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ポルターガール!  作者: すぱけ
初めまして!幽霊さん
3/3

【第二話】夕飯決めは幽霊と

 最寄のスーパーマーケットへの道のりはそう遠くはなかった。起床後にまだ残っていた疲労と空腹感でキビキビとした歩き方はできなかったが、マンションを出て徒歩で5分なので、苦労する事はないだろう。

 無難に軽めの食事にしようか、と思いながら暮れかけの夕空を見ていると、ススーッと横から幽霊が視界に入り込んできた。

「そういえば、君の名前まだ聞いてなかったよね?教えてよ」

と、視界に入り込んできた幽霊こと東 優香はさり気なく話しかけてきた。

 そういえば、と言われればそうだった。あまりに彼女の登場が衝撃的だったので、自分の事を話そうなんて考えは頭の片隅にすらなかった。


 『不知火(しらぬい) 澪治(れいじ)』。自分自身の名だ。普通に学校に通い、普通に帰宅してやりたい事をやっていただけの人間だ。特筆する事は…あったな。そう、人並み外れて霊感が強く、霊視もできるという事。元々田舎に住んでた俺だったが、廃墟や静かな森林などを訪れると透き通った人間を見かける時が多々あった。

 彼らを見かける度に、幽霊についていくつか分った。「守護霊」と呼ばれ人間その他に憑きその対象を守る霊、「地縛霊」と呼ばれ己の死を認められない者が死んだ場所に留まる霊、「浮遊霊」と呼ばれ現世を彷徨う霊が存在する点、どんな種類の幽霊にも「善霊」と「悪霊」が存在する点。俺はいずれの種類にも出会った事がある。

「なぁ、幽霊さん」

「幽霊って呼ぶなー!」

「何でさっき…その…キス、したんだ…?」

「え…?」

 理不尽に人の唇を奪ったからには、当然こちらに聞く権利はある。黙秘し続けるつもりなのだろうが、理由を知るために、視線を逸らさずに彼女にずっと目を向けていた。

「あ、あれは部屋から出られるようにやった事であって、その…別に…やりたくてやった事じゃ…」

「正当な理由があるなら恥ずかしがらなくてもいいんじゃないか?」

「そ、そうだよね!実は死ぬ前に読んだ恋愛漫画で同じ事やってたからやってみたんだ!そしたら体がふわーって!」

 要するに試したかったんですね。理由が不当すぎます。そう口に出したかったが、言えば言ったでまた拗ねそうなので今回はやめておいた。

 善い幽霊たちとコミュニケーションと取ってる中で、彼らについてもう1つ分かった事がある。それは…。

「ねーねー澪治、夕飯何にするの?カレー?ラーメン?ちょっと聞いてるのー?」

 大半が「こういう奴ら」だという事だ。


 今は春休みで、当分学校が始まる事は無いので「明日の用意」なんてものを特にする必要は無い。もうちょっと実家で春休みを満喫しようと思ったが、都会の風景を1日でも早く見たかったため、新しい住居に住み始めたのだ。しかし、この部屋に住もうと思った瞬間から早かれ遅かれこの幽霊にまとわり付かれる…いや、もうまとわり憑かれてるのかもしれない。そのまとわり憑いてる幽霊は、現在台所でカレーを作っている。その光景に目をやると、優香が包丁を持ってたまねぎを切っている…のだが、切り方がぎこちない上に幽霊なのに「目がしみるー!」と涙をこらえている。しかも、この光景を一般人が見たら包丁が勝手に浮いてたまねぎを切っているようにしか見えないのだろうから面白おかしい。

「そういえば、さっきは足なかったのに今は足あるよな。何でだ?」

「…女の子の足が好きなの?」

「聞いた俺がバカだった。ごめんありがとう」

「あーあー冗談だってじょーだんー!!ちゃんと教えるからー!!」


「今、足があるのは地縛霊としてこの部屋に留まってるからだよ」

 お茶を注ぎながら優香は語り出した。

「元々、地縛霊になる幽霊は皆『足』という名の『足枷』を付けられて、その場所から動けないようにされちゃうんだ。でも浮遊霊や守護霊なら動き回れるから自由で良いんだよ」

「へぇ…確かに、去って行く人間を地縛霊がいつまでも追いかけるなんて聞かないもんな」

 優香は、そっと持っていた急須を置いて下を向き、弱い声で話しかけた。

「だからね、私…守護霊になりたい。守護霊になって、ここから出て自由になりたいの。だから…協力してくれないかな?」

 上目使いでお願いされてしまったので、反射的に「お、おう」と答えてしまった。

「ありがとう!澪治だーい好き!」

 妙な事になってきたが、退屈しなさそうだ。

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