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異世界最強の節約勇者 〜神も魔王も全員、俺の財布の敵〜  作者: 勇者ヨシ君
第1章:異世界最強の節約勇者 ――召喚されたのに、まず予算を確認した

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「正しいことをするたびに、俺だけ負ける」

今回、笑えるところはありません。

それだけ言っておきます。

 先に進むにつれ、廃砦(はいとりで)の奥は、静かになっていった。


 魔物(まもの)の密度が上がるにつれて、三人の動きは逆に無駄が消えていった。田中が動く。ネネが抑える。エリュシアが(ととの)える。声をかける前に、もう終わっている。


 廃砦(はいとりで)核心部(かくしんぶ)、少し開けた場所で、田中が止まった。

 壁に背をつけて、前を見ている。


 呼吸(こきゅう)を整えているのか、考えているのか、判断できない顔だった。

 ネネが隣に立った。エリュシアは少し離れた場所にいた。


 何でもない声で、田中が言った。


「正しいことをするたびに、俺だけ負ける。()()()()()()()()()


 それだけだった。

 言葉に続きはなかった。説明もなかった。

 田中はすぐ前を向いて、「行くぞ」と言った。


* * *


 ネネは黙っていた。

 何か言おうとして、言葉が見つからなかった。魔王として千年生きてきて、こういう沈黙(ちんもく)の前では、言葉というものが役に立たないことを知っている。


 だから黙っていた。


* * *


 エリュシアは、動けなかった。


 (あなた(田中)のことは……すべて記録(きろく)にあります)


 田中が二十二歳の三月に、夜中まで一人でラインを直した記録(きろく)


 田中が三十一歳の三月に、先輩(せんぱい)が死んだ記録(きろく)


 介入申請(かいにゅうしんせい)却下(きゃっか)


 田中が三十五歳の時、改善提案書(かいぜんていあんしょ)の二十三枚目が却下(きゃっか)された記録(きろく)


 田中が四十六歳の時、誰かの後始末(あとしまつ)残業(ざんぎょう)して、ソファで倒れた記録(きろく)


 (私が処理(しょり)しました)

 (全部、書類(しょるい)として処理(しょり)しました)


 四十六年分の記録(きろく)が、田中の行動と一致(いっち)した。


 (……全部、覚えています。()()()()()()


 声には出さない。

 「……わかりました」と言って、次の指示を聞いた。


* * *


 廃砦(はいとりで)の奥へ、三人は進んだ。

 誰も、何も言わなかった。


※神界業務日報(ぎょうむにっぽう) 第二十二回


特記(とっき)事項。


……照合(しょうごう)完了。


以上。


******


魔王(まおう)家計簿(かけいぼ) 第二十二回


今日のことは、書けない。


明日、書く。


******


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