想像してみて 50音順小説Part~そ~
はっきりいって意味不明です。
「ソラニンはジャガイモの芽に含まれている毒で調理する時は必ずとらなきゃいけないよ。」
「同じソラがつくものとしてそんな毒があるなんて不愉快極まりない。」
ソラは仏頂面をしてレイを見上げた。
「困ったなぁ、今から君にはジャガイモの芽をとってもらおうと思ったんだけど・・・。」
すると何も言わずソラはレイが手にしていたジャガイモを奪いとると思い切り遠くへ投げた。
「あぁ!何するの。」
「ふんっ。そんなこと誰がするかっ!」
服に着いた泥も払わぬままそのまま家の中に走っていってしまった。
「まったく・・・」
「ソラは今度何で癇癪を起こしたの?」
「ユリ・・・。」
レイが振り返るとそこにはユリが立っていた。
「ソラニンだよ。」
「ソラニンってあのジャガイモの芽にあるっていう毒のこと?」
「そう。」
「それとソラがどう関係しているのかよく分からないわ。」
「僕にもよく分からないんだけど自分の名前と似ている毒があるってのが許せないみたい。」
「まぁ・・・あの子が考えていることはいつものことながらさっぱり分からないわね。」
「あぁさっぱりだよ。」
そのころ家に戻ったソラはレイの部屋に忍び込みあるものについて調べていた。
「ソラニン・・・ソラニン・・・・・・・」
あらゆる植物の毒性について書かれていたサイトを見つけソラニンを探し当てた。
「神経に作用する毒で大量に摂取すると死に至る・・・・・・」
死、その言葉がソラの中で反芻していた。
「そこの少年、僕の部屋で何をしているのかな。」
「べっ別に、ちょっとした調べものだよ。」
ギクッとした音が聞こえそうなほど驚いたソラは急いでパソコンの電源を切り
レイの顔を見ることなくそそくさと部屋を出ていった。
「ったくソラは分かりやすいなぁ。」
その日の夕飯は家で採れた野菜たっぷりカレーでありジャガイモもふんだんに使われていた。
「これって嫌がらせ?」
「どこがだい?いつも通りの食卓じゃないか。」
「レイ・・・分かっているだろ。俺は今猛烈に激怒している。」
「何かのギャグかな。よくそんな古いネタ知っているね。」
「レイッ・・・・・」
手に力が込められスプーンが今にも曲がりそうだ。
「レイ、ソラを挑発するんじゃないわよ。大人げない。」
「ちょっとからかっただけだよ。ソラ、今日はもともとカレーにするつもりであのジャガイモ畑に
行って成り行きでソラニンの話になったんだよ。だからね、カレー食べよう。」
「こんな気分でジャガイモなんて食えるかっ。」
「でもジャガイモに罪は無いわ。」
ユリはグサリとフォークでサラダのトマトを潰した、グチャリグチャリと。
彼女は中の汁が飛び出てグチョグチョになったそれを口に運んだ。
一連の動作を見ていたソラは何かおぞましいものを見てしまったかのような気分であった。
「だからちゃんと食べなさい。」
「けどユリ・・・」
「レイも悪気があってそんな話をしたつもりはないわ。
それに自分と毒の名前が似てるからってどうしてそんなに怒るの。
もしサリーちゃんって女の子がいたらサリンとサリーでその子の方が可哀想じゃない。」
「まだ魔法使いの名前だからいいじゃないか。」
「だからどうしてソラは古いネタばっかりしってるのかな。」
結局その日はうやむやのままソラはサラダのみを食べ夕食を終えた。
真夜中ソラはジャガイモ畑の中ポツンと突っ立っていた。
収穫しきれなかったジャガイモがごろごろ転がっていた、その中の一つに手を伸ばす。
ところどころに芽がついておりそっと指で触れる。
「こんな小さいのに・・・・・」
サイトで読んだソラニンの毒性を一句ずつ復唱して想像する。
まず吐き気が来て頭痛が襲う。
そして幻覚を見たり全身に麻痺が起こり動けなくなる。
そのままソラは月の光を浴びた冷たい土の上に倒れこむ。
大量に芽を食す。
そうすれば徐々に意識が遠のいていって何も感じなくなる、何も考えなくなる。
24時間後には死に至る。
「ソラ」
目を開けると人の足が四本だけ見えた。
「レイ・・・ユリ?」
「こんなところで何してるの?風邪ひいちゃうわよ。」
ソラは無言だ。
「起きられないのかい?しょうがないなぁ。」
レイはソラを起こすと背におぶった。
翌朝 気が付くとソラはふわふわの気持ちのいいベッドで眠っていた。