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とある少年達の日常  作者: 蝶佐崎
第一章:4月
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第15話


 顔を知っている暁も目を見開いている。晶子と亮も首をひねった。

 反対に、雛菊さんも俺を見て目を丸くしている。

 俺の反応を見て、淳がやっと口を開いた。


「優子さんって、彰の弟?」

「うん。…………本当に瓜二つなんだけど」

「お前もだ」


 雛菊さんが口を開く。戸惑った顔で、俺を見たまま。


「私の…………夫にそっくり」

「夫がいるんですね?」

「いた。が、地震で死んだ」

「ご冥福をお祈りします」


 言うと、雛菊さんはじっと俺を見た。


「名前は?」

「夜生彰です。あなたの名字は? 雛菊さん」

「夜生だ」


 返ってきた言葉に、晶子が目を丸くしている。暁は何かを考えているようだ。


「………………夜生雛菊さん、ですか?」

「ああ。そして旦那の名前は夜生光辰(こうしん)。私が探している男の名前だ」

「ですが、」

「ごめんなさい彰、少しいいですか?」


 暁が遮る。話を暁に任せた。

 でも、旦那は死んだって言わなかったか?

 暁は雛菊さんの前に立ち、数珠を見せる。


「雛菊さん貴方、幽霊ですよね?」

「よく分かったな」

「実家が寺なもので。もしかしてその光辰さんと言う方………………まだこちらで、さ迷っていらっしゃる?」

「…………………そうだ。後から逝ったのに、あいつは向こうに居なかった」

「そうですか。彰、雛菊さんと光辰さんは君のご先祖様です。そして、光辰さんがまだ成仏していないので探しに来たと。そう考えてよろしいですか?」

「その通りだ」


 なんと。うちのご先祖様だったらしい。

 拝もうと手を合わせると、払われた。


「止めんか、気持ちの悪い」

「うわあ、優子にそっくり」

「お前もそのぼんやりしているところが、光辰に瓜二つだな」

「えーと……………………どうも?」

「もういい。おい、坊主」

「はい」

「お前、想馬を知っているか? 空野想馬」

「知っていますよ。連絡をつけましょうか?」

「頼む」


 そう言った雛菊さんはお茶をじっと見て、


「お飲みください」

「うむっ。ありがたくもらおう!」


 麻雲さんの言葉に顔を輝かせた。いそいそと手を伸ばす。先に晶子のとなりに座り湯呑みを持つ詩呂の、そのまたとなりに座った。

 晶子が彼女を見て、和んでいる。

 詩呂が、まだ扉のそばに立っていた彼を見て、眉を潜めた。


「麻雲、お前も座って飲め」

「身に余るお言葉、ありがとうございます。ですが私は執事ですので、」

「五月蝿い。人が立つ部屋でくつろいで飲めるわけがないだろう。これは命令だ」

「……では、お言葉に甘えて。お茶を煎れて参ります」

「その茶を飲めばいい。奴の分の茶なら要らない」

「それはいけません。煎れて参ります」


 麻雲さんは出ていった。慌てているらしいけど、全く慌てているようには見えなかった。

 美形って何してもカッコイイんだね。美形は滅べ。

 詩呂はまだお茶に手をつけていない。


「誰か来るの?」

「呼んだ。彰なら知っているんじゃないかな」

「俺?」


 おっかなびっくりしていると、玄関の方から声がした。


「しぃーろぉー! 来たぜぇー!」


 詩呂がやれやれという顔で席を立つ。

 そして、怒鳴った。


「応接間に来い!」

「おー!」


 声と共に入ってきた青年。

 名前は、浦和水城(うらわみずき)君。

 詩呂の幼なじみだ。家も近いらしい。それ以外は知らない。あんまり関わりたくもないし。

 浦和君は俺達研究会のメンバーを見て、やや戦いたように立ち止まった。


「俺、お邪魔? 研究のテーマ決めてた?」

「邪魔ではないが……パソコン室にでも行っているか?」

「そうする。じゃなっ! あ、そうだ」


 浦和君が俺を見て、目を輝かせる。


「夜生さ、昨日の晩、俺ん家の前フラフラ歩いてなかったか? 着物きて」

「へ?」


お久しぶりです。長期間放置してすみません・・・!

一ヶ月経ってるけど改めてあけましておめでとうございます。

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