転生者さん」

あいつは観覧車の中で唐突に問いかけてきた。

「すみれは幸せになれるかしら?」

やつにしては少し珍しく瞳を不安で揺らしながら。


◆◇◆


俺、杉原 雅は転生者だ。

最初はこの世界がゲームの世界だとは気づかなかったが、俺の名前や家柄、そしてこの学園への入学が決まった時に俺は全ての記憶を思い出した。


まぁ、正直女にちやほやされるのはいい気分だし、俺はゲーム通りのキャラで毎日を過ごしていた。

最低だって?馬鹿いえ、男なら誰でも一度は夢見ることだよ。


そんなある日、俺は取り巻きを連れたデートの途中で北条すみれと出会った。

うっすらと記憶の中に気の毒な悪役令嬢という記憶はあったのだが、俺はそれ以上の細かい情報を覚えていなかった。

なんせ、俺はプレイしてねぇからな。


ただ、北条は前世で妹が騒いでいた様な傲慢で自己中心的なthe悪役令嬢とは違って、しっかりと場をわきまえ、何よりも空気を読むのが抜群に上手だった。


俺はそのことに違和感と、そして好奇心を持ってそのデートについて言った。

色々とゲームと違うところもあるし、何よりも宮谷がベタ惚れだということにびっくりした。北条は気づいてなかったけど。


その後、北条が転生者だと知り、俺と北条は協力関係になった。

素のこいつはなんだか前世の妹をうっすら思い出すので一緒にいて楽しかった。

・・・宮谷の視線は怖いけどな。


だか、そのデートの後から俺の周りで変化が起きた。取り巻きのうちのひとりだったなみが何かを調べ始めたのだ。

いや、元々なみだけは俺の取り巻きとはいってもそういうことはしなかったし、何よりもいつも俺を探っているようだった。

何を企んでいるのか分からずなみの様子を警戒するが、結局何もわからなかった。


そんなある日、なみが突然人気のないところで俺にこう言った。

「ねぇ、転生者さん。私、貴方に協力してほしいことがあるの。」

と。



なみの事情を聞けば、どうやらなみも転生者でまだやりのことした事があるそうで、それが北条に関わることかもしれないので俺の北条の事について知ってることを話してほしいとの事だった。

そう言って話すなみはいつもの雰囲気とは違い、ただ話してるだけなのにナイフを首に突きつけられているような、そんな緊張感があった。

宮谷とはまた違った、恐怖。



そこからのなみの行動は早かった。

北条が転生者と分かったなみはすぐに北条と接触をした。

どうやらなみの読み通り、北条はなみと深い繋がりがあったらしくすぐに仲良くなっていた。


俺はその一連の出来事を微笑ましく思いながら見ていた。

ただ、その出来事が終わったあと、なみと話してもあの時の緊張感や恐怖はなかったことに俺は疑問を持った。










そしてまぁ、今なわけなんだけれども。

無理やり、なみに誘われてきた遊園地でラブラブイベントだなんて馬鹿らしいイベントに参加してなみのペースに巻き込まれてゲッソリしていたわけなんだが、最後の観覧車で、こいつは珍しくそうポツリと呟いた。


「俺に聞かれてもなぁ」

こいつの前では素の口調で話す俺はその問いに小さく返した。

「私ね、」

ポリポリと頭をかいていた俺になみはいつもとは違い、静かに語りかける。

「前世でもすみれと知り合いだったって言ったでしょ?

詳しく話すと複雑になっちゃうから今は話さないでおくけどさ、私は一人で殻に閉じこもっていたすみれを、花梨を救いたかった。」

花梨っていうのは話の流れ的に北条の事だろう。

なみは尚もゆっくりと話す。


「けどね、ある日、長い年月いたはずなのにあまりに心を開いてくれないから私言っちゃったの。すみれに。

私『今、あなたは楽しい?』

『あなたが抱え込んでいるものを私にも背負わせて。』って。」

なみは少しだけ大人っぽいその顔を苦しげに歪めた。


「そうしたらね、すみれ、怒っちゃってね、そのまま、ね、家を出て言っちゃったの・・・。それで、ね、その、まま、すみれは・・・、帰ってこなかった・・・!!そのまま亡くなってしまったの!私が謝ることも出来ないままに・・・!!

でも、でもね、この世界ですみれに会ったとき、すみれは変わってた。・・・良い方向に。ほんと、は、それ、を、私は嬉しく、嬉しく思わなきゃ、いけないのに、なのに、私は、私はそれを祝えなかった・・・。本当は私が変えたかったって思ってしまった・・・!」


最後の方になるとなみは嗚咽で上手く喋れずに掠れるような、苦しげに吐き出すように喋っていた。


また、だ。

こいつが、なみがこの雰囲気を纏う時はいつだって、北条が関わっていた。

追い詰められているような、でも思いやりが伝わってくる、そんな雰囲気。


どんだけ北条のこと大切に思ってるんだよ・・・


俺は呆れるようなでもどこか羨ましく思いながらため息混じりにこう告げる。

「別にそんなの人間の感情として当たり前じゃねぇかよ。誰だってそんなこと思うよ。お前は正しい反応をした。それを責められるいわれはねぇよ。」


でもなみは首を縦にはふらなかった。でもさっきよりは少し落ち着いた様で喋り出す。

「きっとすみれを変えたのは宮谷くんや、誠君、桃ちゃん、そして杉原、あなた達よ。

このまま、私があの子のそばにいても私はきっと重荷になる。前世の鎖を断ち切れないままになってしまう・・・。」


覇気のない声で喋ったなみは「だから」と続けた。


「私はすみれの前から消えてしまおうと思うの。」


と。


「は?なんでだよ。お前がいなくなる必要はないだろ。」

思わず出た引き止める言葉に俺は自分でビックリしながらも前に北条がちらりと前世について話していたことを思い出した。

「北条がさ、前に言ってた。何も無くて孤独で本当につまらない人生だったけど太陽のような人がいてくれたおかげで私の人生は救われたって。どうしようもない人生だったけど、その人のお陰で私は生きていられたって。

その人ってのはさ、お前のことなんじゃねーかな。

間違いなく北条はお前に救われたんだよ。きっと、前世も今世も。」

「嘘・・・」

「嘘じゃねーよ。」

さっきよりも少しだけ口調を柔らかくするのを心がけて俺はなみに笑いかける。

「だって、俺、お前ほどすみれのこと大切にしてるやつ見たことねーもん。そんな奴が傷つけるとは思えない。」

宮谷には悪いけど、前世から思い続けてる分、こいつの北条への愛情はとても深いものだと思う。


だから、こいつはもっと胸張っていいんだ。


「お前は北条を救ったよ。」


少し言葉足らずで、人に頼るのが極端にヘッタクソなあいつの代わりに俺が伝えておいてやろうじゃないか。


同じく言葉足らずで、人に頼るのが極端にヘッタクソななみに。


「・・・杉原の癖に生意気よ。」


「いや、ここ普通はいい雰囲気だかんな?」


調子の戻ったなみに俺はため息と共に笑いかけた。




















キスはしてねぇからな?









ただ・・・、今日のこの出来事で本気でこいつの事を落としにかかる準備は出来た。


俺は外堀から埋めていくタイプだから、よろしく、な。



すぎはらくんはさくしです☆

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