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小学生でも強くなれるもん  作者: 春海希帆
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第一章 第五話

 この高校には序列というものある。

 個人ランクと隊ランクである。

 個人ランクは十五位まで、隊ランクは五位まで称号として与えられる。

 これは名誉あることであり、ここを卒業してからの進路で役に立つものである。

 ちなみに未空の姉の真白は個人ランクも隊ランクも一位。和奏は個人ランクも隊ランクも二位である。


 昼休み。

 未空は昼食を終えて、一人でうなだれていた。

 真白からなかば強制的に小学生の教官に任命されたのだ。

 これで、頭を悩ませない高校生の方が異常なのだ。

 だから、未空も暗澹たる気持ちでいた。

「マジか―。今日から教官って」

「未空―。真白ちゃんから聞いたよ。今日の放課後から未空がロリコンマスターになるだって」

「よーし和奏。今すぐ校庭に出ろ。最近射撃練習してないから的になれ」

「未空……目がマジなんだけど」

 未空はからかってきた和奏の肩を掴み脅しをかける。

 っていうかいつの間に未空が天空聖騎士(小学生)の教官になることが漏れたのだろうか。

 和奏はまさかここまで脅されるとは思わなかったらしく、手を慌てて振っている。

 未空と和奏は同い年の幼馴染。それに昔、未空の隊長でもあった。

 未空が戦えなくなった理由を知っている一人でもある。

 だから教室でも普通に未空と話しかけてくる。

 他のクラスメートは未空のことを目の敵にしているのだが。

「大丈夫だ和奏。全て模擬弾だ」

「そういうことじゃないよ。それにゴメン、私が悪かったから。そんなマジな顔しないで」

 和奏も反省していることだから今回はこれで許してやる。

 でも次したらただではすませない。

 まっ、和奏の性格上絶対にやらかすとは思うが。

「それよりどうして和奏がそれを知ってんだ」

 これは今日決まったことなのにやけに情報がまわるのが早い。

「今日生徒会室に遊びに行ったとき真白ちゃんから聞いたんだよ」

 和奏は真白とは幼馴染なので一つ上の先輩でも真白ちゃん呼ばわりをする。

 真白もそこら辺は気にしていないので未空も文句はない。

「姉ちゃんが教えたのか」

 しかも人をからかうことが好きな和奏に。

 まっ、それなら納得もできるが。

「でも未空が教官か。なんか似合わないな」

「それは俺も思うが」

 今まで天空聖騎士として戦うことしかしてこなかった未空。

 そんな未空がまさか誰かに教える立場になるとは。

 人生なにがあるか本当に分からない。

「それに教えるなら和奏の方がうまいだろ」

「そんなことないよ。私も教えるのはうまくないから。指示出すなら少しはできるけど」

 和奏は峰岸和奏隊の隊長として頑張っている。

 だからこその言葉なのだろう。

 指示を出すなら和奏はほかの人よりも頭一つ分うまい。

「まっやるしかないだろ」

「未空、ガンバだよ。そして私の隊に早く戻ってきなさい」

「……」

 未空はその言葉になにも返せなかった。

 和奏は今でも未空のことを信じて待っている。

 もう二年だ。二年も待っているのにまだ諦めていない。

 だから未空も嬉しくも心苦しくあった。

―――もう俺は二度と天空聖騎士にはなれないんじゃないか。

―――だから和奏も期待しなくていいんじゃないか。

 そんな気持ちが脳裏をよぎる。

「待ってるから……未空がロリコンマスターになって帰ってくる日を」

「てめーはー」

 未空は思いっきり和奏の脳天に手刀をおみまいした。

「いてっ」

 和奏は可愛らしい悲鳴を上げて、未空に涙目で抗議をする。

 未空は完全にスルーする。

せっかくいいセリフだったのに。

 だけどこんなにも気楽に付き合える和奏は未空にとって大切な存在だ。


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