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とある少年達の日常  作者: 蝶佐崎
第一章:4月
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第20話


「証明してみよう。まずは魔法からね」


 言った途端、湯呑みがぼおっと青くおぼろげに光る。やがて電気のようにバチバチと音が鳴り、一瞬湯呑みが眩しく輝いて、俺が目を閉じ、慌てて開けた頃には。

 湯呑みはコースターに変わっていた。

 ちなみに湯呑みとコースターは同じ色合いだ。


「これが俺の一番得意な力……魔法でね。物質の形を変えられる。同じ質量のモノなら何にでもね」

「錬金術みてーだな!」

「錬金術が何かは分からないけど………………金は形変えやすいよ」


 どこか的外れな言葉を返しつつ、淳はまたコースターを湯呑みに戻す。

 それじゃ、と彼女は悶絶(もんぜつ)したままの立夏をたたき起こした。


「立夏、アレやって」

「何故俺が」

「俺がやったらどこ行くか分からないし」


 訳の分からない会話のあとに、立夏が溜め息をついて、手を翳した。


「目を閉じろ」


 言われた通り、目を閉じる。


 パチン。


 どこかで指を鳴らす音が聞こえた。

 こっそり目を開けると、俺の体を水が覆い、そして弾けて消えるところだった。

 草原に、座っていた。


「目を開けてもいいぞ」


 しっかり目を見開き、辺りを見回す。

 やっぱり、草原にいる。遠くに白い建物がある。

 大自然だ。風が気持ちいい。

 空野先生と淳以外、みんな辺りを見回している。琴花さんは連れてこなかったらしい。

 立夏が白い建物を指差した。


「あれが組織の本部だ。この世界まるごと、組織が管理している。…………よし、戻るか」


 また目を閉じて、指鳴らしを聞いて、目を開けるともとの詩呂の家にいた。

 立夏はにやりと笑い、両手を広げる。


「種も仕掛けもない。どうだ、納得したか?」

「おう!」


 亮がキラキラと目を輝かせて言った。


「な、俺の体を包んだ水って何だ?」

「見ていたのか…………俺の力、魔法だ。人それぞれ属性がある。たまに属性が二つ三ついる人間もいるがな」

「へー!」

「ねえ立夏」


 晶子が立夏の髪を指す。


「もしかしてあなた、さっき言ってた異世界から来た人間なんじゃないかしら? 髪も、地球には存在しない色だし」

「ああ。丹洪(たんこう)、という国から来た。家庭の事情だ」

「もしかして、淳も?」

「うん。俺は日本………………この世界の日本生まれだけど、血筋としては、軍国主義な別世界の日本から来てる。母さんがそこの人でね。駆け落ちだったから行ったことないけど」

「色々あるんだね」


 受け入れるしかなさそうだ。

 空野先生が、雑談をさえぎった。


「それで? 異界の者は何故お前達を狙おうとした」

「俺は当然のように命を狙われるんでね。そのせいじゃないですか?」

「いや淳、恐らくは俺だ。奴らに狙われている」


 淳と立夏、心当たりは二人とも大いにあるらしい。

 二人とも、短いとはいえ大変な人生を送ってきたんだなあと思う。俺なんてもうこの事態が嫌になってるしね。


「立夏は組織に入ってるの?」

「まだ時間の融通が聞く、下位だけどな」

「淳はどうして入ってないのに詳しいの?」

「そりゃーね…………ここの町に俺を放り込んだ恩人が色々教えてくれたんだ。何でも恩人さん、組織の上位に知り合いがいるらしくてね」

「へー。色んな人がいるんだね?」

「うん。楽しいよ」


 にへらと相好を崩した淳に笑いかえす。

 ………………うん。

 俺も言った方が、いいみたいだね。


「えーとね。ちょっと話ズレるけど。…………二日前の晩、その異界の者が、光辰さんと話すところ…………見たかも」

「「へ?」」


 立夏と淳が、声をそろえた。


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