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ロック・ザ・プラネット ~顔面偏差値35の空気嫁を駆使して異世界で成り上がれって、なんの罰ゲームだよ!~ 【建国編  作者: 正座回転ドリフト王子
第1章 ハミデール王国

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#4 カタクリ子(空気嫁)ブーメラン

 2番目に遭遇した人? がゴブリンとはね。

 いや、待てよ。耳と鼻は尖っているものの、見た目は普通の人間だ。

 耳と鼻を引っこ抜けば、美少女の部類に入りそうだ。

 いいじゃないかゴブリンでも。

 まずはお礼を言わなきゃだよね……。


「ねえ、ゴブーリン」

「私は、あのカバみたいにポッチャリしていませんよ!」


 カウガールスタイルの少女は、確かにスレンダー体型だ。

 ぷくりと頬をふくらませた顔は幼く見える。十四歳くらいか。

 短めのスカートから伸びた白く細い脚にウエスタンブーツ。

 テンガロンハットを首からぶら下げている。


「やっぱりゴブリンだよね?」

「正確には『ボブリン』です。ヘアスタイルがボブなので」


 ウルフボブというのだろう。

 レイヤーをたっぷり仕込んだボリュームのあるトップと長めの襟足が特徴の髪型だ。


 ゴブリン少女は緑色をしたサラサラの髪に触れながら、もう一方の手で自身の鼻を引っこ抜いた。接着剤が多かったらしい。ちょっと涙目になっている。



「これは付け鼻です。ゴブリンっぽく見えるんで」

「ゴブリンにしては白くない?」

「緑のゴブリンとは種類が違います。私は『ホワイトゴブリン』なので。緑色をしたゴブリンの上位互換です」


 ゲーム機ですか?


「上位と下位の違いは?」

「ホワイトゴブリンは賢いです。緑のゴブリンはアホです。いつか遭遇するかもしれません。そのときに確かめてみてください。アホなんで」


 そんなにアホなら一度会ってみたい気がする。

 ボロボロの腰巻をつけて棒的なものを振り回すんだろうな。

 そんな姿を想像しながら、レンタロウは上位互換と言い張る少女を見やった。


「ねえ、ボブリン」

「だからね……。私には『アシュリン』という立派な名前があります!」

「ここでスライムを栽培してるのってボシュリンのこと?」

「おい! ボブリンとアシュリンを混ぜたろ!」


 ホワイトゴブリンの少女は、今にも奇声をあげそうな表情だ。

 眠そうな目をしているせいか、あまり怖さを感じない。


「ボブ子がいいか?」

「なんでもいいです。死ねばいいのに。はいはい。そうですよ。山に生えている、あれ全部栽培しています」


 ボブ子が見据える先の小高い山の斜面には、奇妙な物体を実らせた木が植えられている。

 ぶりぶりとした大きな実がスライムらしい。

 あまりの重さに、枝がだらりと弧を描いている。


「ひとりで栽培してるの?」

「ボッチなんで。木は1000本近くありますが、ひとりで収穫もしています」

「大変そうだね。手伝おうか? 報酬と休憩はキッチリ取るけど」

「楽ですよ。完熟したスライムは木から勝手に落ちるんで。収穫も一段落したので、手伝いは不要です」


 木から落ちたスライムは、山の斜面を伝って平地まで転がってくる。

 その先には落とし穴が待ち構え、スライムが次々となだれ込んでくる仕組みになっている。

 ボブ子が穴に落ちたスライムを回収するという寸法だ。


 落とし穴にはネットが仕込んであり、スライムが定量に達したとき一気に引き上げる。この合理的なシステムを考案したのはボブ子らしい。


「さっき僕が遭遇したのって、落とし穴に向かってたスライムってこと?」

「そうですよ。レンタロウがスライムに追われて爆走している姿を、死ねばいのにと思いながら見てました」

「そうなんだ……。ところで、ボブ子はスライム栽培で生計を立ててるの?」

「そうですよ。大半は、ハミデール王国に出荷しています。あとは飲食店などに卸しています。街はあっちです。もう暗いので気をつけて。じゃ、私はこれで」

「あのさ、“男子校あるある”の続きなんだけど……」

「どんな流れでそんな話になるのですか?」

「これはきっと共感してくれると思うんだよね。それじゃ、いきますよ。女子が居ないから授業中でもウ〇コに行きやすい!」


 って、あれ? やめて。

 どつかないで。

 悪かったって。


 ボブ子に蹴飛ばされたレンタロウは、ふたたび落とし穴に落ちてしまった。

 

 スライムの効果がきれてしまったレンタロウの脚。

 自力での脱出はムリっぽいし、ボブ子は助けてくれないよね。

 試してみようかな、例のアレで……。


「いでよ! 空気嫁のカタクリ子さ~んぬっ!」


 草原に置きっぱだった空気嫁を、レンタロウは再召喚する。

 期待通り、超高速で飛んできた。

 くの字に曲げた体を高速回転させる空気嫁のカタクリ子は、もはやブーメラン。

 クリ子ブーメランは、落とし穴の入口をガッツリと塞いでしまった。


「ぁ……完全に詰まっちゃったね……カタクリ子さん……」


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