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― 樫本晴夫について(2)/元教え子の証言―
取材日時:事件発生から八日後
取材場所:都内ファストフード店
証言者は朝倉と同年代だった。
会社勤めをしているという。
「樫本先生は、
中学三年のときの担任でした」
「口数は少なかったですね。
雑談とか、
ほとんどしない人」
「授業も、
淡々としてました」
「でも、
進路の話になると、
別人みたいに
なるんです」
「この成績で
何を目指してるんだ、
って」
「学級全体が
勉強を軽く見てると、
本気で怒る」
「正直、
冷ややかな反応の
生徒もいました」
「説教くさい、
っていうか」
「でも、
自分は……」
「あの人に言われて、
勉強、
本気でやりました」
「成績も
良くなって」
「進学校に
進めたんです」
「だから、
感謝してます」
「先生がいなかったら、
多分、
今の自分は
いない」
「……数年後に、
あんなことが
あったって聞いて」
「最初は、
信じられなかった」
「ニュースで
いろいろ言われてますけど」
「正直、
その……」
「自分の口で、
何て言えばいいのか
分からないです」
「ただ……」
「自分にとっては、
恩師だった」
「それだけは、
本当です」




